こんにちは、岡畑興産のこじろうです。
工業製品に色を塗る際、どんな塗料を使っているか考えたことはありますか?
身近なところでいうと、プラモデルの塗装にも使いますね。
今回はその中でも無溶剤系でサステナブルな、「水系塗料」にフォーカスして説明していきたいと思います。
塗料の特徴やメリット・デメリット、取り扱い方法をご紹介するので、ぜひ参考にしてみてくださいね!
水系塗料とは?溶剤(油性)塗料との違いも
塗料は、色を着けるために必要な”顔料”と耐久性をあげるための”樹脂”、それに加えて機能を付加したいときに使う”添加物”で構成されています。
顔料・樹脂・添加物はそれぞれ液体ではないため、まず液体で溶かす必要があるのですが、このときに溶かす液体が水であれば ”水性塗料”、シンナーであれば ”溶剤(油性)塗料” といった具合に分類されます。
水系塗料の場合、全体の60〜70%が水でできているため、油性塗料のように鼻をつくにおいもありませんし、塗装後の後片付けに水が使えて、手についても簡単に落とせます。
また、溶剤(油性)塗料が蒸発する時に発する成分に、VOC(揮発性有機化合物の総称)という人体に害があるとされる物がありますが、水系塗料なら発生しません。
そのため、サステナブルな視点や健康の観点からも、近年溶剤系塗料は公共施設等において使用が制限されてきています。
水系塗料のメリット、デメリット
水系塗料の良い部分ばかりの紹介していたように見えますが、もちろんメリットの他にデメリットもありますのでご紹介します。
水系塗料のメリット
メリットはお伝えした部分もありますが、まとめると以下のようなものです。
- VOC(揮発性有機化合物)を大幅に削減可能
- 有機溶剤特有の臭いや、中毒の心配がない
- 保管が簡単で、引火の原因にならない
- 価格が安い
塗料、燃料、化学品に含まれることのあるVOCは、粒径10マイクロメートル以下の微小粒子のため、 一定レベル以上の吸ってしまうと粘膜や呼吸器へ悪い影響を及ぼすほか、植物にも影響が良くないといわれています。
水系塗料は、そのVOCの排出が少ないため、人体にも地球環境にも優しいとされているのです。
においが少ないと近所への迷惑にならず、安心して使うことができるメリットもあります。
水系塗料のデメリット
溶剤系と比較したデメリットをご紹介しましょう。
- 浸透性がやや悪い
- 被着体への密着性がやや悪い
- 蒸発速度の違いにより、乾きがやや遅い
- ツヤが落ちやすく、耐候性が低い
- 低温下で保管・使用する場合、硬化性が低下し性能を十分に発揮出来ない可能性がある
一般的には溶剤系の方が機能的には優れているというのが通説ですが、メーカーさんの努力もあり、日進月歩で技術は向上しており昨今の水性塗料は油性塗料に劣らないくらい性能が向上してきています。
そのため、あくまでも一般的には、ということでデメリットを挙げさせて頂きました。
実際に、屋外の外壁塗装にも水系塗料はたくさん使われておりますので、一見すると「室内=水系、屋外=溶剤」のようにも見えますが、必ずしもそういうことではないようです。
水系塗料を塗装する際の取り扱い方・注意点
実際に自分で塗料を塗る、という状況はあまり日常で訪れないかもしれませんが、DIYなども流行っておりますので、そのような場合のために塗料の取り扱い方や塗り方の注意点もご紹介します。
施工時には水分の影響を避ける
塗装する時から乾燥まで、水分の影響を受けると塗膜の形成がうまくいかない可能性があるため、天候への配慮などは必要です。
油分を取り除く
塗料を塗る前の下地処理、というのはどの塗料でも重要ですが、被塗物に油分が残っているとうまくくっつかない可能性があるので、十分な処理を行いましょう。
低温下での作業に注意
デメリットの部分にも少し記載しましたが、室温・気温が5度を下回ると硬化機能が低下し、塗膜が十分に形成されない可能性がありますので注意が必要です。
水系塗料の特徴を知ってうまく活用を!
ここまで、水系塗料について簡単にまとめてきましたが、いかがだったでしょうか?
ご紹介したように水系塗料は、VOC(揮発性有機化合物)を大幅に削減可能であったり、有機溶剤特有のにおいや中毒の心配がなかったり、保管が簡単で引火しづらかったり、価格が安いというメリットがあります。
地球環境にも優しいことから、工業用塗料も水性塗料への転換が進んでいます。
ただし、サステナブル意識に傾倒しすぎて、なんでもかんでも水系溶剤=環境に良いという意識だけで全て考えてしまうと、最終的な耐久性や品質面の劣化に悩まされ、結果として溶剤系を使うよりもさらに環境に悪いことをしている、なんていうことにもなりかねません。
実際にどちらかを検討する際は、特徴を考えつつ、チョイスするようにして頂けたら幸いです。
また、実際に日常で色が塗られている製品を手に取ることがほとんどかと思いますので、この塗料は水系か?溶剤か? というように考えてみるのも楽しいかもしれません。
この記事が、皆さんが塗料について考えるきっかけになれば幸いです。
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