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靴の材料

2023.01.04

TPUとPUの特徴や用途の違いは?メリット・デメリットも確認!

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こんにちは、岡畑興産のこじろうです。

 

私ごとですが、最近スマホの保護カバーを新調いたしました。

パッケージ記載の仕様を何気なく見ると「TPU」と記載がありました。

 

TPUとPUという2つの素材は、私たちの身近な日常によく使われているもの。

もちろんくつナビの岡畑興産の生業である靴にも良く使われている素材です。

 

今回はこのTPUとPUについて、特徴や用途、メリット・デメリットの違いをご紹介します。

TPUとPUの特徴や用途の違いは?

TPUとPUは、まず先に化学的な違いを挙げると、TPUには架橋がないのに対し、PUは使用するポリオールの種類に基づいて架橋できることです。

※架橋とはポリマー同士を連結し、物理的、化学的性質を変化させる反応のこと

 

そのほかもさまざまな違いがあるので、さっそく特徴と用途を比較していきましょう。

 

 

TPUの特徴と用途

TPUの正式名称は「熱可塑性(ねつかそせい)ポリウレタンエラストマー(Thermoplastic Polyurethane elastomer)」です。

熱で溶融する性質=熱可塑性(ねつかそせい)といいます。

TPUは温度が高くなると高分子が動き出し溶け、逆に冷却すると硬化し、硬化した樹脂をふたたび加熱すると溶け出します。

 

そしてTPUの射出成型品の場合、180-230°くらいの熱でTPUが液状となり成形されます。

 

TPUは主成分ポリオールの種類によって、ポリエステル系、ポリエーテル系の2つがあります。

 

ポリエステル系は機械強度が高く耐熱性に優れており、鉱油や油圧油に対する耐性も強いという点が特徴です。

一方、ポリエーテル系は微生物分解への耐性が良好であり、低温柔軟性・耐加水分解性に優れている特徴を持ちます。

 

製品は用途によって使い分けられ、熱での加工しやすさと素材のメリットを活かして多くの日常製品に使用されています。

 

 

TPUの用途は?

食品関連部材、人が触れる用途、工業部品に使用可能と幅広い用途に使われおり、例えばホース、チューブ、ベルト、フイルムシート、自動用内装品、鞄の把手、グリップ類、スマホカバーなどがあります。

 

スマホカバーではソフトなシリコンタイプのものがありますが、最近はTPU素材の方が多く使われています。

 

TPUは我らがシューズ、特にスポーツシューズに盛んに使われる素材の1つです。

靴においてはサッカーシューズのスパイクソール、野球スパイクソール、ゴルフシューズのソールなど、硬さが必要なソールに使われることが多いです。

 

また、靴のアッパーに「NOSEW」という方式でメッシュアッパーやニットアッパー、人工皮革などと併用したTPUフィルムも使われます。

 

TPUフィルムは縫って接合する従来の縫製アッパーとは違い、熱で他の材料と溶着し留める方式が多く、これを業界用語でNOSEW(縫わない)と言います。

靴のアッパーに使われるフィルムは1mm以下の厚みが主流です。

 

TPUについては過去のコラムもありますので、あわせてそちらもご覧ください。

TPU素材とは?メリットデメリット、用途を詳しく解説!

 

 

ここまでTPUを説明させていただきましたが、次はPUについて解説しましょう。

 

 

 

PUの特徴と用途

PUとは「ポリウレタン(Polyurethane)」の略です。

天然ゴムの代替えとして開発された素材で、ウレタンゴムとも呼ばれるプラスチック材の1つです。

 

歴史的には1937年にドイツで開発され、その後アメリカのデュポン社が製品化し、日本へは1963年にアメリカとの技術提携にて入ってきました。

 

PUは熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の2つのタイプがあります。

熱可塑性は前述にある通りですが、熱硬化性樹脂は熱をかけていくと硬くなっていくタイプです。

PUはゴムのように柔らかく抗張力(引張り強度)や耐摩耗性、弾性(衝撃強度)、耐油性に優れ、合成ゴムに比べて耐熱性や耐水性は劣るものの、色々な製品に使用されています。

 

製品への成形過程においては硬度の調整が可能であり、繊維材としてはスパンデックスと呼ばれ、弾性繊維として有名です。

 

皆さん、洋服ダンスにストレッチ性のある衣服が1着くらいはあるのでないでしょうか、

タグを見るとPU(ポリウレタン)の表記があるかもしれません。

 

 

 PUの用途は?

PUの種類を大別すると、発泡剤を混ぜて重合されたフォーム系(発砲系)と、ゴムベースの非フォーム系(非発砲系)に分かれます。

 

フォーム系・非フォーム系それぞれでさまざまな形状が存在し、それによって作られる製品も多岐に渡ります。

 

フォーム系はポリオールとポリイソシアネートが主成分。

発泡剤、整泡剤、触媒、着色剤などを混合し樹脂化させながら発泡したもので、さらに「軟質フォーム」と「硬質フォーム」があります。

 

軟質フォームは軽くてクッション性や耐久性に優れ、硬質フォームは断熱性があるため、用途が分かれます。

 

軟質フォームは、例えば自動車用のクッション、硬質フォームは建築用の断熱材や防音材などです。

フォーム系用途はあらゆる工業製品に使用されていることから、その市場規模は非フォーム系の倍以上とのことです。

 

一方で、非フォーム系は、エラストマー(ゴム弾性)、塗料、接着剤、合成皮革、水着、ストッキング、インキ、コーティング剤、車部品インパネ、コンソール・ボックス、バンパ、エアロパーツ、ゴム部品などの用途があり、スポーツ用品ではテニスコート、ゴルフボ−ル、スキー、ラケットなど幅広く活用されています。

 

さて、シューズにおいては代表的なPU材は人工皮革です。

岡畑興産が扱う帝人コードレも、まさにPUを使っております。

 

人工皮革は天然革の様に見せる表面層PU塗装により本革のように見せています。

※PU塗装は本革でも使われている塗装の1つです。

 

また、PUはソールにも使われ、ラバーソールのようなソリッド感のソールや発砲ソールもあります。

発砲PU製インソールはへたらないインソールとして認知され、人気の商品です。

 

 

 

TPUとPUのメリット・デメリットもチェック

 

では、気になるメリット・デメリットも見ていきましょう。

 

TPUのメリット

・ 耐摩耗性に優れている

・ 引き裂き強度/引張強度が高い

 

・ 硬度(硬さ)の調整ができる

※60A~75D(ゴムの様な柔らかさから硬質プラスチック製の様な硬さまで)

 

・ 幅広い使用温度で弾性がある

 

・ 衝撃強度がある

 

・ 低温屈曲に強い

 

・ 耐油性、耐薬品性、耐オゾン性等が良好である

 

・ ポリエーテル系は耐加水分解性が優れている

 

・ 耐菌性が良好(ポリエーテル系)である

 

 

TPUのデメリット

・ 紫外線を多く浴びることで黄変していく

※透明、白色などの製品では変色が目立ちやすい

 

・ 加水分解を起こす

 

・ 熱耐性があまり強くない(100度程度で溶解します)

 

加水分解については、ポリエステル系TPUは加水分解進行程度が保管や使用により変わり、ポリエーテル系TPUは加水分解の耐性が強く、ポリエステル系より長く製品が持ちます。

 

 

PUのメリット

・  柔軟性、高い弾性を持つ

 

・防振効果、消音効果を発揮する

 

・  優れた耐磨耗性がある

 

・  衝撃強度が強く、保護カバーなどにも使われる

 

・  抗張力が強く、引き裂き強さがある

 

・  優れた耐油性を発揮する

 

・  耐薬品性に優れる

 

・  低温特性に優れた機能を発揮する

 

・  硬度の種類が豊富

 

 

PUのデメリット

・  耐熱性:耐熱性に弱く、高温多湿の環境下では劣化が早まる

 

・  水分による加水分解が起こる

 

・  空気中の窒素、紫外線、熱、微生物などの影響で徐々に分解する

 

加水分解についてはエステル系とエーテル系があり、エステル系は水に弱く加水分解を起こし、エーテル系は水に耐性が強く加水分解が促進しにくいものがあります。

 

 

 

 

TPUとPUの違いを確認して活用の参考に!

まず、TPUには架橋がないのに対し、PUは使用するポリオールの種類に基づいて架橋できるという化学的違いがあります。

 

そのほか、TPUは熱可塑性であるため、温度が高くなると溶けて冷却すると硬化し、硬化した樹脂をふたたび加熱すると溶け出すという特徴があります。

一方、PUは熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の2つのタイプがあります。

 

材料としては似ている部分もありますが、それぞれの特徴を活かした形で生活の中で色々な製品として使われている材料です。

 

どちらの素材も、日常においても靴においても身近でよく使われる素材であることが分かっていただけたのではないでしょうか

私たち岡畑興産営業マンにとっても身近な素材です。

 

 

岡畑興産では、真面目に靴を作っている会社のブログ「くつナビ」を運営しています。

靴や靴の素材、豆知識などさまざまな知識を発信していますので、こちらもぜひご参考くださいね。

 

※岡畑興産株式会社は、化学品事業靴受託事業が連携し、機能性素材の材料開発・用途開発を進めています。

 

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