今回は靴の輸入関税についての話です。
EPA協定で関税は0!
私たちが靴を作っているのは、ベトナム、中国、カンボジア、インドのアジアの国々ですが、靴の輸入関税率は、生産国・靴の材料、靴の種類によって細かく設定されています。
細かく設定されてはいますが、EPA協定により、2020年現在では、ベトナム、カンボジアからの靴の輸入では原産地基準を満たせば、実は輸入関税は0%です。インドからだと2~2.2%ですが、関税撤廃に向けて毎年少しずつ下がっています。
中国とは一般協定しか結んでいませんので、関税はその他3カ国と比較するとお高めです。
原産地基準とは?
原産地基準は、靴を作る材料、部材はどこから、どんな形で、いくらで(製造原価の何%で)調達しているか?ということで判断します。
靴生産における原産品とは
【原産材料のみから生産される産品】
●全ての材料を原産国内で調達している場合です。
【実質的変更基準を満たす産品】
①靴と違う関税分類の非原産材料を使っている場合です。
ややこしくなりますが、全ての品目は世界統一基準で統計品目/HSCODEを振り分けられて、種類分けがされています。
靴や靴の部材(ソールやアッパーやインソールなど)は64類ですが、ソール原料のゴムは40類、靴の中に縫い付けてあるようなサイズラベルは58類になります。
64類以外の輸入材料を加工して生産に使う場合は、金額に関わらず変更基準を満たしている原産品ということになります。
②ほんの少しだけ同じ分類の非原産材料を使っている場合です。
単価のの10%以内であれば、同じ64類の輸入部材を使っても原産品になります。
経済連携協定(けいざいれんけいきょうてい、英: Economic Partnership Agreement[1]、EPA
引用元: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B5%8C%E6%B8%88%E9%80%A3%E6%90%BA%E5%8D%94%E5%AE%9A
靴の用途でも関税は変わる
原産地基準以外にも、関税率が変わる要因があります。
アッパー材が革であるか、人工皮革であるか、繊維であるかで、それぞれ関税率が違いますし、靴の用途によっても違ってきます。
私たちが開発を得意としているゴルフシューズを例に取ると、スパイクが付いた靴よりも、タウンユースにも使えるようなソールに凹凸の少ないスパイクレスシューズの方が関税率が高かったりします。
普段に履く一般靴とみなされるためです。
でも、ソールの意匠(凹凸)を高くしたり、工夫することでスパイクシューズと同じ関税が適用される事があるので、開発段階でお客様と一緒にデザインを考え、試作をして、時々税関にも相談しながら、関税分のコストを抑えた仕様にしていきます。
私たち商社は、靴作りのお手伝いはもちろんですが、良い靴を、最適な日に、最適な価格で、お客様へ納品するために、色々な条件をシュミレーションしながら開発を進めています。
(書いた人: 前職含めて貿易業務歴もうすぐ30年 ベテラン過ぎるI)