こんにちは、岡畑興産靴受託事業の伊集院です。
突然ですが、皆さんは地下足袋(ぢかたび)をご存じでしょうか?
古くから、お祭りや建築などの職人の方など、特定の行事や仕事に従事されている方が履いていることが多いのですが、ここ最近ではファッションの一部として普段履きされている方や、アクティビティのシューズとして活用されるなど、活躍の幅が広がっています。
そもそも地下足袋とはどんなものか、どんな種類があるのか、気になってきますよね。
今回は、そんな地下足袋について、どのようなシーンで使われているかや、地下足袋の種類、履くときのポイントなどをご紹介します!
目次
地下足袋(ぢかたび)とは?どんな種類がある?
足袋と言えば、草履や雪駄などを履く際に靴下のように履いて寒さや足が汚れるのを防ぐ役割として昔から履かれている物ですが、その足袋にソール(底)を付けて足袋だけで使用できるようにしたものが地下足袋です。
地下足袋は元々作業をする時に履くもので、炭鉱で働く人達が履いていたということで地下で履く足袋⇒地下足袋と呼ばれるようになった節もあります。
祭りや職人の仕事などのシーンで愛用されてきた地下足袋ですが、好まれる理由として一般的な靴と比べても長時間の立ち仕事などで疲れにくいというのがあります。
これは、ソールが柔らかくヒールがないことから足の特定の部分に常に体重が加わることがなく、また指を含めて足全体を使えるということが理由と言われています。
地下足袋の歴史は古く、当初は今のように靴の選択肢が無かったから地下足袋を履いてたという背景はありますが、これだけ色々な種類の靴がある現在でも、地下足袋が支持されているのにはこのような理由があるのです。
地下足袋の種類にはどんなものがある?
そんな古くから履かれてきた地下足袋ですが、大きく2つの種類に分かれており、そのほか用途別にも種類があります。
足首部分が長いタイプ
足首部分が長いタイプの地下足袋では、ふくらはぎの下の部分まで保護できます。
このタイプの地下足袋を履く際には、股引やズボンは足袋の内側に隠すように履きます。
こうすることで内側に砂などが入り込むことを防いだり、ズボンの裾が外で遊ばないので何かに引っ掛かる事を防ぐことができるので、建築現場などではこちらのタイプが主流なようです。
足首部分が短いタイプ
足首部分が短いタイプの地下足袋は、胴が長くないため、股引やズボンの裾は上から被せるように履き、地下足袋が隠れるようにします。
祭りなどで引手が履いているタイプは、この足首部分が短いタイプを履いている方が多い印象です。
長いタイプに比べて、足首周りがある程度自由に動かせるため、長い距離を歩く場合にはこのタイプの地下足袋が重宝されます。
用途によっても種類がある!
地下足袋は土木作業の現場やお祭り、農作業が主流でしたが、現在は用途が幅広くなっています。
例えば土木や農業用、渓流などで使えて防水性の高い長めの防水タイプ、足先を防護していたり靴底が厚いタイプなど、種類は豊富です。
また、登山など過酷な地面の環境下で行うアクティビティなどで使用できる種類も増えており、ソールの意匠がより凹凸が出るような形状に変更されているものや、しっかりと岩肌や斜面を底全体で掴めるような形状になっているものがあります。
アッパーも足袋のような綿素材ではなく、伸縮性のあるラバー素材を使用してフィット感を高めると共に、ある程度の防水性を出すなど、色々な工夫がされています。
そして、ファッション性を高めたオシャレな地下足袋も注目を集めているのをご存じでしょうか。
ストリートでも履けるような地下足袋については、アッパーがニット素材になっていてカラフルになっていたりとデザイン性が高められており、オシャレな女性が街履きしても違和感のないファッション性をより高めたものになっています。
そのほかにも、野球のスパイクのつま先を二股にした足袋型野球スパイクなど、もともとは作業用靴というカテゴリに入っていた地下足袋は、今や様々な進化を遂げています。
地下足袋の選び方をご紹介!サイズ選びのコツも確認
地下足袋を選ぶ時のポイントをご紹介します。
用途
農作業では水や泥に強い材料のものを選びましょう。 汚れたら洗濯できるのが地下足袋の良いところです、ジャブジャプと洗えるものが良いでしょう。
建設作業など高所作業の場合は、ソールに滑り止めが付いたもの、足の感覚が伝わりやすいものを選んでください。
登山などで利用する場合には、ソールが厚めでクッション性があるものが適しています。 くるぶしをひねらないように足首が長いタイプをお薦めします。
ファッションで地下足袋を履くときは、コンクリートの熱がダイレクトに伝わらないものはいかがでしょうか?
使用環境
田んぼ、畑、磯、渓流など水辺で使うものは水に強い材料を使った地下足袋を選びましょう。
登山や高所など、足場の悪い環境には、足指の感覚を感じつつ、足を保護するタイプが良いでしょう。
作業現場では足先、足裏を守るプロテクト機能があるものが適しています。
サイズ
靴と違ってアッパーの中に遊びがない地下足袋は、普段の靴サイズよりも1から2サイズ大きめのものを選びます。
こちらのコラムを参考にまずはご自分の足のサイズを正確に測りましょう。
1日中履いていると足がむくんできつく感じますし、余裕がないと擦れて靴ズレを起こしやすいのでぴったりサイズは基本的にNGです。
また、少し大きめを選び、中に指の分かれたソックスを履けばムレを防止することもできますね。
実際に履いてみることをお薦めしますが、インターネットで購入する場合にはしっかりと足長、足囲を測ってくださいね!
デザイン
今はスニーカーのように地下足袋を履くトレンドもありますので、デザインは多種多様です。
踵をカバーするパーツがついているスニーカーに近いタイプ、アッパーがカラフルでかわいいプリントを施しているデザイン性の高いものなどなどです。
用途や使用環境と組み合わせてご自分の好きなデザインを選んでくださいね。
アッパー全体がストレッチ素材で出来ていてハイソックスのように履けるものや、ファスナータイプ、ベルクロ(マジックテープ)で固定できるタイプがありますが、足袋といえばコハゼと言われる留め金が象徴的です。
コハゼを隠すように留めるので人には見えないのですが、コハゼがかわいいデザインだと履くときにテンション上がりますよ。
※出展元: SOUSOU
地下足袋を履く際のポイントは?あると便利な物
ソールの地下足袋ですと、どうしても地面からの突き上げの衝撃や、靴ひものような締め付けのアジャスト機能が無いことで足袋内に遊びができ、足がこすれてしまうなどの問題が発生することもしばしばあります。
そんなとき、インソールや足袋ソックスを併用すると、こういった問題をある程度軽減できます。
一般的に販売されているインソールではなくしっかりと二股に割れている足袋用インソールは、特に衝撃吸収に優れていて、挿入することでしっかりと地面からの衝撃を緩和させてくれます。
長時間履いていると、この地面からの衝撃は徐々に足へとダメージを蓄積してしまうので、長時間地下足袋を着用するシーンでは必須アイテムだと言えます。
また、もし足袋が足よりも大きく足袋内で足が動いてしまうと感じる方がいれば、足袋ソックスを推奨します。
足袋ソックスを履くことで足袋内の遊びの空白部分を埋めることができ、足が足袋内で動く状況を改善できます。
また、昨今はソックス自体に滑り止め機能や速乾・消臭機能を持たせたような素材を使用するなど、機能性ソックスというのが多く販売されています。
そういった機能性のある足袋ソックスを選ぶことで、より快適に地下足袋を履くことができるようになります。
日常でも地下足袋という選択肢を!用途によって種類を選ぼう
ここまで地下足袋についてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?
地下足袋というと、古い職人が履くような靴と思っていらっしゃる方も多かったかと思いますが、現在は登山やファッション用も出ているなど多岐にわたります。
デザインも足首部分が長いタイプや足首部分が短いタイプ、水中用に防水加工がしてあるタイプなど、バリエーション豊富です。
少しでも地下足袋の良さについて知ってもらい、日常生活やアクティビティで履く靴の選択肢に地下足袋が入るようになればと思います。
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