こんにちは、岡畑興産靴受託事業部の伊集院です。
先日、帝人コードレ株式会社(本社:大阪)の皆さまにシン・本社にご来社いただき、材料に関する勉強会を開催していただきました。このような貴重な機会をいただけたこと、心より感謝いたします。
前回から続くご縁
去年(2024年)には、弊社メンバーが帝人コードレさんのオフィスに伺い、靴の製造工程についての勉強会を行いました。
今回はそのご縁をさらに深める形で、弊社のシン・本社にお越しいただき、帝人コードレさまが取り扱う素材や技術について詳しくご講義いただきました。
前回の勉強会の様子はコチラから
生地の製造過程や特徴を直接伺えたことで、勉強会に参加した弊社メンバーにとって大きな学びの場となり、また、両社の交流を深める有意義な時間にもなりました。
帝人コードレ株式会社について
帝人コードレ株式会社は不織布・フィルムをベースにした人工皮革やNo-sewフィルムの開発・製造・販売を手がける企業であり、天然皮革の見た目や質感を高度に再現する技術をもっています。
事業もグローバルに展開されており、コードレ製品はシューズやボール、ランドセルなどの生活資材から工業資材や産業用途まで多岐にわたって活用されています。
勉強会で学んだ内容
天然皮革や人工皮革・合成皮革について
帝人コードレさまが強みとする人工皮革は、不織布を基材とし、その上に樹脂を組み合わせて天然皮革を模して作られた素材です。
不織布を基材とすることで強度が増し、軽量かつ扱いやすい特性を持ちます。
• メリット:天然皮革よりも軽い、手入れがしやすい、価格が安定している、動物愛護の観点から配慮できる
• 合成皮革との違い:合成皮革はテキスタイルの上に樹脂フィルムを成形して革の柄を付けたものであり、耐久性や質感の再現性は人工皮革に劣る場合があります。
講義では、人工皮革が完成するまでの工程を細かく解説いただき、工程ごとの特徴を視覚的に理解することができました。
以下の写真は、人工皮革ができあがるまでの工程を1つ1つのステップをわかりやすく視覚化されたモノです。
不織布について
不織布とは、繊維を織ったり編んだりせずに、繊維同士を絡ませてシート状に加工した素材です。
製造工程は以下の流れで進みます:
1. 繊維を成形する
2. 繊維をシート状(ウェブ化)に配置する
3. 熱・圧力・接着剤などで固定し、仕上げる
その結果、フィルターやマスク、衣料、工業資材といった幅広い用途に展開されており、人工皮革の基材としても重要な役割を果たしています。
ウレタンについて
ポリウレタンとは、ポリオートとイソシアネートをウレタン結合して作られるものです。
• メリット:柔軟性や弾力性に優れる
• デメリット:種類によっては加水分解に弱いなど耐久性に課題もある
しかし、組み合わせ次第で多様な特性を引き出せるため、幅広い製品開発が可能となります。
今回の講義では、ウレタンのバリエーションと実際の用途事例も詳しくご説明いただきました。
ボール用途について
スポーツ用ボールへの採用事例も印象的でした。特にバスケットボールでは、実際に手に取ってみると「ボールが手に吸い付くような感覚」があり、グリップ性・吸汗性・クッション性といった機能が求められる理由を実感しました。
サッカーやバレーボールなど競技ごとに異なる要求性能に対応できることも、人工皮革の強みとして理解できました。
その他産業資材への用途
その他の産業資材へ使用例として、ランドセルが挙げられました。
実際にサンプルをブラシで擦る体験をしました。驚くことに傷が付かず、その耐久性に感動しました。
さらに、ランドセルの各パーツ(肩ベルト、ステッチ部分など)に応じて、強度や柔軟性の異なる人工皮革が使い分けられていることを知り、子どもたちが快適に使用できる工夫が詰まっていることに感銘を受けました。
その当時はどうだったかわかりませんが、実は中の人が小学生の時に使用していたランドセルは、現在帝人コードレさんの素材が使われているようです。
特に印象に残ったのは、「水は通さないが空気は通す」といった通気性に優れた人工皮革の存在です。安全性と快適性を両立する技術に、素材開発の奥深さを実感しました。
最後に
いかがでしょうか?
今回の勉強会を通して、弊社メンバーは人工皮革を中心とする素材について深く理解することができました。帝人コードレの皆さまの技術や製品に触れることで、靴づくりや素材選定における視野をさらに広げることが出来たと感じています。
改めて、このような学びの機会をご提供下さった帝人コードレ株式会社の皆さまに、心よりお礼申し上げます。
岡畑興産は、取引先の皆さまと共に学び、共に成長する姿勢を大切にしています。今後も勉強会や交流の機会を積極的に設け、より強固なパートナーシップを築いて参ります。
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