OKAHATA PEOPLE
2024.03.30
社長の○○
23年事業報告書(トレードオフの話)
- #社長が書いた
目次
“There are NO SOLUTIONs. There are ONLY TRADE-OFFs.”
“A も B も手に入る解決策は存在しない。あるのは、A を選べば B は選べない、トレードオフ”という現実だけ”とは経済学者トーマス・ソウェルの言葉です。経営はトリアージと割り切り、「A も B も欲しい」と立ち止まらず、常に(B は捨ててでも)A を選ぼうとしてきた私には、しっくりとくる言葉でした。
トレードオフの結果:あきらめた(B)のこと
いくつかのきっかけが重なり、岡畑興産の創業の地、和歌山市野崎の土地を売却することを決定しました。
祖父であり創業者の岡畑圭吾が、昭和 21(1946)年 1 月、「和歌山大空襲の焼け野原、妻の生家の近くの芋畑に十坪の戦災住宅を建て疎開先の仁義村から、一台のトラックに家族と家財一切を積んで移り住んだ」のが、和歌山市野崎。
創業以来自力を信じてやってきた、和歌山での岡畑興産の歴史を一旦ここで終了します。
トレードオフの結果:手に入れた(A)のこと
岡畑興産単体では、予算を大きく上回る結果を出すことができ、最重要成長指標である粗利ベースで3年連続増益。化学品事業、フットウェア事業においても、粗利と経常利益ベースで3年連続増益を、グループ全体では過去最高の経常利益という、でき過ぎな結果を出すことができました。
[2023 年の業績ハイライト]
単体:133 億円/3.9 億円(売上/経常利益)、粗利 10 億円
グループ:302 億円/9 億円(売上/経常利益)、粗利 26.3 億円
<原点:2016 年>
単体:79 億/1.7 億円(売上/経常利益)、粗利 6.5 億円
グループ:211 億/3.5 億円(売上/経常利益)、粗利 17 億円
社長歴も丸8年となりましたが、規模は追わず“面白い仕事と人が集まる会社”を目指した結果、事業規模は倍以上となりました。“集まって”いただいた取引先様、社員にはこの場を借りて感謝申し上げます。
2023 年の全社的経営の取り組み
化学品とフットウェア事業の詳細は、事業責任者のペンに任せ、2023 年の全社的取り組みについてご説明します。
1)コンテンツが営業の一員になりました
2022 年は、月間 10 万 PV を突破。23 年は新設したコンテンツ・チームと、書きまくる社員のお陰で、「くつナビ」を筆頭に年間 100 を超えるブログをアップし、今まで以上に専門性の高いお問い合わせ、大手メーカー様からの具体的なご相談をいただけるようになりました。
ブログをきっかけに生まれた仕事も立ち上がり、いよいよ、 Okahata News Letter(ONL)を含めたコンテンツが弊社にとって欠かせない営業の一員になりました。
24 年は、化学品と靴のことを検索すれば、必ず岡畑興産がトップ表示される位の圧倒的なオンライン存在感を示し、仕入先様の新製品拡販や用途開発を進めていきます。
2)「人と組織のフィットをよく」、「褒めたら→できる→貰える」会社
ONL35「人財育成しない宣言」で発表した通り、弊社は、「人と組織のフィットをよくする」会社です。自己表現ができるリーダーと社員に恵まれたからこそできる施策であり、社員が一番輝く場所で輝いてもらう、という当たり前を徹底した結果、世代、国境を越えて、組織が自由に動くようになりました。
Okahata Awards(ツミキ贈呈式)は、目立たないけれど大切な仕事や社員に光を当てる社内イベントですが、23 年3月のシン・東京支店のオープニングにあわせて、全社員を集め開催。19 年から手渡しはじめたツミキが、社員の手元で、いろいろな形に積み上がっています。
3)社長就任以来、「褒めたら→できる」会社を目指してきましたが、以下は、「できたら→貰える」会社になるための施策です
・「頑張ればボーナス5ヵ月もらえる会社」を目指し、“アップサイド多め”の評価制度を導入。6段階評価中、3が真ん中、6が最高評価という上げ代が多めの制度で、良い業績の後押しもあり、狙い通り、23 年度は、平均評価が4となり、5ヵ月のボーナスを支給することができました。
・中期目標を前倒し達成した時にお祝いする、“優勝感謝ボーナス”も全社で出すことができました。化学品は3年連続、フットウェアも2年連続の優勝ボーナスです。阪神ファンではありますが、業績的にはオリックスを目指します。
4)少し、化学品事業とフットウェア事業について
化学品事業は、取引先様のイノベーションや困りごとに近いポジションを取り続けられるようになり、今までにない強い商材が集まり始めました。採用定着の取り組みや、地に足ついた研修制度など、組織の自走が始まったことが 23 年の最大の収穫でした。
フットウェア事業は、ビーガンレザーの追い風に乗り、北米靴ブランド向けの材料販売が好調でしたが、その陰で、事業を支えたのは、パートナー工場移管という大手術をほぼノートラブルで乗り切った靴受託事業部の日本台湾中国ベトナムのチームワークでした。
24 年とその先に向けて
“弾み車”通り、利益を、人とビジネスへの先行投資に回していくため、連続増益の予算も組んでおりませんが、成長指標である粗利は伸ばし続けます。
23 年のシン・東京支店に続き、大阪本社も一年弱をかけ大型リノベーションを行います。
フットウェア事業ではアメリカに新会社を設立し、新しい収益モデルを模索します。化学品事業部では、佐藤が副事業部長となり、集まり始めたイノベ型商材の刈り取りの陣頭指揮を執ります。
積極採用定着も進め、他力本願になりがちな“人”のファクターを、知恵と工夫で補い、アジア・アメリカに広がり続ける守備範囲を楽しみながら、経営を続けてまいります。
最後に、和歌山本社にてお世話になった皆様に、お礼を申し上げますとともに、2024 年、大阪島之内から、世界のイノベーションにくらいつく、岡畑興産グループを引き続きよろしくお願いいたします。
2024 年1月 代表取締役社長 岡畑 典裕
23年の事業報告書はコチラからご覧ください。