今回は靴にとって、最も重要な木型(ラスト)についてのお話です。
ものすごく簡単に言うと、足形の木型に革や布をかぶせてアッパーを作り、底を貼り付けた後に木型を抜いたら靴になります。 ただ、足の形は人それぞれで、小生に合う木型が、だれの足にでも合うという訳ではありません。
木型が自分に合うと、足当たりもなく、履き心地が良くなりますし、全く自分の足に合わない木型の靴を履いていると、靴擦れがしたり、長時間履くのが苦痛になることもあります。
そのため、各靴メーカーやブランドは靴を開発する時にまず、オリジナルの木型の開発から始めるのです。
靴がパフォーマンスを左右するプロアスリートや、オーダーメイドで靴を作るセレブたちは、足形を取って木型を作ることができますが、量産靴を作る時は“だいたいの人”に合う木型でなくてはなりません。
外観のかっこよさと履き心地の両方を求めて何度も足入れを繰り返しながら、やっと唯一無二の木型が完成するのです。
海外ブランドは細身、国内ブランドは日本人の足に合わせた幅広などそれぞれの特徴がありますし、用途によっても様々です。
木型は奥が深すぎて若輩ものの小生が語れることが多くないので、日本の木型作りについては、近々弊社取引先の木型メーカーさんから詳しい話を聞かせて頂く予定です。
余談ですが、木型をラストと言いますが、スペルはLASTです。DHLで木型を送ったり、受け取ったりする時に書類に商品総称 LASTと書いてあると、LAST=最後 と想像するらしく大体問い合わせが来ます。
ちなみにLASTの由来は 靴の出来は最終的に木型ですべてがきまるほど重要な部分ですので最後という意味であるLASTになったそうです。小生の持論は、過去のこの話しの由来は現在ではどうなんだろう、と思っています。
勿論、ラストは最も重要な部分の一つといえるのですが、それを活かす甲材であったり、底材の品質を目的によって選択することで総合的に履き心地の良い靴ができあがると思うのです。