こんにちは、岡畑興産のたなかです。
本日は、以前くつナビ的に、注目の材料とご紹介させていただいたオレフィン系樹脂の一つである「ポリプロピレン」。
実は、異素材との接着が難しいというデメリットがあります。
今回はそんな「デメリットを解決できる方法・材料ってあるの?」というところも含めて、お話ししていきます。
それでは参りましょう!
ポリプロピレンの接着は難しい?異素材と接着させるには
オレフィン系樹脂のポリプロピレンについては「ポリプロピレンの特徴とは?メリット・デメリットもご紹介!」でご紹介しましたが、今回は接着面でも深堀りしていきます。
ポリエチレンにも同様のことが言えるのですが、ポリプロピレンは通常の接着剤ではくっつかないといわれています。
これらを異素材に接着させるためには、専用に作られた接着剤を使わなくてはなりません。
その大きな理由の一つには、”疎水性”を挙げることができ、簡単にいうと水をはじく性質がある故に接着が難しいという点があります。
さらに、いきなり接着剤を塗布するのではなく、以下の2つの方法で接着強度を上げることで、強固な接着を実現できます。
①プライマーで下処理をしてから接着剤を塗布する
接着剤とくっつけたい物(被着体)との間に、接着しやすくなる別の処理剤を塗布することで、強度を上げます。
②物理的に表面を荒らしてアンカー効果で接着させる
表面を物理的に荒らし、そこに出来た凹凸に接着剤をなじませることで接着させる方法です。
ヤスリなどで物理的に荒らす方法と、化学的に荒らす方法があります。
ポリプロピレンの接着は可能だが、まだ課題点はあり
ご紹介したように接着する方法はあるものの、まだ接着が難しいことで避けられているケースもあります。
例えば、靴に関する話でいうと、アッパーとソール、スポンジとゴムなど、異素材を接着させることが常です。
他の樹脂との相溶性が低いポリプロピレンやポリエチレンは、異素材間での接着が不可能に近いということで、これまであまり浸透させられていないのが実情でした(他にも理由はあります)。
しかし、今後はオレフィン系材料のみで靴を完成させる夢物語の実現に向けて、弊社では可能性を模索し続けております。
その点については、以下のブログでもお伝えしていますので、ぜひチェックしてみてくださいね!
また、仮にですが、ポリプロピレンと異素材との接着をより簡単に強固にできる材料が開発されれば、靴業界でのポリプロピレン材料の浸透も、もっと早く深く進むかもしれません。
ポリプロピレン用のおすすめ接着剤
もしポリプロピレンの接着が必要になったときにおすすめできる接着剤をいくつか
ご紹介します(弊社での取り扱いはございません)。
セメダイン PPXセット
画像引用元:セメダイン株式会社公式ホームページ
難接着の代表といえる、ポリプロピレン、ポリエチレン、シリコンゴムに対応した
接着剤です。
プライマーが付いていてより強力に接着させることができます。
セメダイン スーパーXハイパーワイド
画像引用元:セメダイン株式会社公式ホームページ
これ一本でほとんどの物がくっつき、PP、PEに対応しているプライマーなしの多用途版ならこれがおすすめです。
アロンアルファ プラスチック用
画像引用元:アロンアルファ公式ホームページ
アロンアルファからもプラスチック用としてプライマー付きの物があります。
おもちゃなどの補修にGood。
お手持ちで困っているものが、接着しづらいものかどうかを見極めるためには、品質表示を確認してみてください。
PP、PE、シリコンなどの表記がある製品の場合、一般的な接着剤ではくっつかないと思っていただいて差し支えないと思います。
間違っても、木工用ボンドなどを使わないようにご注意くださいね!
ポリプロピレンの接着は難しいが可能!接着方法は要確認
素材単体ではあまり聞きなじみがないかもしれませんが、ポリプロピレンやポリエチレンといった素材は生活の中にあふれています。
いざというときに、正しい知識がないと補修や増強ができず、逆に製品を傷めたり汚してしまったりすることもあるかと思いますので、ぜひ今回のブログをお読みいただき、何かあったときのための予備知識として心に留めておいていただけたら幸いです。
まずは、生活でよく使う物や大事な物の、品質表示を確認するところから始めてみてはいかがでしょうか。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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※岡畑興産株式会社は、化学品事業と靴受託事業が連携し、機能性素材の材料開発・用途開発を進めています。