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2026.08.21

リアルトーク

岡畑興産「フットウェア事業」の熱すぎる人達 営業のエース編 〜スポーツシューズを進化させる「知識」と「安心」「素直」な素顔〜

  • #入社を希望される方へ
  • #藤原さんシリーズ

社長から

僕にとっての染谷さんは、靴好き過ぎて話が長いので、なかなか話しかけられない人(笑)であり、“Dots are connected backwards”の体現者。靴メーカーでのキャリア、海外工場での苦労、根っからの靴好きといったDotsが、日本のブランドさまとの企画開発営業で繋がって/花が咲き、今や弊社靴受託事業部のメッシ(W杯準決勝を観ながら、書いております・・・)。

「こだわりを形に」というスローガンで靴受託をやらせてもらっていますが、「こだわりを形に」を形にするキーマン、唯一無二なメッシが染谷さん。メッシが2人3人いるアルゼンチンは最強だぜ、とばかりに、Shoedog染谷さんを民主化・因数分解する、今回のインタビュー企画でございます。「好奇心発、“創意工夫”経由、能動行き」の染谷さんインタビュー出発進行〜!藤原さん、よろしくお願いします。

 


<プロフィール>
染谷展行
岡畑興産株式会社
靴受託事業部 企画・開発チーム
入社年月日:2016年1月1日

工業デザイナーからの始まり

藤原:初めまして。本日はよろしくお願いいたします。

染谷:こちらこそ、よろしくお願いいたします。

藤原:今回、「熱い人シリーズ」、フットウェア事業が3回連続になります。

染谷:それは、嬉しいですね。少しプレッシャーも感じますが、岡畑のフットウェアのことをたくさんの方々に知っていただきたいので、楽しみです。

藤原:聞くところによると、前回、前々回の記事で、社内だけではなく、社外の多方面から、「岡畑興産がどうして靴の事業を展開しているのか」が、よく理解出来たって言われてるそうです。


染谷:そうだったんですね。ますます、プレッシャー感じますね。(笑)

藤原:気軽にお話し聞かせてください。

染谷:はい、よろしくお願いいたします。

藤原:ご出身はどちらで?

染谷:仙台です。

藤原:いいところですね、大好きな街です。大学はどちらに?

染谷:東北工業大学の工学部になります。

藤原:じゃ、ずっと仙台だったんですね。

染谷:そうなりますね。

藤原:大学は何を専攻に?

染谷:工業デザインです。

藤原:へー、平面ではなくて、立体の方の?そもそも、若い時はデザイナー志望だったんですか?

染谷:一応、そうなりますね、あんまり真剣に考えていなかったというのが、正直なところかもしれませんが。(笑)

藤原:多くの学生は、そういうものかもしれないですね。工業デザイナーから商社マンに変更されたきっかけは何かあったんですか?

染谷:実は、新卒ではとある靴メーカーに就職しました。

藤原:靴メーカーですか?靴のデザインをされたかったとか?

染谷:いや、そうではなくて。昔、親戚が靴屋さんを営んでいまして、靴は前々から少し興味があったんです。

藤原:へー。

“しめしめ”から一目惚れした靴

染谷:確か、高校生か大学生になった時にお店に行ったら、「好きな靴を選んでいいよ、お祝いだからあげるよ」って言われたんですが、その店には、ガチっとした紳士靴みたいなものが多くて、色々見てその中で一番高い靴を選んで持って帰ったんですよ。

藤原:“しめしめ、ではお言葉に甘えて”、みたいな?

染谷:そうです、そうです。それから何度かお祝いの時にはそのメーカーの靴を“しめしめ”と思いながら、頂いてました。(笑)

藤原:あははは。で、まさか?

染谷:そうです、その靴のメーカーに入社したんです。

藤原:マジですか。そこからですか?

染谷:そうです。その一番高い靴が革靴だったんですけど、それに衝撃を受けたというか、好きになったというか、忘れられないものになったんですよね。

藤原:衝撃というのは?

染谷:見た目もかっこいいし、なんでこんなにビシッとして型崩れしないんだろうとか、構造的な事も不思議で仕方なかったです。

※今でも大切にしている当時の革靴

藤原:工業デザイナーの血が少し騒ぎましたね。

染谷:革靴って、スニーカーとは色々と違うじゃないですか?特に若い頃は。

藤原:学生の時に履いた記憶がないですね。

有名革靴メーカーへの就職

染谷:私的にはすごく、特別感というか、何かカッコいいなーって、思ったんです。それで、大学3年の時に就職を決めないといけない時にその靴のことを思い出して、「そうだ、あの靴のメーカーで働きたい!」って思ったのが、入社したきっかけですね。

藤原:そこから?(笑)一番高い靴だから、相当有名な企業なんでしょうね。

染谷:誰もが知ってるメーカーさんですね。

藤原:人生って、ほんと、どんなきっかけで変わるかわからないですね。染谷さんの場合は、“しめしめ”からの靴人生の始まりですし(笑)

染谷:ほんと、そうです。

藤原:靴人生の始まりはどうでしたか?

染谷:入社して、20年は靴の設計の仕事をしていました。

藤原:工業デザイナーですものね。ずっと日本で、革靴の専門性を高めていった感じですか?

染谷:いや、日本の後は、中国やカンボジアで3年くらい駐在生活をしてましたね。

※当時のファンクな靴設計士(笑)

藤原:へー、駐在もされていたんですか、中国語、カンボジア語は話せるんですか?

染谷:全くです。(笑)

藤原:どうしてですか?(笑)駐在員って、話せるというか、話せるようになるイメージがあるんですけど。

染谷:日常会話レベルは大丈夫ですよ、もちろん。仕事は靴の専門用語だし、そんなペラペラになる必要もないというか、コミュニケーションがきちんととれていれば大丈夫なんです。

藤原:それを話せるというと、思ってますが。。。

犬塚:多分、話せるんですけど、話せるレベルの基準が違うんですよ。日本語のように、スラスラを話せるのが彼のいう話せるなんでしょうね。当たり前の基準が違うんですね。

藤原:であれば、私は日本語も最近怪しいですね。(笑)言葉が出て来ないです。

犬塚:あははは、一緒です。(笑)

藤原:で、何年、その靴の会社でお世話になったのですか?

染谷:23年くらいですかね?

藤原:日本20年、海外3年ということですね。そんな人がなぜ、岡畑に?

岡畑興産との出会い

染谷:そうですね、海外生活に憧れもあって、駐在員をしていましたが、プノンペンにいる時に、このままずっと海外で働くのかな?とか、日本でもう一度仕事をしてみたいな〜という気持ちが芽生えてきた時に、「岡畑興産って会社が靴に詳しい人を探している」という話を聞いて、いいタイミングで面接させていただきました。

藤原:「第二の人生、岡畑にかけてみるか」みたいな?

染谷:ですね。たしか、東京オフィスで面接させていただいた記憶があります。

藤原:PattyみたいにZoomじゃなかったんですね。(笑)

染谷:あははは、そうですね。スーツを着て、ネクタイもしてお伺いしました。

Patty:なんか、私、悪者になってません?

全員:あははは。(笑)

藤原:で、何年に入社されたんですか?

染谷:2016年1月です。

藤原:最近なんですね。というか、入社10年じゃないですか!おめでとうございます。 

染谷:ありがとうございます。

藤原:岡畑に来たのは何歳の時でしたか?

染谷:今57歳なので、47歳ですね。

藤原:なかなかの年齢で入社されましたね。

染谷:一度しかない人生ですし、色々と経験するのはいい事だと思っているので。

藤原:120%同感です。配属はフットウェアの靴受託ですね?

日本に戻ると思いきや、また東南アジアへ

米本:そうですね。彼の知識を靴受託で活かしてもらいたかったので、OTW(岡畑台湾)で数日研修後、OTV(岡畑台湾ベトナム)のベトナムの工場に配属になりました。

藤原:え?日本で暮らしたいって、言ってませんでした?断らなかったんですか?

染谷:私も最初は日本だと思っていたんですけど、色々と話していくうちに、「ベトナムか、どうしようかな〜、ま、いっか」みたいな気持ちになっていました。確か、2016年の1月4日が会社の始まりだったんですけど、東京支店で社長に挨拶して、翌日には岡畑台湾/台中、翌週にはベトナムへ、という感じでした。

藤原:んー、行動力というか、断る暇もない感じですね。(笑)

染谷:ほんと、そんな感じです。翌日の1月5日にはもう台湾にいましたからね。

藤原:第二の人生、岡畑にかけてますねー。(笑)というか、染谷さんの人生って、日本と東南アジアで靴を追いかけて30年くらいですよね?相当、靴好きじゃないと出来ないと思うのですが。

ものづくりがベースの思考

染谷:それはそうですよ。嫌いなことは続かないし、続いてもいい仕事にはならないですよね。元々、私は開発とか、生産とか、「ものづくり」が大好きなタイプなので、そういう意味では岡畑にフィットしてるのかもしれないです。

藤原:「ものづくり」ですか。その表現いいですね。なんだろ、「商品開発」とは少しニュアンスの違う日本っぽさというか、丁寧さというか。大学で工業デザインを専攻していたのが理由なのかわかりませんが、「開発や生産」を「ものづくり」って、言われると、とてもしっくりきます。

染谷:無意識ですね。

藤原:今は東京で勤務されているんですか?

染谷:そうです。7年くらいになります。 

藤原:具体的にどんなお仕事をされているんですか?

染谷:企画開発なので、営業ですね。お客様の新商品開発がメインになってます。最終の量産に持っていくまでに、色々な業務の方々と協力しながら、トライしていく感じです。

藤原:品質管理も?

染谷:品質管理は犬塚さんがメインでされているので、私はあまりしてないです。

藤原:ベトナムでは工場側の仕事を経験し、商品開発も大丈夫みたいな感じでしたか?

染谷:そういうのもありましたし、“肌に合っていた”というのが、近いかもしれないです。

藤原:肌にあう?

染谷:これまで、“ものづくり”をずっと繰り返してきたおかげで、知見や経験が積み重なって、ようやく、お客様との会話の中で活きてきたっていうのは、肌に合っていたのかなって思いました。

ものづくりから営業のエースへ〜人と組織のフィット論 染谷さん編〜

犬塚:実は彼、社内表彰式のOkahata Awards 2023のMVPを獲ってるんですよ。

藤原:え、そうなんですか?東京転勤になって、営業4年目くらいでMVPって、すごくないですか?

犬塚:ねー。(笑)営業が初めてなのに、肌が合っていたとはビックリです。入社時は、靴作りの経験があるという理由でベトナムの工場配属になりましたが、営業転向後に彼の本当の良さが花開いたというのは、いろんな意味で嬉しかったです。

藤原:確かに、ものづくりの人が営業で花開くって、不思議ですね。

米本:一般的には、営業はコミュニケーション力を中心とした「ひとマネジメント」、いわゆる「ひとマネ」だと思うんですね。ものづくりは「ことマネジメント」、いわゆる「ことマネ」なので、ものづくりキャリアの彼には、「ことマネ」のベトナム受託工場のマネジメントをお願いしたのですけど・・・・。

藤原:けど?

米本:しっくりこなかったみたいですね。(笑)よく考えたら、受託工場マネジメントは、工場マネージャーや現場の皆さんに品質管理を徹底してもらう“ひとマネジメント“なんですよ。だから、話の長い(笑)染谷さんは、いまいち、ハマらなかったんだと思います。

藤原:先入観というか、確証バイアスが走ったんですね。

米本:そうですね。で、東京転勤になって、日本のブランド様との企画開発をする営業職を任せたら、「コミュ力依存型」ではない、「靴知識型営業」がすごく開花したというか、フィットしたんです。「話の長さ」=「熱量+知識」と皆様に前向きに解釈いただいているんだと思います。(笑)

藤原:「コミュ力」を「知識」でカバーする営業が認められていったわけですね。

社長:彼の「知識型営業」という特技を先に見出せなかったのは、「人と組織のフィット論」を目指している岡畑としては、大きな反省でした。

藤原:そういう経験の積み重ねが、理想の「岡畑のフィット論」につながっていると思います。

犬塚:2023年のMVPに続き、2025もMVP次点を受賞、沖縄で表彰されてましたよ。今では靴受託の営業のエースと呼ばれてるくらいです。

藤原:すごい!「ものづくり」が営業エースと呼ばれてるなんて。

染谷:全然、エースじゃないですよー。

犬塚:ずっと靴業界や靴材料のことを調べているので、彼の靴に関する知識はどんどん広がるばかりです。だから、絶対に靴受託には欠かせない存在なんです。

染谷:なんか、怖いくらい褒められてるんですけど。。。(笑)

全員:あははは。(笑)

藤原:岡畑に来てもらってよかったですね。

米本:そうですね。来てもらった理由は、工業デザイン出身、靴メーカーでのキャリア、海外駐在経験、ということだったと思いますが、今だから言えるのは、彼はとにかく靴が好きで、これは“マテリアルエクセレンス”に欠かせない要素なんですよね。まさか、営業で花開くとは、想像も出来てなかったですけど。

藤原:面接されたんですか?

米本:いや、当時の私は、靴材料販売一筋だったので、染谷さん採用の件は何も知らなかったんです。(笑)

藤原:社史を見られたんですか?(笑)

米本:あははは。(笑)これは流石に載ってないです。

藤原:でも、MVPまで獲って、エースと言われるようになるくらい営業で花開くのって、何か秘訣みたいなのがあったのですか?ものづくりの人が知識だけでそこまでいくのが不思議で仕方ないんですが。

まさかの、ひとりテレアポ大作戦

染谷:そんな秘訣なんて何もないですよ。(笑)必死にやっていただけです。唯一、皆さんと違っていたのは、営業経験が無い私が、営業に配属後すぐに、コロナ渦になったんです。

藤原:あー。

染谷:他の営業のみなさんは、もともとお付き合いのあるお客様とか、取引先つながりのご紹介ルートを持っていましたけど、私にはそれが全くなかったんです。

藤原:ですよね。

染谷:営業配属後すぐのコロナで、人にも会えない、既存のつながりを育てる時間もないまま、気付けば、ひとり、家で仕事をしなければいけない状況になっていたんです。

藤原:どうされたんですか?

染谷:自分に出来る打ち手はいったい何だろうと考えた時に、行き着いたのが、電話営業、テレアポでした。

岡畑:テレアポ営業のリストみたいなものがあったわけじゃないですよね?

染谷:はじめは何もなかったです。とにかくネットで調べまくって、「ゴルフ」「野球」「バスケ」とか、キーワードを立てて、関連企業さんをとにかくたくさん調べて、その中で自分なりに気になった企業さんをより深く掘って、「この企業さんには材料で勝負できそうだ」とか「ここの企業さんは仕事のチャンスがありそうだ」という仮説として立てて、メールか、電話か、直接訪問か、アプローチ手法も考えて、自分たちでリストを作ってやってました。とにかく、やってみることにしたんです。

米本:やってみるしかなかった・・だよね?

染谷:ですね、追い込まれてましたからね。

藤原:ハンデをポジティブに変換して、準備したわけですね。

染谷:正直、打率で言えば1%くらいのものかもしれません。100社当たって1社つながればいいくらいなので。メールさせていただいても返事はありませんし、電話がつながっても、担当の方には辿り着きませんし。

藤原:落ち込みませんでした?

染谷:そんなことないと言えば、嘘になりますが、とてもしんどかったです。毎日、毎日断られてばかりですし、電話で、クレームを言われることだってありました。でも、ここで諦めたら、次のチャンスは生まれないから、諦めずにやり続けました。

藤原:「諦めたら試合終了」ですね。

染谷:そうですね。展示会にも、シューズ直球のものだけじゃなくて、一見シューズと全然関係なさそうなものにも足を運びました。もしかしたら、そこに新しい素材が眠っているかもしれない。シューズに転用できるものがあるかもしれない、と思ったりして。

岡畑:いやー、ひとりテレアポ作戦の話、鳥肌ものです。誰に言われたわけでもなく、ゼロからリストから作って、電話をしては断られ、そして、最後は受注まで繋げてしまっている。没入営業の極み。頭が下がります、ほんと、ありがとう。

染谷:いやいや、自分が出来る当たり前のことをしていただけです。

岡畑:そういう考えのベースがすごいですよね。弱みを強みに変えるその熱量や、専門性があるから、お客様も聞いてくれたり、会ってくれたりしたはずで、そのタネがどんどん大きくなって、組織の血となり肉となり、結果に繋がっているし。熱量と専門性と行動を積み上げた末にしか出せない、営業の“凄み”を感じます。すごい。

染谷:いやいや、でも、能動的に動くことで何かしらの結果にはつながる事がわかったのは、私的には良い経験になりました。

藤原:まさに、背水の陣の影の功労者ですね。

犬塚:ほんと、そうです。能動的な行動が結果につながって、話すのが苦手なのにガンガン電話したり、メールしたり、展示会でもつながりを持とうと必死に動いている姿はみんなのお手本になったし、会社を救ったと言ってもいいと思います。

染谷:なんか、本当に怖いんですけど、褒めれてばかりで。(笑)

全員:あははは。(笑)

藤原:その知識は岡畑の前の会社が大きかったですか?

革靴とスポーツシューズの違い

染谷:そうですね、20年以上も、有名ブランドで仕事をさせてもらっていたので、市場や業務の流れ、靴の本質的なことは理解してるつもりだったんですけどね。

藤原:“だった”というのは?

染谷:スポーツシューズと材料は、本当に奥が深いんです。革靴を長くやってきたので、靴作りについてはそれなりに分かっているつもりでしたが、岡畑に来て、スポーツシューズの世界に入ってみたら、その考えは甘かったなと痛感しました。「靴を作る」という根本のところは一緒なんですけど、素材が変わると、ここまで作りが変わるのかと、鼻をへし折られた感じでした。材料の知識って、革靴とはまた別の深さがあるんです。

藤原:別の深さ?

染谷:素材が変わって、つくりが変わると、私の知っている材料知識では追いつけないというか、革靴とは違う、“スポーツシューズの知見”という材料知識の奥深さに衝撃を受けた感じです。

藤原:カウンターパンチみたいに?

染谷:そうですね(笑)フットウェアの皆さんは私の知らなかった材料知識を持っていて、靴ってこんなに広がりがあって、材料ってやっぱりすごいものなんだと気づかせてくれたのは、岡畑に入社して、皆さんと知り合えたことかもしれないです。

犬塚:ほんとに?(笑)いい事言ってない?

染谷:ほんとですよー。

藤原:その靴の広がりっていうのは、材料の違いなのか、材料が違うと、全て変わってしまうのか、もう少し教えてもらえますか?

靴材料技術こそが、スポーツシューズを進化させる「マテリアル・エクセレンス」

染谷:まず、考えるのは用途がシンプルか多様かということですね。革靴は基本、通勤・通学で道を歩いたり階段を上ったりという日常使いが前提なので、求められることは割とシンプルなんです。でも、スポーツシューズは競技ごとに違ってきます。サッカースパイクと野球スパイク、バスケットボールシューズでは、重きを置くポイントがそれぞれ全然違うわけです。

藤原:なるほど。

染谷:次に構造そのものの違いですね。革靴は、まず木型ありきで、そのこだわりの木型にいかに革をぴったりフィットさせるか、革の質感やディテールで勝負する世界です。一方、スポーツシューズは、競技特性ありきなんです。特性に合わせて、作り、構造、素材、補強の入れ方まで、全部違います。

藤原:確かにそういう風に言語化されると、違うなーって、素人的にも感じますね。

染谷:でしょ?一番刺激的だったのが、業界の向いている方向がまるで違うということもありました。革靴は「昔の良き作りを今に残す」、つまり継承が大事な世界なんです。スポーツシューズは真逆で、日進月歩で日々進化していくんです。新しい材料技術が活かされ、パフォーマンスや時代の流れを追求して進化していく感じですね。“伝統の革靴”と“進化のスポーツシューズ”、この根本的な方向性の違いが、私にとっては刺激というか、まだまだ勉強が足りないと痛感しました。

藤原:熱いですねー。(笑)その進化をリードするのが、材料知見、マテリアル・エクセレンスだということですね。

米本:そうなんです。ブランドさんが表現したい“こだわり”の差分を生み出せるのは、材料なんですよね。だから、彼が言うとおり、材料が変われば、靴作りの工程も構造も変わってくるんです。別の意味で、彼の靴作りの知識も活きてくるわけです。

岡畑:染谷さんは社内資料で、弊社の強みを「材料を起点としたアプローチ→将来への期待感」と表現していて、ひとりグッと来たことがありましたね。

藤原:ほー。

犬塚:ほんと、彼は趣味が仕事なんですよ。だから、熱くなるし、仕事に没入しちゃうんです。

藤原:仕事が一番楽しいってことですか?

染谷:かもしれないですね。お客様に喜んでもらった時とか、それが売上や利益につながって、会社に貢献出来た時はほんと、嬉しいです。商品が量産されるまで、1年、2年かかるのは当たり前ですから。

藤原:前回も、同じことを米本さんがお話しされてました。契約に至るまで、量産につながるまでに、細かいところを打ち合わせしたり、根回ししたり、準備したり、数年かかるのは当たり前で、そのおかげで、個人のレベルをどんどん上げていって、商品になったら嬉しいって。

染谷:ほんと、その通りです。

安心出来る人のベース

Patty:今期の私は「染谷さんと組んで行動」を基本にしてるんです。染谷さんみたいに、信頼出来て、知識のある人と組むって、私的にも“安心”出来るんですよ。

藤原:確かに、お話を伺っていると、「この方は“安心”出来る人」って感じがしますね。「ものづくり」+「営業エース」からくる知識と言葉がそういう気持ちになるのかな?

犬塚:そういうこともあると思いますけど、私から見たら、彼は根が素直で真面目なんだと思いますね。それが、“安心”ということに繋がっているような気がします。 

藤原:あー、素直って、なんかわかります。

犬塚:ですよね? 相手のことを考えて話すっていうのもそうだけど、自分の言葉に責任もって話しているところから来てるような気がしますね。

藤原:あー、すごくわかります。

染谷:んー、そうですかー?

素直+頑固+専門性=安心感

犬塚:すごく、頑固ですけどね。(笑)

藤原:え?頑固なんですか?

染谷:と、思います。(笑)

犬塚:やっぱり、根が職人気質というか、知識がすごいので、なかなか折れないところあるんですよ。1時間前まで、別件で打ち合わせしてたんですが、全く折れないんです。この後、再開予定です。(笑)

藤原:そんなふうに見えないですけどね。というか、「素直」と「頑固」って、矛盾してません?

犬塚:彼の「素直」は人の気持ちを理解し、受け入れる寛容性と好奇心の塊から来てると思いますね。「頑固」は靴知識職人の「頑固」の両方を持ってるので、相反するものを持ってるんだと思います。

藤原:なるほど、すごいかも。「寛容性」、「好奇心」、「頑固」を持つ靴職人って。実は、MVPも獲っている営業のエースって、事前に伺っていたので、どういう感じの人かって興味深々だったんです。この3つが揃っていると、それは強いですよね。

染谷:いやいや、私はどちらかというと、コミュニケーションも苦手ですし、臨機応変に会話の対応が出来るタイプではないんです。どちらかというと、お客様の情報を事前にしっかりと準備して、挑むタイプなんです。だから、突発的な会話になると何も出来なくなって、Pattyさんみたいに上手く会話の波に乗っていけないんです。

藤原:確かに、先ほども、ある芸人さんの話で盛り上がっていた時、ポカーンって、されてましたものね。(笑)

染谷:ほんと、そうなんです。知らない内容になると、頭が真っ白になって、思考が止まってしまうくらいなんです。

藤原:そこをPattyが埋めていく話に繋がるんですね?

Patty:私は、話すのは苦ではないけど、靴知識がまだまだ足りないので、彼といると私もお客様も安心するんです。だから、今期は二人タッグにしようと。

米本:で、いつからするの?もう、夏だよ。出来てないよー。(笑)

Patty:パタパタのPattyがバタバタして出来てないです。やります。

藤原:あははは。(笑)

(知識9:コミュ1)+(コミュ9:知識1)=100

米本:チームって、色々な人がいて、例えば、染谷さんみたいに専門性の高い人や、知識は無いけど、営業やコミュニケーションが得意だったりとか様々なんです。最近、岡畑では、明るくて人あたりがいい若い人が入社してますが、知識はまだまだなんです。でも、逆に染谷さんは有り余る靴の知識・専門性で、勝負をしていて9割の「靴知識、準備、好奇心」と1割のコミュニケーションでお客様と話し合うんですよね。先ほどの「知識型営業」っていう半端ない「準備型営業」なんですよ。

藤原:早くタッグ組まないと!(笑)

Patty:や、やります。(汗)

藤原:あははは。(笑)染谷さんの「知識9:コミュ1」+pattyさんの「コミュ9:知識1」=100になるのが見てみたいです。

Patty:や、やりますから。(汗)

全員:あははは。(笑)

米本:本来はみんなが「知識6:コミュ4」くらいの感じがいいバランスでそうなって欲しいと思いますけど、この新しい9+1の方程式も楽しみなんですよ。

染谷:靴の知識って、今でも勉強するくらい幅広くて、奥が深いんです。私的には「広く浅く」を基本にしながら、核になる「専門性」を何か一つでもいいから持って営業をさせてもらってます。

育てることが出来ないプレーヤー

藤原:その考えを後輩たちに向けているのですか?

染谷:いやー、それが人を育てるということが苦手で。

藤原:そうなんですか?

染谷:もちろん、相談に来たら、答えますし、アドバイスもしますけど、こちらからどう?大丈夫?みたいな感じはないですね。

犬塚:そうだね。そこだよね。東京・大阪の距離も壁になってるよね。

藤原:マネジメントが苦手な感じですか?

染谷:どうしても自分のことでいっぱいになってしまいます。プレイングマネジャーになれないプレイヤーみたいな感じでしょうか。後輩よりお客様を優先にしてしまうところが、バランンス感覚がまだまだなんですよね。 

藤原:誰もがぶち当たる壁です。

染谷:自分で抱えてしまうんですよね。自分が動かないと気が済まないみたいな?

藤原:それを越えれば、人も育つし、染谷さんも楽になりますもんね。

染谷:楽になるのは嫌ですけど、育てる事は大切だとずっと考えているので、今日、良いきっかけを与えてくれた気がします。

犬塚:言ったね。聞いたからね(笑)でも、頑固な部分は教えないでね。

藤原:あははは。(笑)でも、ずっとお話を聞いていると、普通に話しているから、コミュニケーション力はあると思いますけどね。

MVP賞は個人賞ではない

染谷:「得意ではない」という表現が良いかもしれないですね。こんな僕がMVPって、なんだか恐縮します。他のみんなの方がたくさん頑張っていますし、みんな貰えばいいのにと思います。

藤原:最も優秀な選手(MVP)だから、一人ですね。(笑)

染谷:Most Valuable players か cheamsにしたらいいんですよね?

藤原:頑固が出てきましたね。(笑)

染谷:あははは。結局、私1人が結果を作ったというよりは、チームがいて結果が出たことなので、こういうMVPが個人のものより、チームですよね?って言いたいだけなんですけどね。

藤原:みんながもらえるように、後輩を育ててくださいね。

染谷:あ、そこに繋がるんですね。(汗)頑張ります。Pattyさんみたいになってますね。(笑)

Patty:今日は、二人とも追い込まれてますね?

染谷:ですね。

全員:あははは。(笑)

藤原:本当に良いチームですね。初対面の私も安心して、お話を聞いていられます。岡畑の人は「好奇心発、能動行き」の電車に乗っているのがよくわかりました。

染谷:前の会社が大きかったので、一つのプロジェクトを遂行するのに、縦横の調整や、時間かけても、結局、最終的にはNGが出たりとかが普通だったんです。

藤原:大企業あるあるですね。

岡畑の良さは人

染谷:岡畑は言い意味で、スモールだし、向かってる方向やビジョンは共有されてるので、自由に動けるし、やりたいことをやれるというか、能動的に動いていると、結果は必ず付いてくると感じますし、失敗しても、次への好奇心で、カバー出来るのが岡畑レールだと思います。

藤原:みんなが必ず言う「自由度の高い会社」がまた出ましたね。(笑)

染谷:ほんと、それが岡畑のいいとこですし、好奇心もない、言われたことだけやってる人はある意味、勿体無いですよ。ここは若い人も中途の人もみんな好奇心があって、楽しくて、海外を駆け巡って、いろんなことが勉強できる面白い会社だとつくづく感じます。

米本:ありがたいこと言ってくれるなー。

藤原:「やりたいことする人」は仕事に没入して、能動的で、根っこというか、芯があるというか、何かしらの強みがありますね。

染谷:言われたことだけするって、全然面白くないですよね。ここは自由だから、やりたいことが自然と見つかる文化というか風土があるのがいいんです。

ものづくりは創意工夫

藤原:働いてる時に大切にしてる考えや言葉みたいなものってあるんですか?

染谷:「創意工夫」ですね。工業デザインから始まったこの人生で、考えて、工夫しないことで結果なんか出ないし、面白くないじゃないですか。今よりもベターな考えを探してるので、創意工夫になります。

犬塚:パソコンに熱がたまって、みんながワーワー言ってる時も、ダンボールで底上げして、熱を逃してたよね。冷ませーって!あれも創意工夫?(笑)

染谷:あははは。もちろん!

藤原:ダンボールをもう少し、他のものにした方がいいような気もしますが。(笑)

染谷:そういう、少し抜けてるところ、結構あるんです。(笑)

犬塚:そうだよね!携帯とかすぐ無くすし!先日、あまりにも探す時間がもったいないから、スマートウォッチをつけさせました。(笑)

藤原:あははは。(笑)仕事の創意工夫は出来ても、そういうところがあるって、人間っぽくていいじゃないですか。

染谷:単に抜けてるだけです。(笑)

藤原:そういうのも含めて安心できる人なんですね。頭でっかちじゃないというか、素直さが滲み出てるっていうか。第二の人生、たどり着いた岡畑はどうですか?

染谷:もっと早く、入社したらよかったと思いました。多分、私みたいに、色々と悩んでる人って、世の中にいっぱいいると思うんです。なかなか一歩前に進めない人っていうか。そういう人こそ、ここはほんと良い会社なので、ドアを叩いたらいいのにって思います。

米本:ドアはいつも開いていますよ。

犬塚:いや、夕方には閉まります。

全員:あははは。(笑)

藤原:そろそろ夕方なので、終わりますね。(笑)今日は長時間ありがとうございました。楽しくお話が聞けました。

染谷:こちらこそ、ありがとうございました。こんな話で原稿になるんですか?

犬塚:それが、なるのよー!(笑)

藤原:は、はい。やります。(汗)

全員:あははは。(笑)

編集部より
染谷さんのバックグラウンドがすごくわかりましたね。
ほんと、仕事大好きな人って、何か大切なものを持っていますね。
というか、フットウェアは長くなってしまいますね、熱い人ばかりだからかな。

次回もフットウェアがまだまだ続きますよ!
お楽しみに。

 

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