こんにちは、岡畑興産のこじろうです。
最近たまに耳にするセルロースナノファイバー(CNF)。
カーボンニュートラルなバイオ材料として注目されており、靴への使用も増えています。
今回はセルロースナノファイバーはどんな材料なのかと、靴への利用についてご紹介します。
目次
セルロースナノファイバー(CNF)とはどんな素材?環境に良い理由とは
セルロースナノファイバー(CNF)は、木材チップから取り出した木質繊維(パルプ)をナノオーダー(1mmの百万分の一)にまで微細化したものです。
地球上に存在するあらゆる木質資源を原料にできるので、資源としても豊富な上に、再生可能な素材として注目が集まっています。
セルロースナノファイバーは透明で軽くて丈夫であり、変形に強く、その上高い増粘効果を持っているため、靴用途ではラバーやEVAとブレンドする方法でソールへ活用することが可能です。
セルロースナノファイバーを練り込んだラバーは耐摩耗性を発揮し、ソールが削れにくく長持ちする靴になります。
ミッドソールEVAなどにブレンドすることで、さらに軽量性、クッション性、耐久性などの向上が期待できます。
靴以外の用途では、トイレのお掃除シート、車の部品、タイヤなどで利用されています。
そしてボールペンのインクに添加すれば滑らかさが向上し、化粧品ではべたつき防止の効果が期待できるなど、色々な分野で活用できるバイオマス素材なのです。
原料自体がカーボンニュートラルなバイオ原料であるため、CO2を増加させないというメリットもあります。
メーカーによっては間伐材や木材を作成する際に発生した、廃材・木材として使用できなかった低質材を原料にしているため、石油原料に頼らない環境に優しいサステナブル素材として活用が増えています。
セルロースナノファイバー(CNF)を使用した靴をご紹介
セルロースナノファイバー(CNF)を靴に用いることで、通常のシューズより軽量になり、強度や耐久性も非常に高くなります。
そのため、ランニング用のシューズに使われることが多いですが、第32回東京オリンピック競技大会・東京2020パラリンピック競技大会のフィールドキャストおよびシティキャストのユニフォームとして、靴に採用されたことも話題になりました。
実際にセルロースナノファイバーを使用して開発されたシューズを、特徴と共にいくつかご紹介いたします。
ASICS:GEL KAYANO25
ランニングシューズのミッドソールにセルロースナノファイバーを使用。
ミッドソールにセルロースナノファイバーを使用することで、軽量性と耐久性という相反する機能を両立させています。
従来のミッドソール材「Flyte foam(フライトフォーム)」に比べ、軽量性を維持したまま、強度を約20%・耐久性を約7%高めることに成功し、通常のEVAミッドソールと比較すると55%の軽量化を実現しています。
CNF研究の第一人者の一人である京都大学 生存圏研究所 矢野浩之教授が、京都市産業技術研究所らとともに開発した革新的なCNF製造技術が応用されています。
スピングルムーブ:SPM-172 SPM-295
セルロースナノファイバーをアウトソール材料のラバーに練り込むことで、従来のラバーソールよりも耐摩耗性を40%向上させることに成功した一足。
同じ靴を少しでも長く使用してもらうことで、着用者の満足とサステナブルな社会作りの両方に貢献するというコンセプトを元に開発されました。
セルロースナノファイバー(CNF)を使用した靴に期待が高まる!
ナノファイバー(CNF)は、セルロース木材チップから取り出した木質繊維(パルプ)をナノオーダーにまで微細化した素材です。
資源としても豊富で再生可能でもあるため、機能向上とサステナブルが両立した素材として注目されています。
近年は、トイレのお掃除シート、車の部品、タイヤ、ボールペンのインクなど、幅広く活用されています。
靴では通常のシューズよりも強度・耐久性が高く、軽いためランニングシューズに使われることが多いです。
アッパーからソールまで、今後も様々な場面で活用が増えそうですね。
岡畑興産では、真面目に靴を作っている会社のブログ「くつナビ」を運営しています。
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※岡畑興産株式会社は、化学品事業と靴受託事業が連携し、SDGsに貢献できる材料開発・用途開発を進めています