こんにちは。岡畑興産のこじろうです。
靴の製法の1つにバルカナイズ製法というものがあります。
あまり耳慣れない言葉ですが、このバルカナイズ製法で作られている靴を、実は至るところで目にしていることをご存じでしょうか?
今回はバルカナイズ製法がどんな作り方なのか、その製法のメリットや特徴的なデザインをご紹介します。
目次
バルカナイズ製法とはどんな製法?
バルカナイズ製法は、1839年にチャールズ・グッドイヤーが発明したバルカナイゼイションを基礎に出来上がった靴の製法の一種で、コンバースのキャンバススニーカーなどに代表される、「加硫靴」を作るための製法です。
英語のバルカナイズ(Vulcanize)=加硫するという意味の単語が、そのまま使われています。
加硫とは、ゴム系の原材料を加工する際の工程で起こる架橋反応の一種のこと。
ゴムの分子同士をうまく連結させることで、ゴムに弾力や耐熱性などを与えることができます。
バルカナイズ製法の有名な靴は、後にご紹介するコンバースのオールスターなどが挙げられます。
作り方は、まず職人さんの手で本体とソールを貼り合わせた靴を下の画像のような釜の中にセッティングし、100度以上の高温で1時間程加熱していきます。
釜に入れる前のソールのゴムはとても柔らかいのですが、熱と圧力をかけることで、ゴムの中に練り込まれている硫黄が化学反応を起こしてゴムが硬化し、アッパーとソールを接着させるのです。
画像引用元:https://www.spingle.jp/craftsmanship/
バルカナイズ製法のメリット・デメリット
バルカナイズ製法のメリットは、ソールが柔らかく、シルエットを美しく保つことができ、なおかつ耐久性が高いことでしょう。
一方、デメリットは生産面にあります。
ゴムの貼り付けなどの生産工程のほとんどが手作業のため、手間と労力がとても掛かるのです。
そのためか、現在日本でバルカナイズ製法ができる会社はほんの数社といわれています。
街で見かけるバルカナイズ製法の靴は、ほとんど海外製と言えるでしょう。
バルカナイズ製法の靴をいくつかご紹介!
バルカナイズ製法の靴は、実は有名なスニーカーにも多いです。
代表的な靴を3つご紹介します。
【スピングルムーブ】SPM-101
1つ目は日本で作られているバルカナイズ製法の靴として有名な、スピングルムーブの定番スニーカーです。
ソールがそり上がり、アッパーを巻き込んでいるのが特徴的なシルエット。
一度履いたらまた履きたくなる極上の履き心地です。
【ムーンスター】GYM CLASSIC
もう1つ、国内生産のバルカナイズの靴をご紹介します。
久留米で生産しているムーンスターの加硫靴「FINE VULCUNIZEDシリーズ」は、ソールがしなやかで耐久性があり、美しいシルエットが保てるという特徴があります。
なかでも「GYM CLASSIC」は、ムーンスターの数あるスニーカーの中でも特に人気が高いようです。
1960年代に生産されていたトレーニングシューズをベースに、現代風にアレンジした商品で、カラーバリエーションも豊富にあります。
【コンバース】オールスター
バルカナイズ製法の代表靴ともいえる、コンバースのキャンバススニーカー「オールスター」。
1917年に誕生し、スニーカー史上最も多く売れていて、永久定番と称されるほど長く愛され続けています。
バルカナイズ製法のスニーカーとして、他にもジャックパーセルなど人気の高いモデルが多数があります。
このほか、ラコステ、Vans、Keds、スプリングコート、スペルガなど、数多くのブランドでバルカナイズ製法で作られた加硫靴が販売されています。
バルカナイズ製法に多いキャンバス地の靴のお手入れ方法をご紹介
バルカナイズ製法の靴の多くは普段使いで手軽に履けるキャンバススニーカーが多いです。
手軽に履けるため、気がついたら汚れているということが多いのではないでしょうか?
汚れが目立ってきたときは、こんな方法を試してみてください!
- 靴紐とインソールを取り外す
※インソールの汚れが気になるときは中性洗剤などで軽めに擦る - つま先やソール部をメラミンスポンジや消しゴムで擦る
- 乾いたブラシで細かい汚れを落とす
- 靴専用のクリーナーで汚れが気になるところを重点的にブラッシング
- ぬるま湯ですすぎ、乾いたタオルで拭き取る
- 汚れが落ちるまで4〜5を数回繰り返す
- 風通しの良い日陰で自然乾燥
余談になりますが、靴のお手入れにおすすめなのが、「ジェイソンマークのシューケアキット」です。
靴専用のクリーナーで、デリケートな素材のクリーニングに最適なプレミアムブラシも付属しています。
レザー・スウェード・ヌバック・キャンバス・ビニール・ナイロン・コットン・メッシュ、ゴムなど様々な素材で使えて、とても便利なキットです。
大事な靴のお手入れ方法に迷ったときに、試してみてはいかがでしょう。
バルカナイズ製法の靴はソールが柔らかく耐久性が高い
バルカナイズ製法とは、ゴムに弾力や耐熱性を与える「加硫」を行う製法のこと。
本体とソールを貼り合わせた靴を釜の中に入れ、100度以上の高温で1時間程加熱して作ります。
バルカナイズ製法の靴はソールが柔らかく、シルエットを美しく保ちながらも耐久性が高いという点が魅力です。
生産工程のほとんどが手作業のため、時間と手間をかけて製造されています。
コンバースの「オールスター」などキャンバス地のスニーカーが多いので、街中で見つけたらぜひチェックしてみてくださいね!
岡畑興産では、真面目に靴を作っている会社のブログ「くつナビ」を運営しています。
靴や靴の素材、豆知識などさまざまな知識を発信していますので、こちらもぜひご参考ください!