こんにちは、岡畑興産の田中です。
本日はゴムに関するお話です。
ゴムは、普通に生活しているとあらゆる場面で目にしますし、見えない部分でも活躍していて、私たちの生活において欠かせない物です。
しかし、その中身まで理解している人は少ないのではないでしょうか。
今回は、合成ゴムの成分の中の、SBR(スチレンブタジエンゴム)に焦点を当てて説明して参ります。
お恥ずかしながら、これを書いている私も細かいところまで理解していないのが正直なところでしたが、今回のブログを書きながらSBRについてさらに詳しく調べ、理解を深めることができました。
SBRについて知りたい方は参考になる内容なので、ぜひ読んでみてくださいね!
SBRとは?その特徴を確認
SBR(スチレンブタジエンゴム)とは、スチレン、ブタジエンを共重合した合成ゴムのことです。
スチレン・・・石油から作られたナフサをもとに作られた製品
ブタジエン・・・分子式 C4H6 で表される、二重結合を2つもつ不飽和炭化水素
共重合・・・2種類以上のモノマーを用いて行う重合のこと
合成ゴムについては「天然ゴムとは?種類や他のゴムとの違いも解説!」も参照してください。
SBRは天然ゴムに近い性質を持ちます。
低価格で品質も安定しているので、合成ゴムの中でも最も大量に生産されています。
SBRを重合する方法には乳化重合(E-SBR)と溶液重合(S-SBR)の2種類があります。
乳化重合とは、最も一般的な重合方法であるラジカル重合で製造されていて、一般的にはスチレン含有量が23.5%とされています。
SBRの8割がこの方法で作られており、タイヤや一般工業製品を作る際に行われる方法です。
溶液重合とは、アニオン重合(イオン重合の中で活性種が陰イオンである重合)のことで、分子構造の自由度が高いことで近年徐々に増加しており、低燃費タイヤなどの製造で使われる方法です。
SBRのメリット・デメリットもチェック
SBRを使う上でのメリット・デメリットも、簡単にですがご紹介します。
SBRのメリット
・加工がしやすい
・物性のばらつきが少なく、品質が安定している
・弾性、耐摩耗性、耐老化性に優れている
・低価格である
・大量生産しやすい
・素練りは行わずに混練りすることができる
合成ゴムを加工する際には、機械力を加えて原料ゴムをほぐすなど加工しやすく調整する「素練り」が必要なことが多いですが、SBRは元々調節してあるので次の段階である「混練り」にすぐ進むことができるのは、大きなメリットでしょう。
SBRのデメリット
・耐寒性が汎用ゴムの中で一番劣る
・耐油性に劣る
・高温時の引き裂き抵抗が弱い
・加硫が遅く加硫促進剤が多く必要
加硫に時間がかかること、機械的強度がNRと比較して劣ることはデメリットです。
耐寒性が劣り、気候の変化で弱いことには、共重合をしていることが理由に挙げられます。
SBRの用途、製品例もご紹介!
SBRの用途として一番多いのは自動車のタイヤで、自動車分野でよく使われています。
そのほかにも、工業製品でベルトやホースに使われていたり、靴(ようやくでてきました!)のアウトソールにもSBRを使った配合が使われています。
SBRは耐油性に劣るため、パッキン類やオイルシールには不向きですが、そちらの用途には耐油性の良い「NBR(アクリロニトリルブタジエンゴム)」が使われています。
このNBRについてのコラム「NBR(アクリロニトリルブタジエンゴム)とは?特徴をご紹介」も合わせてお楽しみください!
SBRとは何か、特徴を知って活用を!
さて、今回はよりゴムのなかの専門的な部分について紹介してきましたがいかがだったでしょうか?
私自身も書きながら、ゴムや化学の世界は難しい言葉ばかりで奥が深いなぁ~と痛感しております。
ゴム業界の中ではこれは最も一般的な材料で、ほんの一部分の話に過ぎないのですが、それでも一般社会を生きる私たちには小難しく、イメージしづらい話だったかと思います。
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