こんにちは、靴のOEM商社「岡畑興産」のこじろうです。
近年、サステナブルやエコ フレンドリーはどの業界においてもトレンドです。
特に社会的影響の大きいブランドや企業は、SDGs(持続可能な開発目標)を意識した動きをしています。
そして、ヴィーガンという言葉を耳にすることが増えてきていると思いませんか?
食生活におけるヴィーガンは有名ですが、実は靴に使われる「ヴィーガン材料」も注目を集めているんです。
今回はそのヴィーガン材料について特徴や使用するメリット、種類などをご紹介します!
ヴィーガン材料とは?
ヴィーガンと聞くと、ベジタリアンよりもさらに強い意識で菜食主義をモットーにしている人々のことをイメージするかと思いますが、広い意味では「人間が動物を搾取しないこと・しない人」のことを意味します。
そしてヴィーガン材料とは、非動物性の革=人工的に作られた素材のことを言います。
主に「人工皮革」「合成皮革」「天然由来のヴィーガン材料」3種類に分けられます。
環境によろしくないとされる合成皮革のPVCも、非動物性の素材としてざっくり言ってしまうとヴィーガン材料と言えるでしょう。
・人工皮革:化学繊維を織ったものにポリウレタン樹脂を染みこませて作る素材で、より本革に近い素材を再現したもの。弾力性と柔軟性に優れ、撥水性が高いのが魅力
・合成皮革:布地の表面ににポリウレタンなどでコーティングしたビニール素材。水濡れに強くお手入れがしやすい
・天然由来のヴィーガン材料:主に天然由来の原料を使用したもの。植物が原料のものが多く、サスティナビリティを実現するエコな素材
人工皮革と合皮の違いについてのコラムも参考にしてください。
非動物性の材料というだけでSDGsか?というとそうではなく、リサイクルポリエステルなど再生原料を使った物や、パイナップルなどの植物系原料から作られている物、またキノコなどの菌類から作られたバイオベース由来の物など、天然由来のヴィーガン材料を「ヴィーガン材料」として定義していることが多いようです。
ヴィーガン材料を靴に使うメリットもご紹介!
ヴィーガン材料を靴に使うメリットには、以下のようなものがあります。
・軽い
・リーズナブル
・水・汚れに強い
・お手入れが簡単
・環境に優しい
軽くて履きやすいという特徴に加え、本革より安価なものが多いというのは大きなメリット。
また、本革は水に濡れるとシミやひび割れの原因になりますが、ヴィーガン材料は水や汚れに強いため、雨の日に気にせず使えるのも嬉しいポイントです。
少し濡らした布で軽く拭き取ってから乾いたタオルで水分を拭くだけなので、お手入れも時短で済みます。
その上、環境や動物保護の問題にも貢献できるというメリットもあります。
本革の方が丈夫で耐久性がある(長く履ける)というデメリットもありますが、今後本革のような質感に近づく将来性もあるため、改善への期待はできるでしょう。
ヴィーガン材料のバリエーションもチェック
現在注目されている、天然由来のヴィーガン材料。
近年さまざまな原料を使ったバリエーションが増えているので、ご紹介していきますね!
再生原料を使用したヴィーガン素材
リサイクルポリエステルなどをベースに用いて、非動物性の人工皮革として近年注目されている材料です。
弊社が取り扱う帝人コードレ社にも、再生原料を用いたヴィーガン材料のラインナップがいくつかあります。
これらは、動物性由来の原料を全く使用していないと確認済みのもので、完全なアニマルフリーです。
風合いは天然皮革に限りなく近く、人工皮革ならではの機能性も併せもった新時代の人工皮革として、くつナビの岡畑興産イチオシの商品です。
アディダスがスタンスミスでの天然皮革使用撤廃を宣言し、ヴィーガン材料のみを使っていくことを発表したのも記憶に新しいですが、そこに使われているのは再生材料系のヴィーガン材料です。
くつナビでもET1300というヴィーガン材料を紹介しておりますので、ぜひ参考にしてください。
植物性の材料を使ったヴィーガン材料
最近よく目にする植物性の素材を使ったヴィーガン材料を3つご紹介します。
①パイナップルの葉っぱから作られるピニャテックス(piñatex)
ピニャテックスは、イギリスのロンドンにあるAnanas Anam社が開発した、新時代のアニマルフリー素材です。
原料70%以上が、廃棄されるパイナップルの葉っぱで作られた繊維でできているそうです。そのほかの材料はPLA(トウモロコシなどのデンプン由来の樹脂)とPU(ポリウレタン)。
そのままでは水に弱く日常生活の使用に耐えられないため、PUを少量混ぜています。
手触りは天然皮革とは全く違い、どちらかというと紙のような質感です。
軽量で水に強いのが特徴です。
1平方メートルのサイズのピニャテックスを作るのに480枚の葉が必要で、木に換算すると16本分にもなるそうです。
これまで廃棄していた部分が商品になることで、農家の方々にもメリットが生まれています。
さらに、繊維の生産で残った葉っぱは肥料としても使えるそうです。
②サボテンを原料にしたデセルト(Desserto)
メキシコのグアダラハラにある、エイドリアンアンドマルテ(Adrian and Marte)という企業が生産しています。
見た目や触り心地も革に似ていて、10年相当の耐久性があるそうです。
製造方法は成熟したサボテンをすりつぶし、3日間天日干して、特許技術でレザー状にしていきます。
工程上では天然由来の原料しか使っていないため、廃棄物が出ても生分解するので安心です。
さまざまな国でオーガニック認定を受けていて、サステナブル度の高い方法で作られています。
今後、市場でも目にする機会が増えてきそうな画期的なヴィーガン材料です。
③キノコ菌から作られるヴィーガン材料
アメリカにあるバイオテクノロジーの会社、ボルトスレッド社(Bolt Threads)が開発したマイロ(Mylo)は、キノコの支える根の部分にあたる菌糸体から作られるヴィーガン材料です。
特徴は、天然資源を栄養として2週間で成長するという効率的な生産スピードの上、再生可能で質感もリアルレザーに勝るとも劣らないクオリティがあります。
最近ではさまざまなハイブランドからの注目を集めており、アパレルではステラマッカートニーで採用。
靴ではアディダスのスタンスミスの2022春夏でMyloを使ったモデルの発売が決まっているとリリースされています。
SDGsとしての余談で、ヴィーガン材料ではありませんが、フランスのブランドVEJAでは、オーガニックコットンにトウモロコシとヒマシ油の樹脂をコーティングしたC.W.L (Corn Waste Laminate)を靴のアッパーに採用しています。
C.W.Lは全体の50%が食品産業からでるトウモロコシの廃棄物から作られていて、環境に優しい素材です。
このように、さまざまなバリエーションの材料は知るだけでも楽しいですよね。
メリットのたくさんあるヴィーガン材料の靴に、ぜひチャレンジしてみてください!
ヴィーガン材料とは動物の革を使わない環境に優しい素材!
ヴィーガンとは、広い意味では「人間が動物を搾取しないこと・しない人」のことを意味し、ヴィーガン材料とは非動物性の革=人工的に作られた素材のことを言います。
主に「人工皮革」「合成皮革」「天然由来のヴィーガン材料」3種類に分けられますが、
天然由来のヴィーガン材料を「ヴィーガン材料」として定義することが多いようです
軽い、リーズナブル、水・汚れに強い、お手入れが簡単、環境に優しいといったさまざまなメリットがあり、近年では靴の素材としても注目されています。
くつナビの岡畑興産も、めまぐるしく変わるトレンドに常にアンテナを張り、いろいろな製品や材料の探求と開発を続け、お客様へ情報をお届けしたいと思っています。
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