こんにちは、岡畑興産のいまふくです。
鞄や靴などさまざまな商品に使われている「革」。
使用しているうちに色や風合いの変化を楽しむことができ、長く愛用できる素材です。
また、さまざまな色に染められたアイテムをファッションに合わせて楽しむこともできる、身近な素材でもありますね。
今回はこの「革」の染め方の種類と、その工程についてご紹介していきます。
革の染め方は?染め方の種類と特徴をご紹介
革の染色工程は、発色だけでなく風合いや艶を決める重要な作業です。
染色に入る前には原皮の水洗いや背割り(皮の切り分け作業)、石灰漬け・脱毛、裏打ち(皮の裏面を綺麗にする処理)、なめしなど、さまざまな工程を行い、やっと染色の作業に入ります。
染色する準備としては、色調の調節「色合わせ」があります。
この色合わせとは、革の種類や状態を見極め、目標の発色にするために染料の配合などを仕分けていく作業です。
現在革の染色方法には「染料仕上げ」と「顔料仕上げ」の2種類あります。
それぞれの染め方の違いと特徴についてもご紹介していきましょう。
染料仕上げ
染料を使って革の繊維の中まで染め上げる方法です。
透明感のある薄い膜で表面を覆うため、革の特徴である自然な風合いを損なうことがありません。
使っていくうちに色や艶が変化していき、革が本来持つ表情(しわ・キズ・筋など)の経年劣化を楽しむことができるのもメリットです。
ただし、洋服に擦れると色落ちしやすいデメリットもあります。
耐水性が低いというデメリットもあるため、水や汗でシミになりやすい点も注意が必要です。
染色生地の色落ちなど、堅牢度を調べる試験について知りたい方はこちらのブログもご確認ください。
顔料仕上げ
顔料を使い、革の表面にペンキを塗るように色を着ける(革の上に色を乗せる)方法です。
フラットな仕上がりになり、鮮やかな色味が出やすい点がメリットの一つ。
塗膜が厚くなることから、キズを隠してくれるメリットもあります。
使用していても色落ちがしにくく、キズも付きにくいです。
一方で顔料の厚さで経年変化が見えにくい、革特有の表情がわかりにくいというデメリットはあります。
革の仕上げ作業も確認!
染色後は、加脂(革に油を加える事で乾燥により硬くなるのを防ぎ柔らかくする)、セッティング(革を伸ばす)、乾燥などの作業を経て、最後の仕上げ作業である「塗装」へと進みます。
染色は塗装の前段階の下地作りであり、革の表面を本格的に整えるのが、この塗装以降の作業になります。
塗装を重ねれば重ねるほど、革の耐久性もアップさせる効果があります。
塗装の仕上げ方の種類
塗装の仕上げには、以下の3つの種類があります。
アニリン仕上げ
革の表面の状態がそのまま生かされる仕上げで、基本的には染料を使い、透明度の高い光沢が特徴的です。
塗膜の透明度の高さは3つの中で1番といえます。
セミアニリン仕上げ
アニリン仕上げと基本的に同じ仕上げ方法です。
ただし、均一に染めるために顔料を少量混ぜる点が異なります。
顔料で整えられているので、でき上がる革は傷や色ムラがあまり目立ちません。
アニリン仕上げと比べると透明感が低く、光沢も控えめです。
カバーリング仕上げ
塗膜の透明度は最も低く、ツヤ感があまりない仕上がりになります。
全体が均一で鮮やかな色に仕上がり、元々の革の傷などは目立たなくなります。
この塗装作業の後には革製品を長く使い続けられるように「防水加工」や」「防汚加工」を施すこともあります。
革の染め方の種類やその特徴を知ろう
動物から取られた皮がいくつもの工程を経て「革」になり、「革製品」になっていきます。
今回はその中でも仕上げ部分の染色に注目してご紹介してきました。
革の仕上げについては、染料や顔料を使うことで印象の異なる革ができ上がることがわかりましたね。
「使い込み、経年変化を楽しみたい」という革らしさを体感したいなら、染料仕上げ。
「購入時のきれいな状態を保ちたい」という新品状態を長く楽しみたい場合には、顔料仕上げの革が適しています。
染料仕上げと顔料仕上げは、一概にどちらが良いというものではなく、求める革製品の雰囲気や、見た目、使い方などによって適したものを選ぶことが大切です。
ライフスタイルやファッションによって、革の使い分けをぜひお楽しみください!
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※岡畑興産株式会社は、化学品事業と靴受託事業が連携し、機能性素材の材料開発・用途開発を進めています。