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海外情報

2020.11.25

ベトナム駐在スタッフから見る ベトナム靴工場とその環境

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台湾・中国・韓国系が多い

2014年からホーチミン、ハイフォン、ダナン、クアンナムとベトナムの各地で関わってきた、見てきた靴工場についてお話します。

ベトナムの多くの靴工場は台湾人、韓国人、中国人による経営と、ベトナム人による運営がされているところが多いです。 ベトナム人経営の工場ももちろんありますが、管理面でしっかりしていないが、値段が安いというイメージです。

多くの台湾、中国、韓国系メーカーは靴の部材を海外から輸入し、製品化していて、特に中国材の輸入率が高いように思います。
ホーチミンの靴資材市場もあるにはありますが、中国広州の ”鞋城” (靴資材市場の名前)とは比較にならないほど小さくて、材料のバリエーションが少なく、縫製糸を探すのも苦労します。 でもスポンジ屋さんががやたら多い印象で、厚みはいろいろ、布団のように大きなサイズも売っています。(何故。。。?)

それでも、ベトナムとの関わりを持ち始めた2014年から2020年現在までの間には、ベトナム国内靴メーカーも少しずつ発展していて、ベトナムブランドとして国内で販売している会社も増えていますし、以前は全くなかったベトナムのタンナー(皮をなめしたり、染色して革にする業者)もいくつか目にするようになってきました。

ベトナムはスポーツシューズ

ベトナムで多く作られているのは、スポーツ系シューズです。 有名なグローバルブランドを展開し、ヨーロッパ、アメリカ向けを主で、もちろん日本、中国、台湾、韓国向けもありますが、ほとんどが輸出用の生産に限定された工場です。

昨今のスポーツシューズはデザイン性を追求して、複雑な材料使いをしたり、混合加工をすることが多く、高度な加工の組み合わせを必要をしています。

そのようなややこしい作りに関する仕様書はとても細かくなりがちですが、工場の体質なのか、ベトナム人の気質なのか、作業手順を詳しく、各部署に伝達できるように、英語+ベトナム語、または中国語+ベトナム語で書かれた、まるで設計図のような(部品ごとで分解して、説明が入れてある)手順書は一冊の本になるくらいの情報量があり、それがきちんと管理されています。

特に台湾系の工場は中国系より少ししっかりしているように思います。

ベトナムの女性は働き者

ベトナムの工場では圧倒的に女性の工員さんの数が多く、恐らく90%以上が女性です。ベトナムの男性は真面目に働く人が少なく、朝早くから日がなカフェで過ごす人が多いです。プラスチックの小さな椅子に座って、談笑しているおじさんたちを本当に良く見かけます。 女性はみな真面目に働きに出ているので、カフェにはいませんね…

また、ベトナムの工場、ベトナムの人たちは国の祝日や催し、季節の行事を大切にします。 祝日にはきちんとお休みをします。
工場も国民性をくみ取って、「女性の日は残業はしない」「工員たちへ贈り物」など、あの手この手を尽くして、人が定着するような努力をしているようです。

工員の人たちは、地元の人が多く、工員寮ではなく自宅から通っていることが多いのも、中国工場との違いです。 地元なので、定着率が高いため、品質的に安定する良い傾向があります。 その上、前述の通りベトナム人女性は真面目な人が多いので、なおさらですね。
人の出入りが多い工場は品質も不安定ということになります。

前回の記事で靴の生産は手作業が多く、完全一致が難しいことをお話ししていますが、作業をいかに「機械」のように正確に、同じように繰り返すことができるかが、実は良いスポーツシューズを作るということなのです。

ベトナムでの靴生産の現場は、真面目なベトナム人女性たちが担っています。

 

(書いた人: イタリア、中国、インド、ベトナム 世界を股に掛けた靴作り一筋のY)

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