こんにちは、岡畑興産靴受託事業の伊集院です。
突然ですが、皆さんは「モノマテリアル」という言葉を知っていますか?
モノ(単一の)+マテリアル(物質)という意味合いがあるモノマテリアルは、複数の物質が混ざって作られるモノではなく、1つの物質で構成されている材料のことを指します。
今回は、モノマテリアルにすることでどのようなことがメリットがあるのかを一緒に学んでいきましょう!
モノマテリアルとは?
冒頭にも簡単に触れましたが、モノマテリアルには「単一の物質」という意味があり、単一の素材から構成された材料・製品のこと。
単一の物質から構成されているモノマテリアルは、リサイクルが非常に容易で、資源の有効活用にも貢献できるほか、製品の構成を非常にシンプルに作ることができます。
モノマテリアルの製品として代表的なのは、最も多くリサイクルされているといえるPETボトルやアルミ缶です。
反対に、複数の素材を複合させた製品を「マルチマテリアル」と呼びます。
マルチマテリアルは組み合わされた素材の特徴をそれぞれ持ちます。
そのため機能性が高く、多くの製品はマルチマテリアルで構成されています。
ただ、リサイクルという面から見ると、異素材同士が接着しているマルチマテリアルはそれぞれの素材の分離が非常に難しく、リサイクルしにくい点がデメリットですd
元々複数の異種材料で構成されていた製品を単一素材で製造し、リサイクルしやすくすることを「モノマテリアル化」といいます。
モノマテリアル(モノマテリアル化)のメリットとは?
先ほども少し触れましたが、モノマテリアル化する最大のメリットは、非常に高いリサイクル性です。
一つの素材で構成されているので分別がしやすく、リサイクルのプロセスが非常に容易になるほか、リサイクルのために廃棄する必要のあるものが少ないため、リサイクル工程における廃棄物の削減も期待できます。
廃棄物がないということは、廃棄物を処分する際に排出されるCO2も減少できるということです。
リサイクルの際の製造工程でのエネルギー消費も少なくて済むため、環境負荷やエネルギーコストの削減も期待できます。
また、モノマテリアル製品からリサイクルされて再利用された製品は、マルチマテリアル由来のリサイクル製品よりも品質が保たれており、リサイクル後の製品の選択肢も大変多いです。
モノマテリアル化の今後の課題
リサイクル性も高く、メリットが多くあるモノマテリアル製品ですが、一方で課題もあります。
大きな課題としては、一つの素材のみで構成するため、機能面でどうしても複合素材に比べて劣ってしまうこと。
一部の機能性を求められるような製品・デザインの要求に材料自体が耐えられないというものがあります。
そのため、デザインや要求される機能面からモノマテリアルが適する製品なのかという点を検討から入る必要があり、設計に時間が掛かります。
この問題を解消するためにも、さまざまな業界で技術の革新や新素材の開発が推し進められています。
このモノマテリアルの素材開発や用途開発は、もちろん靴の業界でも行われています。
その代表的な取り組みの一つが、「土に還るスニーカー」です。
このスニーカープロジェクトでは、土に埋めることで分解されて最終的になくなるということをコンセプトに、全ての材料が生分解性の天然素材から作られています。
通常の靴はケミカルの塊で埋めても分解されることもなく、ごみとして残り続けます。
しかし、生分解性のモノマテリアルで作ることで最終的には分解されるというコンセプトは、業界でも非常に注目されました。
モノマテリアルとは何か知り、そのメリットや課題も確認しよう
モノマテリアルとは、単一の素材で構成された製品や包装材のことを指し、リサイクルの効率化や環境負荷の低減など多くのメリットがあります。
しかし、同時に製品の機能性や技術革新、消費者の理解と協力など、解決すべき課題も存在します。
これからの持続可能な社会に向けて、モノマテリアルの利点と課題をしっかりと認識して製品を選ぶときの指針にしてもらえたらと思います。
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※岡畑興産株式会社は、化学品事業と靴受託事業が連携し、機能性素材の材料開発・用途開発を進めています。