こんにちは、岡畑興産の田中です。
みなさん、ゴムの種類の一つである「NBR(アクリロニトリルブタジエンゴム)」をご存じでしょうか?
NBRは、合成ゴムの中で最も大量に生産されているSBRと並び、用途の幅も広い大変優れたゴムです。
今回はNBRの特徴やメリット・デメリット、詳しい用途についてご紹介していきます。
興味のある方は、ぜひ参考にしてくださいね!
NBRとは?特徴・特性などの基本情報からチェック!
NBR(アクリロニトリルブタジエンゴム)とは、ニトリルとアクリロニトリルが共重合した合成ゴムのことです。
ニトリル・・・炭化水素基の炭素原子にシアノ基-C≡Nが結合した化合物
アクリロニトリル・・・合成繊維、合成ゴムの原料。特異なにおいを持つ無色の液体
耐油性、耐熱性、耐摩耗性等に優れていて、特に耐油性に優れているので、多くの工業用品・自動車部品に使用されています。
用途については、後ほどさらに詳しくご紹介しますね!
そのほか、耐老化性、耐屈曲亀裂性、反発弾性もあり、高濃度無機酸・低濃度無機酸・高濃度アルカリ・低濃度アルカリなどの耐薬品性にも優れています。
NBRは、アクリロニトリルの分量によって、その特性が変化します。
重合方法は、乳化重合法です。
重合方法については、SBRについてのブログ「SBR(スチレンブタジエンゴム)とは? 特徴や長所・短所をご紹介」 で説明していますので、ご覧ください。
NBRのメリット・デメリットは?
NBRを使ううえでのメリット、デメリットをご紹介します。
長所は以下の4つです。
・一般ゴムの中で最も耐油性に優れる
・アクリロニトリルの比率を変えることで物性の調整が可能
・耐摩耗性に優れている
・SBRなどをブレンドすることでコストの削減や弱点の改善が可能
短所は以下の3つです。
・耐オゾン性が劣り、オゾンクラック(オゾンによる亀裂)が起きる
・耐熱性・耐候性が劣る
・非結晶性のため、強度を出すためにカーボンブラックなどの補強材が必要
近年、デメリットを改善するために、耐熱性・耐候性に優れたNBRを変性したゴム材料「H-NBR(水素化NBR)」も開発されています。
NBRの耐油性は維持したままなので、大変優れた素材です。
高い機械的強度特性をも兼ね備えています。
NBRの用途、製品例もご紹介!
NBRは優れた耐油性を活かして、自動車部品や工業用品に使われているとご紹介しましたが、オイルや燃料油に接触する部品に使われていることが多いです。
自動車部品ではオイルシールやオイルホース、工業用品では Oリング・ガスケット・高圧洗浄機などに使用されています。
航空機や鉄道などの交通機関の部品に使われていることもありますよ!
そのほか、電線やケーブルの外装、接着剤、油、燃料、水、薬品などが漏れないようにするシール(密封装置)製品でも、汎用ゴムである「NR」「SBR」「BR」ではなく、NBRが多く使われているそうです。
NBRとは耐油性の高い優れた合成ゴムのこと! ニトリルとアクリロニトリルが共重合した合成ゴム「NBR」。
耐油性、耐熱性、耐摩耗性に優れていて、一般ゴムの中で最も耐油性に優れているといわれています。
アクリロニトリルの比率を変えることで物性の調整が可能であったり、SBRなどをブレンドすることでコストの削減や弱点の改善が可能というメリットもあります。
ただし、耐オゾン性・劣耐熱性・耐候性が劣ること、強度を出すためにカーボンブラックなどの補強材が必要なことなどがデメリットです。
特性を活かして、ぜひ取り入れてみてくださいね!
岡畑興産では、真面目に靴を作っている会社のブログ「くつナビ」を運営しており、靴や靴の素材、豆知識などさまざまな知識を発信しています。
今後もこのようなより専門性の高い内容も掲載して参りますので、お楽しみ頂ければありがたいです。
他のゴム原料シリーズのブログが上がるかもしれないので、その際はぜひご一読ください!