こんにちは!岡畑興産の伊集院です。
海外個会社メンバーへのインタビュー第2弾!
今回は、台湾岡畑でQC(品質管理)として活躍している金さんにインタビューを行いました。ぜひ最後までご覧ください!
台湾岡畑は日本向けを中心とする靴受託事業部において、“Material Excellence”を掲げ、ゴルフシューズやバイクシューズなど専門性の高い特殊靴の受託事業を展開しています。厳選した工場パートナーと連携し、高度な開発技術と厳格な品質管理により「道具としてのこだわりの靴」を実現。30年以上の経験を活かした直接営業により、日本向けを中心としつつ海外クライアントとの取引も拡大しています。
また、岡畑興産グループは、日本を拠点に韓国や台湾、アメリカなどにネットワークを展開し、化学品事業や材料販売、靴受託(OEM)事業などを手がけています。グループ各社は常に緊密な連携を取りながらビジネスを展開し、国境を越えた人財交流によって組織の活性化と事業の発展を実現しています。
[プロフィール]
名前:金さん
入社年月日:2015年7月22日
入社当初の所属部署:台湾岡畑ベトナム支社
現在の所属部署:台湾岡畑株式会社、清远阳山荣璟工場オフィス
目次
現在の業務内容を教えてください
現在は台湾岡畑のQC(品質管理)チームのリーダーとして、3名のメンバーと共に工場内のあらゆる工程を網羅的に管理しています。
担当しているのは、原材料の入庫、抜き型の試作、物性テスト、接着、二次工程、縫製、成型、梱包など、靴づくりに関わる全プロセスの検査です。「最初から最後まで、品質管理の現場責任者」として日々業務にあたっています。
QCチームの中で、直属の部下2名は成型ラインに常駐し、全数検査を担当。ここで合格した製品は、そのまま包装され、倉庫に納品されます。
箱が満杯になったタイミングで、私がAQL(合格品質限界)検査基準に基づいた抜き取り検査を実施。万が一、品質異常が規定の割合を超えていた場合には、現場で箱を開封し、内容を整理・再チェックするという手間は惜しみません。
このように、常に高い基準で品質を維持することを念頭に置きながら、チーム運営にも注力しています。QCチーム内では、以下の6つの理念を掲げています。
- チームワーク
- 仕事態度
- 専門スキル
- 問題分析
- コミュニケーション
- 品質効率
これらはすべて、**「会社の基本的な利益と価値観を堅持し、品質が基準を満たし、目標を達成する」**という目的のもとで提唱しているものです。
また、各ライン、各工程を日常的に巡回し、問題の早期発見と迅速な報告・対応を徹底。品質トラブルが納期に直結しかねないプレッシャーの中でも、「どう解決するか」を常にチームで考え、行動に移しています。
これまでのキャリアを教えてください。
大学は師範大学を卒業し、卒業後は美術の先生として働いていました。
その後、靴業界へ転身し、別の会社で15〜20年にわたってQC(品質管理)の仕事に携わってきました。最初はQC業務未経験で、靴の知識もゼロの状態からのスタートだったものの、現場で実地に学びながら靴の魅力に引き込まれていきました。
「転職後も靴に関わる仕事がしたい」という強い想いから台湾岡畑へ入社。以来、靴への愛着と現場で培った経験を活かし、“靴づくりのプロ”としての道を歩んでいます。
ベトナム駐在時代のエピソードを教えてください。
入社後はベトナム支社にて約6年間駐在。3つの工場を回り、600人〜2,000人規模の生産現場でQC(品質管理)を担いました。工場の幹部は台湾人や中国人、工員はベトナム人という多国籍な環境でした。
駐在をスタートした当初、ベトナムの現場では、品質管理に対する意識や作業の精度が中国と比べてまだ低く、なかなか思った通りの結果が出ないこともありました。指示を出しても意図が伝わらず、納得のいく対応を得られない場面も多く、もどかしさや苛立ちを感じることもありました。
それでも、通訳を活用したり、ジェスチャーや靴サンプルを使った説明を工夫したりしながら、現場とのコミュニケーションを地道に続けました。「靴で会話をする」ように、言葉が通じなくても、靴を通じて思いを伝える努力を続けた結果、6年間の積み重ねによって現地スタッフの品質意識や作業レベルは大きく向上していきました。
中国国内へ転勤後、働き方は変わりましたか?
2021年、中国国内の清遠陽山栄璟工場へ異動となり、現在は現地に常駐しています。中国語が使用できる環境で業務が円滑に進むようになり、現場とのコミュニケーションもよりスムーズになりました。
2024年末にはQC(品質管理)課長に昇進。チームのリーダーとして現場全体をまとめながら、高い品質基準の維持とさらなる改善に取り組んでいます。
QC(品質管理)の難しさとやりがいを教えてください。
QCの現場では、常に品質と納期のプレッシャーが付きまといます。とくに納期が迫る中で品質問題が発生し、すぐに解決策が見つからないときには、大きなストレスを感じることもあります。
また、工場側から「その品質基準は厳しすぎる」と反発を受けることもある中で、商社としての方針や品質を貫くことの難しさも実感しました。
それでも、問題を一つずつ乗り越え、最終的にお客様に満足してもらえる靴が出荷されたときの喜びは格別です。
一日のスケジュールを教えてください。
私の一日は、原材料や色見本、初品のチェック、生産ラインの巡回、工程・手順の確認、不具合の発見と報告、改善の指示、さらに包装後の製品に対する抜き取り検品までをこなします。現場を「止まらず巡回する」スタイルを貫き、目に見えない兆候にも素早く気づけるよう日々の業務に取り組んでいます。
趣味の書道について教えてください。
小学生の時に授業で書道を学んで以来、心を惹かれ、書道に興味を持つようになりました。
高校生の頃から独学で学び続けてきた書道は、今でも大切なライフワークです。書いていると気持ちが落ち着き、ストレスの解消にもなっています。
書道は「心が穏やかでないと書けない」「気持ちが作品に表れる」もので、書道は自己を見つめる大切な時間でもあります。
これは、ベトナム駐在時代に、靴の工場に頼まれて書いた作品です。今でもオフィスに展示されています。
これからの目標を教えてください。
今後は、自身のスキルをさらに磨くだけでなく、チームメンバーの思考力やスキルも一緒に育てていきたいです。問題を事前に予防し、品質向上を図るだけでなく、より高い付加価値を提供できるQC(品質管理)を目指しています。
最後に
台湾岡畑で活躍する金さんのインタビュー、いかがでしたか?
異国の地で、文化も言語も価値観も異なる中、金さんは靴づくりに誠実に向き合い続けてきました。言葉が通じなくても、品質の水準にギャップがあっても、「どうしたら伝わるか」「どうすれば良くなるか」を考え、行動し続けてきたその姿勢には、ものづくりへの強い覚悟がにじんでいます。
また、日本国内の社員からは「いつもは寡黙な人ですが、時には忘年会のゲームで本気を出す熱いQC課長です」との声も。現場では冷静沈着に品質を守りながら、実は人間味あふれる一面も持ち合わせた金さん。そのギャップこそが、チームや仲間から信頼される理由のひとつなのかもしれません。
最後までご覧いただきありがとうございました!
岡畑興産では、真面目に靴を作っている会社のブログ「くつナビ」を運営しており、靴や靴の素材、世界の市場についての豆知識など、さまざまな知識を発信しています。
海外個会社メンバーへのインタビュー第1弾はこちらからご覧ください。
※岡畑興産株式会社は、化学品事業と靴受託事業が連携し、機能性素材の材料開発・用途開発を進めています。