こんにちは、岡畑興産靴受託事業部のすねや です。
世の中には安全に使えて便利な電気製品があふれていますが、不要になり廃棄されるときに、私たちにどんな影響があるのか考えたことはありますか?
電気製品の製造では、環境保護への取り組みが強化され続けています。
最終的に使い終わった後も地球に優しい製品だと、より良いですよね。
そのためには、製造する際のルールも必要になってきます。
今回はそのひとつ「RoHS(ローズ)指令」という法規制について解説していきます。
目的や規制内容、守らないとどうなるのか? などRoHS指令の基本を確認していきましょう。
RoHS指令とは?
RoHS指令とは「Restriction of the use of certain Hazardous Substances in electrical and electronic equipment」の略称で、電気・電子機器に含まれる特定の有害物質の使用を制限するために制定された国際連合(EU)の法規制です。
制定の背景には、電気・電子機器を廃棄処理する際に流出する有害物質による、環境汚染と健康被害がありました。
これらの悪影響を抑制するために、2003年に公布され、2006年7月1日からEU加盟国で施行されました。
RoHS指令の対象者は、主に電気・電子機器の製造業者と、EUに輸入する輸入業者です。
RoHS指令の対象製品は、以下の11のカテゴリーに分類され、交流1,000ボルト以下、直流1,500ボルト以下の全ての電気・電子機器が該当します。
- 大型家庭用電気製品(冷蔵庫・洗濯機・エアコンなど)
- 小型家庭用電気製品(掃除機・時計・電動歯ブラシなど)
- 情報技術・電気通信機器(パソコン・複写機・携帯電話など)
- 民生用機器(テレビ・ビデオカメラ・ハイファイオーディオ・アンプ・楽器など)
- 照明機器(ランプ類・照明制御装置)
- 電気・電子工具(電気ドリル・ミシン・はんだ用具など)
- 玩具・レジャー用品・スポーツ用品(ビデオゲーム・電気電子部品を含むスポーツ器具・スロットマシーンなど)
- 医療機器
- 産業用を含む監視および制御機器
- 自動販売機
- その他の電気電子機器
ほとんど全ての電気・電子製品が対象といえますね。
同じように、環境保護と人の健康を守るための規制で「REACH規制」「WEEE指令」があります。
どんな違いがあるのでしょう?
RoHS指令に似た「REACH規制」「WEEE指令」との違い
「REACH規制」は、化学物質の製造、輸入、使用に関する規制で、製造業者、輸入業者、化学物質を使用する産業全般が対象です。
化学物質の登録、評価、認可、制限に関するプロセスを設け、化学物質の安全性を評価し、管理しています。
「WEEE指令」は、廃棄物として処理される電気・電子機器の適切な処理と、リサイクルを促進するための規制です。
電気・電子機器を製造・販売・輸入・処理するさまざまな業者が対象になります。
RoHS指令は電子機器中の有害物質の制限に焦点を当てた規制、REACH規制は化学物質の安全性を評価・管理する規制、WEEE指令は廃棄物電子機器の適切な処理とリサイクルを促進するための規制といえるでしょう。
RoHS指令で規制される物質は?
ここからは、RoHS指令で規制されている物質とそれらの主な用途、最大許容濃度について解説していきます。
2011年の改正後に規制対象物質が追加され、現在は以下の10の物質が規制対象になります。
規制対象物質 | 主な用途 |
鉛 | 蓄電池 |
水銀 | 体温計、農薬、歯の治療 |
六価クロム | メッキ材料 |
カドミウム | 顔料、ニカド電池、メッキ材料 |
ポリ臭化ビフェニル(PBB) | 自動車用塗料、難燃剤としての添加物 |
ポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE) | 難燃剤として電気製品、繊維に添加される |
フタル酸ジ-2-エチルへキシル(DEHP) | 可塑剤として塩化ビニル樹脂等を柔らかくするのに用いられる |
フタル酸ブチルベンジル(BBP) | 同上 |
フタル酸ジ-n-ブチル(DBP) | 同上 |
フタル酸ジイソブチル(DIBP) | 同上 |
最大許容濃度はカドミウムのみ0.01wt%(100ppm)、それ以外の物質については0.1wt%(1000pm)とされています。
ただし、「鉛」は、適用除外となる場合があり、技術的・化学的に代替不可な用途の場合、代替可能な物質が現れるまでは、適用除外になります。
具体的には、真鍮の中の4wt%までの鉛や、蛍光灯内の水銀などです。
規制対象物質の追加や適用除外の見直しなど、最新の の概要は、JETROのホームページなどで必ず確認しましょう。
また、 シューズ業界でも、それぞれのブランドが独自の化学物質規制リスト「RSLリスト」を作成し、材料サプライヤーに対して規制されている物質が使用されていないかのチェックを行っています。
ぜひ、こちらのブログも参考にしてみてください。
PFCフリーとは?PFCの問題やPFCフリーの現在の取り組みとは
RoHS指令を守らないとどうなる?
RoHS指令を守らなかった場合、EU加盟国内での製造、輸入、販売において罰則が科される可能性があります。
一般的な罰則の例としては、制裁金、製品の没収、市場からの排除(販売、輸入制限)、法的措置があります。
そして、顧客や取引先からの信用も失うことにもなるため、注意しなければなりません。
日本国内で製造・販売する場合は日本の法令・指令の基準を満たしてさえいれば影響ありませんが、グローバルな市場で製造・販売を行う企業は、製品がEU加盟国に輸出される可能性も想定し、RoHS指令に則り、製造・販売をする必要があるでしょう。
RoHS指令とは、有害物質を規制する法律!
RoHS指令は、電気・電子機器に使われる特定の有害物質の使用を制限するために、EUで制定された法規制です。
廃棄処分時に、製品中の物質が人や環境に影響を与えないことを目的としています。
10の規制対象物質があり、各物質に最大許容濃度が決められています。
RoHS指令を守らなかった場合、制裁金、製品の没収、市場からの排除などの罰則が課せられる可能性があります。
グローバルな市場で製造・販売を行う企業は、製品がEU加盟国に輸出される可能性も想定し、対応していく必要があるでしょう。
化学物質規制のように、環境保護やリサイクルを推奨する動きはますます広がっていくことが予想されます。
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