こんにちは、岡畑興産のすねや です。
PFAS(ピーファス)の製造・使用・排出などを制限する「PFAS規制」。
一見難しそうに感じますが、実はポイントを押さえればそんなに複雑じゃないんです。
今回はこのPFAS規制について、わかりやすく解説していきます。
環境にも健康にも優しい社会に向けて、世界が動き出しているこの流れ、しっかり知っておく必要がありますよ。
PFASを初めて耳にする人も、聞いたことはあるけどいまいち理解できていないという人も、ぜひ一緒に確認していきましょう!
※2024年9月時点の情報です
目次
そもそもPFASとは?
PFAS(ピーファス)とは、”Per- and Polyfluoroalkyl Substances”の略で、日本語では「ペルおよびポリフルオロアルキル化合物」です。
名前がやたら長いので、PFASと覚えましょう。
PFASの特徴を簡単に説明すると、炭素とフッ素が非常に強く結びついた化合物で、約4700種類もあるといわれています。
PFASには水も油も汚れもシャットアウトしてくれる特性があり、日常生活のさまざまな製品に使われています。
例えば、代表的な用途には撥水加工されたジャケットやテフロン加工フライパン、食品包装材、消火剤などがあります。
とても万能なため、私たちの日常には欠かせない存在といえます。
一方で、この便利なPFASが「永遠の化学物質」と呼ばれてるのをご存じでしょうか?
自然界ではなかなか分解されず、結果、環境や人体、動物の体の中に蓄積されやすいというちょっと怖い話もあるのです。
最近の研究では、PFASの中の一部の物質による肝機能の低下や免疫系への影響、さらにはガンなどのリスク、高コレステロールや甲状腺の問題とも関係があるかもといわれており、注目を集めています。
このことから、PFASを安心して使えないと気づいた世界各国は、規制に向けて動き出しています。
PFAS規制とは?世界の動向をチェック!
ここからはPFASについての世界の動向を見ていきましょう。
まず注目するのは、ストックホルム条約という国際的なルールです。
ストックホルム条約では、「PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)」「PFOA(ペルフルオロオクタン酸)」「PFHxS(ペルフルオロヘキサンスルホン酸)」がすでに規制されています。
アメリカでは、州ごとに規制が異なりますが、特に厳しい規制を導入しているカリフォルニア州では、すでに食品包装や飲料容器でのPFASの使用を禁止したり、他の州でも飲料水中のPFAS濃度基準を設けています。
さらに、EPA(環境保護庁)がPFASの水質基準を強化するなど、厳しい監視体制を導入しています。
欧州では「もはや一部のPFASを規制するだけでは不十分!」ということで、『ユニバーサルPFAS規制』というものも提案されました。
これは、全てのPFASを規制する大胆なプランです。
世界において大きな影響を与える可能性があるので、次で詳しくご説明しましょう。
ユニバーサルPFAS規制案のスケジュールも確認!
PFASの製造・上市・使用を制限する規制案『ユニバーサルPFAS規制』のスケジュールについても、参考にお話しします。
2023年1月に、ドイツ、デンマーク、スウェーデン、オランダ、ノルウェーの5カ国がPFAS規制の提案書を欧州化学品庁(ECHA)に提出し、ここから規制の話が本格化しました。
現在、このユニバーサルPFAS規制の開始に向け、とても慎重に議論が進められています。
なぜなら、PFASは工業製品から日常用品まで幅広く活躍しているため、いきなり全部禁止にしてしまうと、さまざまな業界が混乱してしまうからです。
そこで、しっかり意見を聞いて、影響をちゃんと考慮しつつ、「本当にこの規制が必要なのか?どこまで規制すべきか?」を慎重に議論しているのです。
これまでの流れと、今後のスケジュールは以下の通りです。
2023年3月〜6月:パブリックコンサルテーション
PFAS規制の提案書を提出後、パブリックコンサルテーションと呼ばれる期間が設定されました。
これは一般企業や市民が意見を言える期間で、この規制についての意見を募集しました。
2024年初め:評価段階
ここからECHA(欧州化学品庁)が、提出された意見をもとにリスク評価と社会経済的な影響評価を行います。
2025年:規制開始の見通し
すべての評価が完了し、問題がなければ2025年からユニバーサルPFAS規制が正式にスタートする予定です。
そのタイミングから、欧州ではPFASの使用がぐっと制限されることになります。
もしユニバーサルPFAS規制が正式に施行された場合、欧州だけではなく、世界中に影響を与える可能性が高いです。
欧州の基準に合わせるために、他の国の企業もPFASを使わない製品を作る必要が出てきます。
特に日本でも欧州に輸出している企業は、この規制を無視できないので、いずれ世界的にPFASを排除する流れが強まるかもしれません。
日本におけるPFAS規制の現状は?
日本ではどんな規制が進んでいるのかも気になりますよね。
まず、日本ではどのPFASが禁止されているのかというと、特に注目すべきなのはPFOA(ペルフルオロオクタン酸)です。
耐水性や耐油性があるため、かつてはさまざまな製品に使われていましたが、2021年からは、国内での製造や輸入が原則禁止されています。
さらに、これに関連する製品も規制対象になっています。
PFOAだけではなく、PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)も同様に厳しい規制がかかっています。
こちらも以前はよく使われてましたが、製造や使用がストップされました。
環境庁は、PFOSやPFOAのような有害性が指摘されている物質について、水道水中の濃度基準の見直しや新たな規制の導入を議論しています。
水はみんなが毎日使うものですから、これが安全じゃなかったら大問題。
そのため、慎重に進めています。
また、厚生労働省でもPFASに関する検討会が開催されています。
この検討会では、さまざまな分野の専門家たちによって、PFASが健康にどんな影響を与えるのか、その対策をどうすべきかについて議論されています。
強まるPFAS規制に向けて、今からできること
ユニバーサルPFAS規制も進んでいることから、規制は今後さらに強化される可能性があります。
企業は今からチェックをして、PFASを使わない製品への切り替えを考える必要が出てくるでしょう。
世界中でPFASの規制が進んでますが、こんなに便利なものをすぐには完全に無くせないのも実情・・・。
そのため、これからはPFASに代わる素材の研究がカギとなります!
企業や研究者たちが、より安全で環境に優しい素材を開発するために頑張っています。
PFAS規制の現状や動向について今後も注目!
PFASは、水や油を弾く性質があり、撥水加工の衣類やテフロン加工フライパン、消火剤などに使われています。
しかし、環境の中で分解されにくく、人体や動物に蓄積しやすい「永遠の化学物質」として、現在問題視されています。
世界中で規制が進められており、特に欧州では2025年までにすべてのPFASを対象とした『ユニバーサルPFAS規制』が提案されています。
日本では、PFOAやPFOSの製造・輸入が禁止され、今後の規制強化に向けた議論が進行中です。
便利なPFAS、だけどその便利さの裏には長期的なリスクが潜んでいます。
みなさんも、日常生活でPFASをちょっと気にしてみると、未来の生活がもっと良くなるかもしれません‥!
今後の規制の動向にも注目してみてくださいね。
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