靴の豆知識

2023.07.05

靴も値上がり?その原因をチェック!

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こんにちは、岡畑興産のこじろうです。

 

皆さん昨今の物の値上げ、消費者にとって厳しいですよね。

かく言う私も消費者として日頃からヒシヒシと感じています。

なぜってお小遣いのヘリが早いからです。

 

先日たまに買うリピケーキがあって、久しぶりに購入しました。

その時にあれ、、、こんなに高かったっけと思いながら購入。

後でネットで確認したら、120円も値上げしていました。

 

最近ではニュースでも話題になる値上げですが、身近な事柄だけに皆さんの気になる話題ではないでしょうか。

 

今回は靴に焦点を当てた値上がりについて、掘り下げていきます!

靴の値上がりの発端は世界的原油の高騰

 

原油高騰によるエネルギーの価格が世界的に高騰し、更に各国の輸入物価や消費者物価にも影響を与えています。

 

原油価格等の上昇→輸入物価→国内企業物価→消費者物価と、大きくはこの流れで物価が上がっています。

 

原材料の価格高騰は、海外からの輸送費の上昇、燃料費の高騰による製造コストの増加、為替変動、国内輸送費の高騰、倉庫管理料の増加など、値上げにつながる要因はさまざま。

 

関係ないようで、みんなつながっており連鎖しているといっても良いでしょう。

以前のコラムにて物流費・輸送費が高騰している理由についても詳しくお話ししていますので、合わせてご一読ください。

 

物流費・輸送費が高騰している理由は?最新の状況や今後の予測も解説

 

 

為替、特に円安が物価の高騰に繋がる?

海外製品においては、生産国から日本へ輸出されます。

海外の工場と日本との決済は基本USD(アメリカドル)になりますが、さまざまの要因で為替は変動します。

 

仮に、USD20の製品があったとします。

海外からものを買う際に先月買ったときはUSD1=100円で2000円でも、今月買う際にUSD1=130円になっていたら、2,600円になりますよね。

 

特に為替が円安に振れると、輸入品の単価に影響があることも理解しておきましょう。

仕入れたメーカーなり商社なりは卸価格の値上げを検討し、最終的には値上げせざるを得ないのです。

 

 

革靴や革製品が値上がりしている原因も知ろう

さて、ここまで値上がりの原因をお話いたしましたが、革靴や革製品においても値上がりしています。

値上がりの要因において、一部は革靴ならではの理由があります。

 

昨今で調べてみると、数年前の販売価格から革靴では海外品で15%程度、国内ブランドでも12~15%の値上がりをしています。

原因の1つとしては、革の値上がりです。

 

革の原料(原皮:加工前の皮)は食肉文化の副産物として発生します。

 

原皮の流通は2015年まで値上がり傾向でしたが、2015年以降に価格は下降傾向で、2020年には2015年の3分の2まで価格が下落しています。

しかし、原皮から革と呼ばれるまでの加工「なめし」の工程が、値上がりしているのです。

 

理由として、人件費、薬剤、物流費、加工工程でのインフラ費、などの値上がりが影響しています。

 

また、革製品業界ならではとして革製造を行う会社を「タンナー」と言いますが、革製品を扱う大手ブランドがタンナーを買収し、独占することで値上がりにつながっているのもあるようです。

 

高級タンナーとして業界では有名なタンナー「フランスのタンナーデュプイ社」をエルメスが2015年に買収したことは有名な話です。

 

買収までしなくても、大手ブランドとタンナーで優先供給の提携も行われており、良い製品づくりをするため、革タンナーの囲い込みが行われているのです。

 

このような良い革の争奪戦の影響で、革の単価アップにつながっています。

 

革靴のメイン材料の値上がり、または輸入革であれば、為替の円安によるコストアップ、石油製品であるゴムや接着材などの値上げ、物流費高騰、靴工場でのインフラ費値上げなど、革靴特有の事情以外で高くなっているケースもあります。

 

 

 

スニーカーも値上がりする?

 

革靴は革製品ならではの値上がり理由がありましたが、同じ靴でもスポーツシューズはどうなのでしょうか。

 

やはり、スニーカーも値上がりします。

 

 

値上げの発端は世界的原油の高騰の話を前半でしていますが、スニーカーにおいてもこの影響が大きいです。

 

スポーツシューズにおいては石油由来の素材がいくつもあります。

例えば、TP材(熱可塑性ポリウレタン)成形パーツ、フイルム、ソールなど、EVA(エチレン酢酸ヴィニル)主に靴MIDSOLEクッション材、ポリウレタン(ソールやインソール、靴内クッション材、SBゴム(靴のソール)、アッパー材の表材、ライニング材のメッシュ材(ポリエステル)など。

さらに、パーツをくっつける接着剤にも石油は使われています。

 

多くの材料が石油から作られているため、原油が高騰すると靴の材料も上がるわけです。

 

スポーツシューズは、使用目的から柔軟性や耐久性、軽量で強靭、形状記憶性など素材に対し、さまざまな機能性が求められますが、これを実現するのに最も安価で生産・供給性が安定したマテリアルが「石油」なのです。

 

石油の値上げ以外には、値上げ理由の共通項として物流費高騰、靴工場でのインフラ費値上、為替の円安が挙げられます。

 

特にスポーツシューズは海外生産がほとんどであり、日本へ入れるためUSDを銀行から買い、支払います。

為替は2021年9月ごろはUSD1=110円でしたが、2023年6月現在はUSD1=142円前後です。

仮にUSD20の製品を日本へ仕入れる際は、上記の為替差では同じ商品が640円も単価が変わってしまいます。

値上げには、為替1つでも大きく影響するのです。

 

 

靴の値上がりの原因を知って購入の参考に!

 

今回は靴の値上がりについて、いろいろお話をさせていただきました。

 

靴が値上がりする原因を知って、購入のための参考にしていただけたらと思います。

 

値上がりの要因は世界的規模です。

すぐに状況が落ち着き、以前の価格へ戻る可能性は低く、今後は現況の価格が普通の価格となる可能性もあります。

 

国が所得を上げる政策を推し進めていますし、政策で所得の押し上げが進めば、物の価格と収入のバランスが取れていくと思われます。

 

まずは、必要なもの、欲しいものを厳選して購入したり、不要なものはリサイクル店に売ったり逆に買ったりと、自分のやり方で今の時代を乗り切りましょう!

 

 

岡畑興産では、真面目に靴をつくっている会社のブログ「くつナビ」を運営しています。

靴や靴の素材、豆知識などさまざまな知識を発信していますので、こちらもご参考ください!

 

※岡畑興産株式会社は化学品事業靴受託事業が連携し、SDGsに貢献できる材料開発・用途開発を進めています。

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