2026.09.30
マルトビオン酸とは?美容・食品に広がる多機能成分について解説
こんにちは、岡畑興産の矢持です。
皆さんは、近年注目を集めているPHA(ポリヒドロキシ酸)の一種、「マルトビオン酸」をご存じでしょうか。
AHA(アルファヒドロキシ酸)に続く次世代の角質ケア成分として注目されるマルトビオン酸は、穏やかな角質ケア作用に加え、高い保湿性や抗酸化作用も期待されています。
今回は、マルトビオン酸の特徴やAHAとの違い、スキンケア製品選びのポイントについてご紹介します。

目次
マルトビオン酸とは?PHA(ポリヒドロキシ酸)の定義と化学的特徴
マルトビオン酸とはマルトース(麦芽糖)を酸化して得られる二糖類で、グルコースとグルコン酸が結合した構造を持っており、PHA(ポリヒドロキシ酸)に分類されます。
<基本情報>
- 化粧品表示名:マルトビオン酸
- INCI名:Maltobionic Acid
- CAS番号:534-42-9
マルトビオン酸は食品・飲料にも用いられ、医薬品分野での研究例もある成分です。
化粧品用途としてもエイジングケア、角質ケア、保湿剤などさまざまな目的で配合されています。
また、PHA(ポリヒドロキシ酸)は、「次世代型AHA」とも呼ばれるマイルドな角質ケア成分です。
AHA(アルファヒドロキシ酸)と同様に古い角質へアプローチしながらも、分子サイズが大きいため肌への浸透が穏やかで、刺激を感じにくいことが特徴です。
グルコン酸・ラクトビオン酸・グルコノラクトンとのPHA族内での比較
PHA(ポリヒドロキシ酸)には、マルトビオン酸のほか、次のような成分も含まれます。
| 成分名 | 主な特徴 |
| グルコン酸 | pH調整用途が中心 |
| グルコノラクトン | 低刺激な角質ケア、バリア改善 |
| ラクトビオン酸 | 保湿・抗酸化・エイジングケア |
| マルトビオン酸 | ラクトビオン酸と同様の多機能性、より高い保湿性能、べたつきの少ない使用感 |
マルトビオン酸は、ラクトビオン酸と立体異性体の関係にあるPHA(ポリヒドロキシ酸)の一種です。
一般的なPHAであるグルコノラクトンやグルコン酸と比較して分子量が大きく、角層表面で穏やかに作用することが特徴です。
また、マルトビオン酸は分子内に多数の水酸基(-OH)と1つのカルボキシ基(-COOH)を持っています。
この構造により、高い保湿性に加えて優れた金属キレート能を示します。
金属イオンを捕捉することで酸化反応を抑制できるため、スキンケア成分としてだけでなく、製剤の安定性向上にも寄与します。
ラクトビオン酸も同様の特性を有しますが、マルトビオン酸はより高い保湿性を持ち、肌へのべたつきを抑えられることが特徴です。
AHA(グリコール酸・乳酸)との違い
従来のAHA(アルファヒドロキシ酸)であるグリコール酸や乳酸は、優れた角質ケア効果を有する一方で、使用時に刺激やピリつきを感じる場合があります。
一方、マルトビオン酸はAHAと比較して分子量が大きく、角層への浸透が穏やかなため、刺激を抑えながら角質ケアを行うことができます。
また、高い保湿性を併せ持つことから、角質ケアによるなめらかな肌へ導きながら、うるおいを保持できる点も特徴です。
マルトビオン酸の機能性とは?機能性表示食品成分としての役割も

マルトビオン酸は、化粧品原料としてだけでなく、食品分野では機能性表示食品の機能性関与成分としても利用されています。
報告例①ミネラル吸収をサポート
マルトビオン酸は、カルシウムやマグネシウム、鉄などのミネラルと相互作用し、消化管内で溶けた状態を維持することで、ミネラルの吸収を助けることが報告されています。
報告例②骨密度維持と便通改善
マルトビオン酸は、加齢に伴い低下する骨密度の維持や、食事由来ミネラルの吸収促進を訴求する機能性表示食品に採用されています。
また、難消化性糖質としての性質を持ち、便通改善作用も報告されています。
化粧品原料としてのマルトビオン酸の活用
マルトビオン酸は、PHA(ポリヒドロキシ酸)ならではの穏やかな角質ケア作用に加え、高い保湿性や優れたキレート能を併せ持つことから、さまざまなスキンケア製品への応用が期待されています。
① PHA特有の穏やかな角質ケア
マルトビオン酸は、分子量が大きく、角層表面で穏やかに作用するため、刺激を抑えながらターンオーバーを促し、肌のくすみやごわつきの改善に役立ちます。
AHAだと刺激を感じやすい方でも取り入れやすく、敏感肌向けのマイルドな角質ケア成分として注目されています。
② 保湿性とエイジングケアへの応用
マルトビオン酸は高い保湿性があり、肌にうるおいを与えながら、しっとりとなめらかな肌へ導きます。
また、抗酸化作用に関する研究も報告されており、乾燥による小じわやハリ不足が気になるエイジングケア製品への応用も期待されています。
③ 処方設計面でのメリット
マルトビオン酸は水溶性が高く、化粧水や美容液などさまざまな剤型に配合しやすい成分です。
高いキレート能により製剤の安定化にも寄与するため、機能性と処方適性を兼ね備えた原料として注目されています。
軽い使用感に仕上げやすいことも処方設計上のメリットで、同じPHA成分であるラクトビオン酸からの置き換えや配合の使い分けを検討しやすい点も魅力です。
マルトビオン酸は美容・食品・機能性を1つにつなぐ成分
マルトビオン酸は、穏やかな角質ケアと高い保湿性を兼ね備えた成分です。
刺激を抑えながら肌のターンオーバーをサポートし、乾燥やくすみが気になる肌をなめらかに整えることが期待されています。
さらに、ラクトビオン酸と同様の多機能性を持ちながら、軽やかな使用感も魅力の一つです。
また、食品分野ではミネラル吸収のサポートや骨密度維持、便通改善に関する研究が進められており、機能性表示食品の機能性関与成分としても活用されています。
美容と健康の両面にアプローチできるマルトビオン酸は、スキンケア成分としてだけでなく、幅広い分野で注目を集めています。
今後さらに研究や活用が進むことで、新たな可能性が見いだされる成分として期待されることでしょう。
岡畑興産のWEBコンテンツ「岡畑興産ブログ」や「どこ展2.0」では、化粧品原料や機能材原料について詳しく紹介しております。
こちらもぜひご覧くださいね!
