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2015.01.25

リアルトーク

岡畑興産「フットウェア事業」の熱すぎる人達 歴史と人編 〜化学品商社が手がけるフットウェアの歴史: Shoedog米本とマザーイヌヅカの軌跡、マテリアル・エクセレンスのこと〜

  • #入社を希望される方へ
  • #藤原さんシリーズ
  • #熱いリーダー

社長から
前回は、弊社フットウェアから靴受託事業部の「新リーダー」編をお届けしましたが、今回は、弊社の誇るShoedog、“マテリアル・エクセレンス”を体現する 米本。こだわりの靴受託を整え続ける“人間観察”の犬塚を中心にお話をお届けします。

事業に歴史あり。フットウェア事業のはじまり、激動の歴史と支えてきた人、これからを支える人たちの物語。米本、犬塚、丸田の長〜いお話、藤原さん今回もお願いしまーす。

 

<プロフィール>
米本弘
岡畑興産株式会社
フットウェア事業 統括
取締役
2018年1月1日よりOKH(岡畑興産)取締役の就任兼フットウェア事業 副統括就任
入社年月日:1990年3月26日
 

<プロフィール>
犬塚りつ子
岡畑興産株式会社
靴受託事業部 生産・ロジスティクチーム
アシスタントグループリーダー 兼)生産・ロジスティクチーム チームリーダー
入社年月日:2002年1月1日
 

<プロフィール>
丸田貴子(Patty)
岡畑興産株式会社
靴受託事業部 企画・開発チーム
チームリーダー
入社年月日:2025年10月1日

フットウェア事業=(靴材料販売+靴受託)×(マテリアル・エクセレンス)

藤原:こんにちは。今回、フットフェア事業は初めてのインタビューになります。本日はよろしくお願いいたします。

米本:こちらこそ、よろしくお願いいたします。事業担当役員の米本です。

藤原:簡単にお二人のご紹介とフットウェア事業の説明をお願いしていいですか?

米本:もちろんです。フットウェア事業の中には、靴材料販売と、靴受託という二つの事業部がありまして、組織図で表すとこんな感じです。

フットウェア事業
└ ①靴材料販売事業部[岡畑香港(OKHK)]
└ ②靴受託事業部[岡畑興産&台湾岡畑(OTW)]:副事業部長=犬塚
      └ 靴企画・開発チーム(FCD):丸田
      └ 靴生産ロジチーム(FPL):犬塚

2人が②靴受託事業部のチームリーダー、犬塚と丸田です。

犬塚/丸田:よろしくお願いいたします。

藤原:こちらこそ、よろしくお願いいたします。今日は、フットウェア事業の中の“靴受託事業”について、お話をお伺い出来るのですね。楽しみです。

米本:はい、よろしくお願いします。

藤原:犬塚さんは靴受託事業部の副事業部長も兼任されているのですか?

犬塚:昨年からですが、担当しております。

藤原:すごいですね。リーダーお二人とも女性なんですね。イメージ的に米本さんの部下は、体育会系の男性かと勝手に想像しておりました。(笑)失礼しました。

米本:昔はそうだったかもしれませんね。(笑)

全員:あははは。(笑)

藤原:丸田さんは緊張されているように見えますが、大丈夫ですか?

丸田:いやー、こんな感じで、普通に始まるんですね。(笑)少し緊張してます。

藤原:このインタビューは、なぜかみなさん緊張すると、おっしゃられます。(笑)結構、幅広く読まれているらしいですし。

社長:社内外問わずに、平均滞在時間も長く、エンゲージメントも高いんですよ。先日のONLでも、そのことについて少し触れました。
Okahata News Letter

藤原:岡畑興産は化学商社というイメージが強いのですが、実はフットウェア事業もすごいんですよね?まずは、フットウェア事業の靴受託について簡単にお話をお伺い出来ますか?

米本:フットウェア事業は簡単には説明出来ないため、少しだけ、長くなりますが、お許しください。

藤原:は、はい。お願いします。

米本:まず、①靴材料販売は、北米の世界トップスポーツシューズブランドに、日本の高機能プレミアム靴素材を販売していまして、岡畑興産グループの中でも「イノベーションに食らいつく」というスローガンそのままの事業なんです。

藤原:ちょっ、ちょっと、いいですか?

米本:どうされました?

藤原:岡畑香港は先ほどの組織図でいう「靴材料販売事業部」ですよね?今日は「靴受託」なので、岡畑興産/台湾岡畑の話ではないのですか?

米本:あー、フットウェア事業を語るには、まず、歴史の始まりというか、コアである靴材料販売を語らないと始まらないんですよ。

藤原:わ、わかりました。お願いします。

米本:まず、①靴材料販売は、北米の世界トップスポーツシューズブランドに、日本の高機能プレミアム靴素材を販売していまして、岡畑興産グループの中でも「イノベーションに食らいつく」というスローガンそのまま、本質を突いている仕事なんです。岡畑香港という名前ですけど、色々歴史があって、今は台湾の台中が本拠地になってます。靴の企画はお客様がいる北米で決まりますけど、納入先はアジアを中心とする世界中の靴工場になるので、世界の靴作りは、実は台湾系の工場が支えていて、その本社は台中に集積、だから岡畑香港は台中にあるという、少しややこしいですけど。

藤原:はい、すごくややこしいです。(笑)企画は北米で、台中から日本の素材を、北米ブランドに販売していて、それらは世界中の靴工場に納品している。で、合ってます?

米本:合ってます。(笑)

藤原:んー、ややこしさとダイナミズムは伝わりました。(笑)

米本:しかも、40年続いているこの組織をダイナミックに引っ張っているのが、今日は不在のEthanというリーダーで、靴材料販売の“現在”、“未来”、“マテリアル・エクセレンス”を語り出すと止まらない熱い男がいるんです。

藤原:マテリアル・エクセレンス? 

犬塚:すみませんね、わからないでしょ?すぐ、熱くなるんですよ、米本は。“こういう人”なんです。

藤原:“こういう人”?なんですね。(笑)

犬塚:いきなり、「マテリアル・エクセレンス」の話をしても、ご理解いただけないと思うので、「靴受託」の話を私から説明いたします。(笑)

藤原:えーっと、「材料販売」は置いて、「靴受託」ですね?よくわかってませんが、お願いします。(笑)

靴受託事業部の仕事

犬塚:はい、そうしましょ。では①靴材料販売事業部は一旦、置いておいて、先ほどの②靴受託事業部はこういう組織で、

②靴受託販売事業部(岡畑興産&台湾岡畑)
    └ 靴企画・開発チーム(FCD):丸田
    └ 靴生産ロジチーム(FPL):犬塚

丸田の「靴企画・開発チーム(FCD)」は、「靴企画・開発」という名前ですが、いわゆる「営業」と思ってください。

藤原:どうして、「靴企画・開発」という名前に?

犬塚:お客さまの企画=“こだわりを靴という形にする”という提案をするために、企画を任せていただき、その後も、サンプルを何度も作りながら、素材・金型なども決め込み、設計図まで落とし込むのが、主な仕事になるので、「営業」というより、「靴企画・開発」になるんです。

藤原:御用聞きではない、本来の営業の形ですね。

企画・開発とは

犬塚:そうですね。そこは営業と企画に分けられないというか、こだわりの部分でもありますね。

藤原:丸田さんチームが企画コンペを勝ち抜いて、設計図を作り、犬塚さんの生産ロジチームにバトンを渡して、製造するという感じですか?

米本:そんなにシンプルではないんですよ。コンペも、ラフ・スケッチから始まることも多いですし、アパレル企業のお客様が新しく靴を始めるケースとか、シューズブランドのお客さまでも、未開拓の新しいカテゴリーの靴にチャレンジする場合は、相談いただくケースから始まるとか、様々なニーズに対応しながら、アイデアと一緒に靴の設計図を作り込むのが、“企画・開発チーム”の本質的な部分になります。

社長:企画をいただいて、量産に取り掛かるまで数年かかることも多いですし、いざ、量産が始まっても、年2回ほどのモデルチェンジがあったりするので、量産しながら、別の企画・開発が同時並行で進むという感じですね。

米本:例えば、お客様が「次は軽量版を」とか、「こだわりの違うカテゴリーの靴を」、みたいな企画をいただくと、我々は靴材料のプロなので、“軽量化”や“こだわり”という差別化を、「材料知見」で提案出来るノウハウを持っているんです。それが、先ほど言いたかった“マテリアル・エクセレンス”のひとつなんです。

社長:お客様が使いたい材料でも、「それではコストが合わないからこちらは?」とか、「その材料は不具合が出る確率が高いので、こちらの材料はいかがですか?」、みたいな逆提案が出来るのも、マテリアル・エクセレンスの一つですね。

藤原:な、なるほど。御用聞きでないことはすごくわかりますし、企画・開発チームだけでもすごいボリュームの業務をされていることがよくわかりました。犬塚さんの靴生産ロジチームについても、お伺いできますか?

生産ロジとは

犬塚:私的には「企画・開発」はボリュームがあるというより、クリエイティブな業務をしている感じですね。「靴生産ロジチーム(FPL)」こそボリュームある仕事って感じてます。

社長:確かにそうですね。

犬塚:生産から始まって、物流、品質管理のお仕事までですから。

藤原:品質管理までですか。3つの部門があってもおかしくないですね。

犬塚:でしょ?(笑)ファッション製品的要素があるからでしょうか、設計図が出来てからも、最後の最後までデザイン変更は結構多くて、素材、金型や設計図のバージョン管理は、地味ながら、とても気を使いますし、大切な業務なんです。

藤原:うわー、それって運営のキモじゃないですか?修正の対応まで犬塚さんのチームでされるんですね。「バトンを渡されて製造」なんて言ってしまい、すみませんでした。

社長:化学原料のスペック=サイエンスの世界と比較すると、売れるか売れないかの感性の要素や市場性に左右されやすいので、想像以上に途中変更が多いですしね。

米本:ブランドのお客様は、こだわりを売れる形に持っていくために、最後の最後までこだわって、こだわって、デザイン変更をされているのはよくわかるんです。だから、我々もそれに対応出来る能力と対応力、スピードがないといけません。とはいえ、靴工場は靴工場でこだわりもありますから、コスト意識や、生産性のために勝手に図面や手順を変えたりすることがよくあるので、調整力も必要になってきます。

金型を知らない間に変えられると、材料や設計図の多方面に影響してくるので、元に戻すのがすごく大変なんです。だから、図面管理を徹底し、図面通りに出てこないサンプルはやり直しの連続です。ブランド様のこだわりを守り抜くのも、生産ロジの仕事なんですよ。

犬塚:そうですね、お客様のこだわりとか、ご要望が確実に量産品としてお届け出来るよう、工場や金型屋、設計士、生産管理者まで色んな関係者と裏や表でタフな交渉をしながら、最終的に品質チェックして、お客様に納品までを行っています。

藤原:うわー、“量”というか、ボリュームどころか、“質”もとことん追いかけ、それを遂行されてるのですね。すごいです。

米本:岡畑は金型、材料屋、靴工場の言語、癖、人まで熟知しているので、大きなブランド様からは、工場との煩雑な「後工程」を岡畑に任せたい、という依頼もいただいたりします。

藤原:知力、体力、世界言語力、バランス力、、、すごいことしてますね。

米本:場所も、日本・台湾・生産工場と最低3カ所の連携がいるので、時間、労力、神経は相当使いますね。

藤原:材料チームは台湾中心とお伺いしましたが、受託チームはどこで?

犬塚:お客様とは日本がベースですけど、生産はパートナー工場があるアジア各地です。各生産工場に岡畑台湾(OTW)の社員が常駐していて、日本、台湾、中国、ベトナム、カンボジアで協業しています。

米本:岡畑興産の靴受託は、世界中にある台湾系の工場と連携しているので、岡畑台湾の本社機能は台湾の台中です。生産地には、靴開発経験豊富なスタッフが常駐しています。

藤原:ということは、犬塚さんは台中にいるんですか?

犬塚:いやいや、日本ですよ。出張などはありますが、運営は台湾でしていただいているので。

攻めと守り、動と静、クリエイティブと整理の靴受託

藤原:この靴受託事業を、生産ロジの犬塚さんと、靴企画・開発のリーダーの丸田さんの二人のリーダーで支えているんですね。

社長:「靴企画・開発」は、お客様の要望を形にするために、トレンドや素材理解等々、クリエイティブ全開で、“攻め”の仕事なんです。「靴生産ロジ」はボリュームある設計・量産・品質の仕事を整理整頓していく“守り”のイメージです。「攻めと守り」、「動と静」が一体化し、お仕事を成果に繋げるのが「靴受託事業」なんです。

藤原:お話を聞いていると、やりがいがすごくあると思いますが、色んな意味で大変な仕事じゃないですか?

犬塚:大変とは思ってないですよ。むしろ、色々あって楽しいです。ご迷惑をおかけすることもあるので、楽しいとは軽々しく言えないですけど。

藤原:出た!岡畑の「大変じゃない楽しい」発言。(笑)

社長:お客様のイノベーションを形に、「こだわりを形に」する大事な仕事に関われているやりがい、ですかね、カッコよく言えば。。

藤原:なるほど。根底がその言葉にあるんですね。

社長:お客さまのこだわりを、「靴企画・開発」と「靴生産ロジ」の2チームで形にしているんです。
岡畑興産のOEM

岡畑興産とフットウェア事業の歴史

藤原:組織図も、クリエイティブの企画・開発と、整理整頓の生産ロジの2チーム体制になっているのも理解出来ますね。そもそも、岡畑がどうして靴の事業をされたのですか?

米本:「1980年前後に、市場と弊社の化学材料をマッチングすることを考え、『今後スポーツシューズ界は、機能をより発揮するため、化学材料を多く使うことになる」という確信を持ち、この市場に挑戦しました」と社史には書いてました。(笑)

藤原:社史!?(笑)もう、40年前の話なんですものね。

米本:はじめは、機能化学品の素材をソール用として「反応性ウレタンTPU」 をブランド様に足を運んで売り込み、その積み重ねが某北米ブランドに辿り着いて、ハイエンド人工皮革をアッパーにも使っていただき、今のイノベーティブな材料開発のお仕事に繋がってきて、40年続いているんです。

藤原:なるほど、化学品の仕事の延長として、ウレタン素材を別の用途で使えないかの発想が始まりだったんですね。岡畑ならではの発想です。何より、実際に行動に移して、お客様にたどり着いたのもすごいです。ブルーオーシャンですね!

社長:今では真赤なレッドオーシャンですけど、昔から、新しいことをやってみる精神は、岡畑のDNAですね。

米本:先輩方は大変だったと思います。既存品を使ってもらう仕事じゃなくて、世の中にないものをトップブランドと一緒に開発していくわけですから。

社長:ここだけの話、皆さんが知ってる1989年発売の黒いヌバックのバスケットシューズとか。

米本:そういうゲームチェンジングな靴を、材料から支え続けてきた自負はありますね。ブランドのクレイジーなアイデアを形にするために、ワンオブ・ハイエンド素材を毎年々、メーカーさんと一緒に開発していくわけですから。私たちが表に出ることはないですが、イノベーションに食らいつく、誇りのある仕事だと感じてます。

藤原:確かに、黒子で誇りある仕事は、結果を出すとモチベーションにもつながりますし、何より、仕事が続いていきますね。

米本:ブランドの尖った製品開発は、僕らにとってもエッジーな素材開発になるわけです。メーカーの研究の方々にこれまで作ったことないものを作ってもらうわけですし、工場の人たちには、使ったことのない材料を使ってもらうという、かなりチャレンジングな仕事なので、「世界を動かす」という熱量が必須なんです。今でも、その精神は変わらないです。

藤原:熱いですねー。(笑)

犬塚:すみません、熱いでしょ?“こういう人”なんです。(笑)

フットウェア事業と米本の歴史

藤原:いえいえ、世界を動かすという、そこまでの熱量を持って継続しているのは頭が下がります。ちなみに、米本さんはいつごろ入社されたんですか?

米本:1990年です。初めは化学品事業部に配属でした。
※魚屋さんの前で写真・・・(笑)
 
藤原:あ、最初からフットウェア事業での採用じゃないんですか?

米本:7年ほど機能化学品事業にいました。こう見えて、案外“ケミスト”なんですよ。(笑)

藤原:あはは。(笑)その“案外ケミストさん”が、どうしてフットウェア事業に転属になったのですか?

米本:私が一番聞きたいですよ。(笑)異動の時は、本当に青天の霹靂って感じでした。え?え?みたいな。機能化学品のチームリーダーでなくて、なんでフットウェア?みたいな心境でした。

 

藤原:1997年くらいですね?

靴材料販売の危機を救え

米本:そうです。実は、1996年くらいまでは靴材料販売は売上も絶好調だったのですが、主要取引先の戦略的材料変更などもあって、突如、火の車状態になってしまったんです。

藤原:靴材料販売を立て直してこい!ってことだったんでしょうか。

米本:いやいや、靴材料販売という組織名さえまだない、機能化学品Ⅱという部門でしたから。(笑)

犬塚:仕事が出来る人に行かせたんですよ、きっと。社長のいう「出来る人に仕事が集まる」論ですね。あ、私の入社前の話ですけど。(笑)

社長:機能化学品から靴材料販売にエースを入れろ、っていう話はあったらしいですよ。

藤原:あー、そういうことですか。

米本:それは絶対にないと思います。(笑)

藤原:“火の車”と話がありましたが、立て直しには、どれくらいの期間がかかったのですか?

米本:2000年にはプラマイゼロになったので、3年くらいかかりました。2002年には某北米ブランドさんから表彰もいただいたり、プレセンスも確実に上っていました。案外、ケミストとはいえ、私は根っからの商売人なところがあるので、会社に迷惑をかけられないというか、単体赤字は絶対に避けたいという思いで、没入していたと思います。

藤原:すごいですね。で、そこからは?

米本:2003年には、Okahata Hong Kongを立ち上げました。

藤原:マジですか。

米本:先輩や顧問と一緒に、取引先のオフィスも借りながらの、地味な苦しい船出でした。「当時は量も伸びていましたし、日本で作っていたのでは間に合わないということで、2003 年に主要仕入先様も中国 OEM を始めたんです。顧客は世界中にいるし、日本に事務所がある必要性もなく、また、コスト的にも安いということで香港になった」と、社史には書いてますね。(笑)

藤原:社史情報が多いですね。(笑)

米本:あははは。うっすらしている記憶を、明確にしているだけです。(笑)

社長:僕がまだ入社する前なんですが、振り返ると、2001年〜2003年は、フットウェア事業の黎明期。
└ 2001年:フットウェア事業を作り、靴材料販売と靴受託のチームに分ける
└ 2003年:靴材料販売は新設海外個会社の岡畑香港に任せ、
岡畑興産は靴受託に特化フットウェア事業は出島経営だったんですよね。出島組織に任せ、営業的、経営的に機動力を上げていけば、結果が出ると。米本さんはフットウェア担当役員になる2018年まで、靴材料一筋でしたし、特に岡畑香港は出島要素が強かった分、中小企業の社長として苦労を重ね、結果を出し続けた人なんです。彼の逞しさ、熱さの原点は、OKHK(Okahata Hong Kong)経営だと思います。

藤原:事業を立て直し、個会社まで作って、再建請負人じゃないですか。

米本:いやいや、結果論ですよ。主流から外れた単なる異端児でしたから。

社長:そこからの底力がすごいんですよね。実は、2006年あたりから、靴業界は凄まじいコストダウンが始まり、岡畑香港は何回目かの“会社の存続”をかけて、台湾岡畑の協力を得て、台湾へ移転したんですよ。社史にも、販売量四分の一でもサバイブできる経営基盤を作り直し、ハイエンド・差別化できる高機能材料販売に特化したって、書いてますし。

藤原:また、社史!?社史情報が多すぎますね。(笑)

「次の電柱まで」x「槍持って突撃」

米本:「次の電柱まで走ろう」経営だったんで、細かいところは覚えてないというのが本音ですね。(笑)

藤原:次の電柱まで走ろう?

米本:え?知りません?1964年東京オリンピックで銅メダルを取ったマラソン選手の円谷幸吉さんの言葉です。苦しい時に自分を奮い立たせるために使っていた言葉みたいです。

藤原:米本さんらしい昭和の言葉、勉強になります。(笑)やっぱり、苦しい時だったんですね。

米本:ですね。事業はアップダウンの繰り返しでしたし、超パフォーマンスシューズ向けの材料販売とはいえ、ファッション的な要素もありましたし、短期トレンドの荒波は凄かったですから。

藤原:時代や流行、景気に左右されるってことですね?

米本:そうですね。人工皮革がニットに変わった時は逆風でしたし、ヴィーガンレザーは、追い風でした。景気と連動型ビジネスなんです。Covidやリーマンショックや、マクロトレンドも含めて、社会の風に吹き飛ばされないよう、必死でした。開発営業&企業経営してサバイヴしてきたのがフットウェアの歴史ですね。

社長:業績的に安定してきたのは、2022年くらいですね。そこから矢継ぎ早に、Okahata Americaを設立したり、ポートランドにはエース駐在員を送り込んだりして。ようやく、次への布石というか、サバイヴというより、次世代に向けた経営が始まった感じですよね。

米本:ポートランドにエース木下を送り込んだのは、我ながら英断でしたね。(笑)

藤原:「エース投入じゃない」って、HPに写真入りで書いてますけど。(笑)

米本:まぁまぁ。(笑)今では立派なエースに育ちましたから。台中、ポートランドに、攻めの営業ができる人財が揃ったのは大きいです。

社長:「槍持って突撃」出来る営業人財のことですね。(笑)

藤原:「槍持って突撃」?

米本:私たちの営業って、お客様に興味を持って、「これはどうですか?あれどうですか?」と、質問責め出来るくらいじゃないと、何も始まらないんです。お客様も答えを持ってないこともありますし、さらにはメーカー様と一緒になって、最適解を見つけていくためにも、我々から「槍持って突撃」というか、「こんなこともあんなことも出来そうですよ」という、専門知識と好奇心で質問しないとダメなんです。

社長:おかげさまで、靴材料販売は、複数の日本大手材料メーカーさまから材料販売を任されるようにもなりましたね。

米本:今は、成長痛ですね。北米トップブランド様が求めるエッジーな材料開発がなかなか前に進まない。そろそろ、材料メーカーさまに近い大阪に専属社員が必要だなーと、思っているところです。

藤原:靴材料販売事業部は、日本に社員がいないんですか?

米本:日本を出て行った“出島”事業部ですからね。結果として、靴受託と靴材料販売には結構、断絶時期もありましたし、「事業に歴史あり」ですよ。

藤原:聞いているだけで、大変だったことが伝わります。そして、たどり着いたのが、先ほどのマテリアル・エクセレンスですね。

マテリアル・エクセレンスと唯一無二のビジネススキームとは

米本:40年間、何を武器にサバイブしてきたのか、カッコよく言えば、何を評価されてきたのか、岡畑の「Why Okahata」を突き詰めると、フットウェア事業では、マテリアル・エクセレンスに行きついたんです。

藤原:材料のみならず、企画、量産、物流、品質管理の知見を持って、それぞれの現場に入り込んだ靴専門集団ですね。

米本:そうですね。岡畑の持つ機能化学の知識や、これまでお世話になった一流のお客様と培った最先端材料を知り、材料パートナーとの長年の知見をフルに活かし、それらを集合させ「企画、量産、物流、品質管理、仕入れ先、納品先まで知っている」という「揺り籠から墓場まで」というプラットフォームを支えているのは、「マテリアル・エクセレンス」なんです。

藤原:靴材料の専門家だから、こだわり、特殊な機能を持つ靴を作ることが出来た上で、このスキームが出来るのですね。

米本:ほんと、その通りです。これらを動かしているこのスキームは長年かけて、成功と失敗を重ねてきた岡畑にしか出来ない唯一無二のビジネススキームなんです。ここまでのことは真似をしたくても、他社さんでは出来ないと思います。

藤原:材料から納品まで、それを支えるのは材料知識=マテリアル・エクセレンスですか。確かに、唯一無二ですね。

米本:私の覚悟は、「売上がゼロになる覚悟」というより、「ゼロにならない太い幹を作る覚悟」だったのかもしれないです。「材料」×「生産」×「品質」を前提にした、こだわりの「マテリアル・エクセレンス」なので。

藤原:しかし、熱くお話しされますねー。お二人のインタビュー前に簡単にフットウェア事業について、聞いただけなんですけど。(笑)

全員:あははは。(笑)

犬塚:すみませんねー、“こういう人”なんです。話したら、止まらないんです。熱いから。

藤原:「熱い人シリーズ」ですから、何の問題もありません。「こういう人シリーズ」じゃないので。(笑)

犬塚:あははは。(笑)というか、彼は熱く話してますけど、ここまで来るのに、見えないところでは、ほんと大変だったんです。

藤原:見えないところ?

犬塚:今でこそ、マテリアル・エクセレンスを横串に、フットウェア事業として一丸となって、みんなが同じ方向を向いて頑張っていますけど、先ほどの話であったように、当時は「材料」と「受託」は、事業部も別なら、場所も日本と台湾と分かれていて、同じフットウェア事業内ですが、完全別物というか、お互い我関せず、バラバラだったんです。

藤原:そこまでだったんですか?

米本:「材料販売」は、ブランドのイノベーション実現のために、メーカーとワンオフで素材開発するので、とにかくアグレッシブ=能動的であることを是としてましたし、逆に「受託販売」は、別に靴に限らず、受動的になる傾向にあるし、仕事上、材料販売との横のつながりも少なかったですね。

社長:そういうところから、それぞれの風土が微妙に違ってきってたんじゃないですかね。今思うと、少なくとも社内的には距離はありましたね。

藤原:へー、全然そんな風には見えないです。

犬塚:今は、です。(笑) 

藤原:犬塚さんは最初、何をご担当されていたんですか?

犬塚:入社時、一瞬だけ材料販売の受発注をしてましたが、すぐ靴受託を担当してました。

藤原:じゃ、靴受託一筋ですか?

犬塚:はい、靴受託一筋ですね。

藤原:靴材料一筋の米本さんと、靴受託一筋の犬塚さん、という組み合わせも面白いですねー。

犬塚:色々、あっての今ですから。(笑)

犬塚さんの派遣から副事業部長への道

藤原:入社はいつされたのですか?

犬塚:2000年です。派遣で。

藤原:え?派遣社員だったんですか?で、今は副事業部長って、まじですか?

犬塚:まじですよー。(笑)

藤原:派遣社員ということは、どうして岡畑を選ばれたのですか?

犬塚:その当時、私生活で色々ありまして、とにかく、今すぐにでも生活費が必要な状況だったんです。(笑)大きな声で言えませんが、どこでもいいから、すぐに働ける会社が岡畑興産だったんです。(笑)

藤原:あははは。どこでもよかったって感じですか?

犬塚:はい、生活のために働くっていう、会社を選ぶなんてとんでもないという原点です。(笑)

藤原:当時、2000年のフットフェア事業は相当忙しかったのでは?

犬塚:まだフットウェア事業とは呼ばれてなかった頃で、東京支店で配属された靴材料の仕事は、業績悪くて端に追いやられている感じでした。2001年にフットウェアビジネスグループに再編され、製品受託チームに転属になったのです。先ほどのフットウェア事業黎明期ですね。とにかく、忙しくて忙しくて、大変だったことだけは覚えてます。(笑)

藤原:でも、生活のために働いてるから、そんなことはお構いなしですね?

犬塚:本当、無我夢中になって、働いてました。(笑)

女性初のチームリーダー現る

藤原:入社して、26年になると思いますが、ここまでずっと、継続されている理由みたいなものは何かありますか?

犬塚:いやー、 気付いたら26年経ってたって感じですね。靴受託も、材料同様アップダウンの連続でした。毎年、毎日が目まぐるしい日々でしたけど、楽しかったですし、やりがいというか、働く喜びみたいなものがあったかもしれないです。

社長:2014年に女性初のチームリーダーになりましたよね。

藤原:女性初だったのですか?

社長:そうなんですよ。「女性が活躍出来ない会社は、これからの企業としてはあり得ない話だと思うので、後に続く女性のことを思い受けました。」と、言ってくれました。

藤原:すごく、芯のある心構えがあるじゃなないですか。というか、かっこいいですね。

犬塚:いやー、恥ずかしいですね。今考えると、岡畑はかなりの割合で、女性が活躍出来ている会社になっているので、少しは貢献できたのかもしれないですね。それにしても、そんなこと言いました?(笑)

社長:社史に載ってます。(笑)

藤原:出た!社史!(笑)

犬塚:じゃ、合ってますね。(笑)

藤原:フットウェアビジネスグループに再編されて、製品受託チームに転属になった時の気持ちはどんな感じだったんですか?色々あった時期ですものね。

犬塚:気持ち的にもやもやしていたのは覚えてますね。靴受託でそれなりにやってきた自負もあったところに、この熱い、癖の強いらしい岡畑香港の米本が近づいてくる感じに。そもそも、当時はどんな人かもよく知らないですしね。

全員:あははは。(笑)

犬塚:様子を見ながら、私がコントロールして、仲良く仕事が出来れば良いかなーって思ったのかもしれないです。

藤原:最初は様子見だったんですね?(笑)

犬塚:いきなり、近づくと噛まれるかもしれないでしょ?(笑)

藤原:あははは。(笑)

犬塚:それに、クセ強集団を観察していると面白いんですよ。

藤原:確かに、クセが強いのはよくわかります。(笑)

犬塚:社長もクセ強ですしね。

藤原:そうですか?普通じゃないですか?

人間観察:“こういう人だから”

犬塚:昨年くらいから社長と一緒の仕事多くなったので、社長人間観察は色々と楽しいです。結構なクセ強ですよ。(笑)

社長:観察されてたんですね。(笑)

犬塚:みんな癖が強いんです。なかでも、社長観察は面白いです。(笑)「社長、次にこれ言ってくるから、準備しときなさいよ」、「ほらきたー」、みたいな。

藤原:マジですか?

犬塚:こういう社長や米本さんを筆頭にした癖強リーダーのおかげで、いい会社になってるんですよ。(笑)

社長:褒めてます?

犬塚:ベタ褒めです。(笑)

全員:あははは。(笑)

藤原:人間観察って、意外です。

犬塚:人間観察って、楽しくないですか?実は、私、面倒なことが嫌いなんです。

藤原:面倒?

犬塚:面倒大嫌いです。(笑)実際、米本が熱くなって、わーって色々言いだしたりすると、面倒でしょ?“こういう人”だし。

藤原:は、はい、そうですかね。(笑)

犬塚:そうなんですよ。(笑)彼の言葉を部下に言っても、私も面倒だし、みんなも面倒な気持ちになるから、観察しまくると、「この人は、“こういう人”なんだから、仕方ないね」って、思えるんですよ。そうすると、気持ちも楽になるし、言葉も変わってくるんですよね。

藤原:マザーテレサのようですね。「思考に気をつけなさい、それは言葉になるから」みたいな。

犬塚:そんな達観視出来てるわけではないですが、みんなが納得してくれると、面倒が少なくなるじゃないですか。

藤原:部下のために人間観察を?

犬塚:いやいや、お客様のためですよ。チームがいい仕事するためには、嫌な気持ちで仕事するより、腹落ちして、こうして行こうって、みんなで思いながらの方がいいじゃないですか。きっと、その方がいい結果にもつながるし。

洞察力と好奇心を持つフットウェアの母、マザーイヌズカ

社長:彼女は本当に冷静に人を見てますね。言葉尻じゃなく、必要とされていることをわかろうとする人なんです。「面倒が嫌い」と言いながら、米本の言葉をちゃんと通訳出来るのも、米本のやりたい本質を理解しているから、部下にわかりやすい言葉で、噛み砕いて説明することが出来るんです。具体と抽象を行き来の出来る人なんですよ。

藤原:人間観察で人を洞察して、言語化出来るって、すごい能力です。だから、「ごめんなさいー、“こういう人”なんですー」って、お母さんみたいに優しく、厳しく、お話されるんですね。マザーイヌズカです。

犬塚:イヤイヤ、何も考えてないだけです。(笑) ノリでやってるような事もあるし、ただ、一つ言えるのは、面倒な事をしたくないから、無駄がないというか、整理しているように見えるのかもしれないですね。

藤原:この岡畑動物園にいる野獣たちの中にいるんですものね。(笑)

犬塚:確かに、動物園みたいですね。(笑)

藤原:その小さな体にどれだけパワー持ってるんだろうって、思ってしまいます。事業副部長兼チームリーダーってことは、これまでに相当な見識や知恵、知識をつけたかと思いますが、やっぱり、米本千本ノックを受けて、そうなった感じですか?リーダーとして、通訳する精神的なサポートと知識的な業務的サポートって方法が違うので、そのあたりの話を聞かせてもらえますか?

犬塚:何十年も仕事をしていると、経験もある程度ありますね。営業は出来ないですけど、それ以外のことは、結構、手を上げてやらせてもらってきたし、少しづつ知識みたいなものは、ついていたかもしれないです。色々させてもらえる環境が、今の私の根本になったのかもしれないです。
 
米本:彼女は、謙遜してますけど、インプットもすごいですが、アウトプットの量がすごいんです。精神的なサポートも部下に対する言葉数や言語化がわかりやすいですし、業務的にも、とことんやっていくので、自然と能力も高くなりますし、処理能力が驚くほど早いんですよ。キャパもすごくあるから、アウトプットが自ずとすごくなるんです。

藤原:絶賛ですね。事業副部長になるのも納得です。犬塚さんにとって、仕事上のマテリアル・エクセレンスって、あります?

犬塚:んー、好奇心というか、興味を持つことですかね。扱っている製品とか、材料とか、ブランド様、一緒に仕事している人に興味を持つことです。実際、業務量や幅は多いし、広いですけど、一つ一つはそんな研究員の知識みたいに、難しくはないので、興味持って調べ、会話し、コツコツと一つづつ解決して、結果を出していくと、業務上のマテリアル・エクセレンスに近づくと思います。

藤原:靴、材料、人、仕事に興味を持って、コツコツですか。だから、人間観察が重要なんですね。「こういう人だから」って、話されているのも、観察力と洞察力に加えて、相手へのリスペクトも含んでいるように聞こえますし、それが母のように思えるのも、興味というか、相手に好奇心があるからだと感じました。

犬塚:岡畑興産が私をそうさせたのかもしれないですね。

社史には載らない「靴受託事業部、背水の陣」

藤原:そんな犬塚さんでも、これまで、これはちょっとやばいなーとか思ったこととかあります?

犬塚:ありますよ、たくさん。失敗もすごくしてますし。(笑)でも、一番は2020年12月、「靴受託、背水の陣」ですね。

藤原:社史に載ってるんですか?

社長:あははは。(笑)これは載ってないですね。

藤原:歴史みたいな「靴受託、背水の陣」って、なんですか?というか、最近ですね。ん?2020年といえば、コロナ真っ最中?。

犬塚:そうなんです。コロナ前までは、すごく順調で、忙しくさせてもらってましたけど、コロナで緊急事態宣言発令の時は、もう何も出来なくなってしまって。

藤原:あの時は、どうなるんだろうって、世の中みんなが感じてましたね。外出禁止だから、靴の需要も無くなるでしょうし。

犬塚:そうですね、悪かったのは、フットウェア事業は何もしなくなってしまったんです。

藤原:しなくなった?

犬塚:今だから、元に戻るってわかってますけど、その時はチーム全員「だめだー、休業だー、終わったー」みたいな諦めの感じになってしまって、何もしなくなってしまいました。

藤原:で、どうなったんですか?

犬塚:何もしないから、みるみるうちに売り上げも下がり、赤字寸前になり、そこで社長から雷が落ちました。

藤原:あらら。

犬塚:あの時、売り上げが減るのは仕方ないけど、諦めて何もしてなかったのが問題だったんです。機能化学品事業部はデジタルというか、HPやブログで、アフターコロナのために、出来ることをやって、準備しまくっているのに、フットウェアはそれこそ、THEアナログなチームだったので、zoomで打ち合わせもせず、精神的にも「ブログやってどうなるの?」みたいな最悪な状況だったんです。そういうところを見透かされ、とんでもない雷が落ちたんです。人事評価も売上ではなく、何もしていないという意味で、最低ランクだったと思います。

社長:ありましたね、「靴受託、背水の陣」。僕と米本さんで、フットウェア事業全員をひとりひとり呼び出して、雷落としたというか、「みんな、悔しくないんですか?」って、伝えたんじゃないかな。やれること沢山あったのに、全然やらずに、予想通り、数値も最悪の結果になっていましたし。やることやってダメなら続けるのをやめましょうと、米本さんとは話してました。

犬塚:辛かったです。

悔しさから喜びへ

社長:ま、何もさせずに、ぼーっと、させてしまった僕に全責任があるわけなので、当時の事業報告書(2020)に、「以前からの経営課題に手をこまねいたまま、大幅受注減に見舞われ、予見されたトラブルも回避できず、粗利が前年比1.1億円マイナスでほぼ半減。経営者としての甘さを痛感させられた悔しい1年」と書きました。リーダーの仕事って、組織を動かす=時代に沿って変えていくことじゃないですか。それが出来ない存在価値がない。リーダーとしての未熟さを痛感しました。

藤原:一番、悔しかったのは社長だったんですね。

犬塚:それがよくわかったので、全員、目が覚めたんです。米本も香港から日本に引っ越してきて、みんなが「これはマジだ、やばい」っていう雰囲気にもなりました。

藤原:あの時に日本に帰って来られたんですか?

米本:2週間のホテル隔離とか連続陰性が何回とか、移動も隔離で大変でしたけど、それより、反省と前向きなアクションばかり考えていたので、大変さよりもなんとかしないといけないの方が先だったので。社員に本気度を見せないといけないっていうこともありました。

犬塚:このあたりで、フットウェア事業みんなの気持ちが一体になって、同じ方向を向いたような気がします。スイッチが入ったというような感じですかね。

社長:THEアナログ集団のフットウェア事業だったのですが、犬塚さんが、HPの「くつナビ」の編集長を引き受けてくれて、ブログの方向性も決め、事業部みんなでブログを書きまくる素地を作ってくれたんですよ。

藤原:没入の始まりですね。

見えないものを整理する

社長:翌年の2021年事業報告書には、「くつナビは、アクセス数がゼロから約4万PV/月へと飛躍的に増加。ビジネスに繋がる問い合せも多数いただき、お客さまの課題解決のお役に立つ本格派ブログに育ちました。」と書きました。

藤原:わー、すごいじゃないですか!

社長:米本のリーダーシップもありますが、それをうまくまとめていた、「整理上手」な犬塚さんの力が大きかったと思います。

藤原:動き出したわけですね、靴受託事業部が。

社長:靴受託を支えるOTW(Taiwan Okahata)を日本から支えたり、先ほどの話でもあった、米本の熱い言葉をうまく通訳し、米本の目指すマテリアル・エクセレンスを中心に置いた靴受託のあり方や組織文化を作ってくれました。彼女は、営業は出来ません、と割り切りつつ、得意な整え仕事はすごく積極的。目立たないけど、リーダーとしてとても大事なポイントだと思います。

藤原:面倒が嫌いではなく、整えるのが好きなんですね。

社長:よく人と話してるし、その伝達も自然体で正しく伝わるから、部下の納得も得やすいんです。何より、彼女の話には嘘がないし、わかりやすいんです。わからないことはわからないと言ってくれるし、色をつけずに伝えてくれるから、組織に変なポリティックスが生まれないんですよ。

藤原:それは強い組織になりますね。

社長:「そういう人だから」って割り切れるのも、一旦頭を冷やせるエモーションナル・インテリジェンスのある人だからだと思います。

藤原:雷から大絶賛ですね。

犬塚:そういう人なんです、社長は。

藤原:あははは。(笑)

社長:営業じゃない“差別化仕事”ってあるじゃないですか?そういった領域で、犬塚さんの得意が最大限に活きる組織を作ったら、いろんなことが好転しだしたんです。僕の「人と組織のフィット論」の原点かもしれないです。

そして、MVP受賞へ

藤原:この人に仕事を合していく。まさに人と組織のフィット論の原点ですね。その証に、派遣から副事業部長になってますし。

社長:ほんと、そうです。2021年は、事業的にも立ち直り、犬塚はドン底からのOkahata Awards 2020のMVPを受賞されましたし。

藤原:やっぱり、すごい人なんですね。人間観察―洞察力―整理整頓って、仕事内容もすごいですけど、精神的なところを整えているのがすごいです。何か秘訣みたいなものはあるんですか?

冷まして、整う

犬塚:んー、そんな秘訣みたいなものはないですけど、あえて言うなら、米本は熱過ぎて、整理する時は一旦、水を入れてから整理して部下に伝えるようにしてます。

藤原:水?

犬塚:一旦、熱い話を冷水で冷ましてから話すんです。そうでないと蒸発するくらいの勢いで、何もなくなってしまいそうなので。

全員:あははは。(笑)

米本:そこまでじゃないんじゃないかな?酷くない?(笑)

犬塚:いやいや、水が無い時は、あおいでましたよ。「暑い時はあおげー、熱い時は冷ませー」って感じです。

全員:あははは。(笑)

藤原:確かに、冒頭も話が逸れそうな時に、私の代わりに整えてくれてました。

犬塚:そうでした?(笑)

藤原:そんなにたくさんのことを考えていたら、疲れないですか?

犬塚:毎日爆睡してるので、大丈夫です。(笑)

藤原:あー、それなんかわかる感じがします。不眠という言葉はないんじゃないですか?(笑)

犬塚:ないですね。(笑)嫌なことはすぐ忘れるし、考えないですし、嫌なところには近づかないようにしてますし。(笑)

全員:あははは。(笑)

藤原:幸せを呼び寄せる“何か”を持ってるんですね。

丸田:わー、それすごくわかります。安心するというか。

藤原:丸田さんから見てもそうなんですか?

丸田:はい。暖かい人だし、気配りもすごいし、でも、すごくドライなところもある人なんです。だから、こちらも疲れないし、遠慮もしないし、会話もすごくスムースなんです。女性って、ねちっこいところがあったりするでしょ?(笑)

藤原:んー、ノーコメントで。(笑)

丸田:それが皆無なんですよね。副事業部長なのに、マウント取ったりもしないし、部下に寄り添って、共感して、問題解決を助けてくれるすごい人です。

犬塚:何も出ないよ。(笑)

丸田:本音です、本音。(笑)人と人を比べたりしないし、公平というか、自然に人と接して、生きてるって感じがする人です。

藤原:ちなみに、ご出身はどちらですか? 

犬塚:東京です。

藤原:江戸っ子ですか?

犬塚:はい、かなりの。(笑)

米本:江戸前寿司屋の娘!

藤原:へー。もしかして、女子校だったりします?

犬塚:はい。(笑)

米本:そうだった?

丸田:私も女子校です(笑)

社長/米本:へー!(笑)

藤原:ドライとかめんどくさいのが嫌いとか言われたので、なんとなくそんな気がしました。(笑)

丸田:犬塚さんは、今お話のあった通りの人ですね。経験もすごくて情報量が膨大なのに、いい意味で考え込まないです。だから、アウトプットもスピードも出る。私とは正反対かもしれないです。 

藤原:丸田さんは犬塚さんとお付き合いしてどれくらいですか?

丸田:4ヶ月くらいです?

藤原:え?

社長:丸田さんは入社4ヶ月なんです。
※取材時:2026年2月

藤原:4ヶ月?

丸田:そうです。何もわかってない感じです。(笑)

藤原:え?前職が靴関係ですか?

フットウェアの三銃士揃う

丸田:いえ、タイのバンコクで繊維関係の仕事をしてました。

藤原:え?何?なに?

米本:象使いの免許も持ってますよ。

藤原:マジで?猛獣使いが二人もいたんですね。

全員:あははは。(笑)

藤原:これで、フットウェア事業“マテリアル・エクセレンス”の三銃士が揃った感じですね。

米本:そうですね。材料のEthan、営業の丸田、生産物流品質管理の犬塚でマテリアル・エクセレンスを実現出来るリーダーたちが揃いました。

社長:そこに、熱いボスの米本もいます。適温にする整え屋の犬塚、熱い材料販売人Ethan、コミュ力多めの猛獣使い丸田。揃って来たなーって思いつつ、米本さんの野望を考えると、まだまだ揃ってないかもね。

米本:アメリカでも靴受託事業を、とか、やりたいことはすごくあるんですよ。やりたいこと、いや、やれることですね。

藤原:えー、そろそろ、丸田さんの話に行きたいのですが、私の頭が熱くて蒸発しそうなので、残りは次回でもいいですか?

社長:そうしましょう。

犬塚:あおぎましょうか?(笑)

全員:あははは。

藤原:「歴史と人」編はここまでということで、長時間ありがとうございました。

全員:こちらこそ、ありがとうございました。

犬塚:この会話で原稿になるんですか?

藤原:はい、いい材料が揃ってるので、マテリアル・エクセレンスな原稿に。(笑)

全員:あははは。(笑)

編集部より
 
初めて、インタビューが最後まで終わらなかったですね。
結構なロングインタビュー、史上初の記録が出たかもしれません。
続きは、続編、丸田さんの「新リーダー」編を是非ご覧ください。
次回もお楽しみに!

 

 

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