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2025.09.22

鉱物繊維とは?特徴や種類、注目の素材についてもご紹介

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こんにちは、岡畑興産靴受託事業の伊集院です。

突然ですが、皆さんは鉱物繊維と言われるとどのような物をイメージされますか?

鉱物と聞いて「堅そう」「重そう」とイメージする方もいるかもしれませんが、建築現場や自動車、さらには服や靴などさまざまな場面で活躍している素材なんです。

今回は鉱物繊維とは何か、さまざまな特徴や種類、他の繊維との違いについてご紹介していきます。

具体的な用途や注目の素材についても詳しく説明していきますので、鉱物繊維について理解を深めてもらえたらと思います。

鉱物繊維とは?特徴や種類を解説!

鉱物繊維とは、言葉の通り鉱物や岩石から抽出された天然の繊維のことです。

鉱物という原料から堅そうで頑丈なイメージがあるかと思いますが、イメージ通りの特徴的な機能性を兼ね備えています。

まず初めに挙げられるのは耐熱性です。

鉱物自体が持っている「超高温でなければ溶けない」という特性を鉱物繊維も持っており、耐火服や建築材料の断熱材としても広く利用されています。

建築資材のアスベスト(石綿)も鉱物繊維の1つですが、発がん性が問題視されて現在は使用が規制されています。

また、耐久性や耐薬品性も高いため、化学プラントや薬品研究施設などによる汚染が発生する施設でも使われているという特徴もあります。

一般的な繊維と比べてもかなり特徴的な機能性を持つ鉱物繊維ですが、その中にも生成方法や原料から「天然鉱物繊維」と「人造鉱物繊維」の2つに大きく分けられます。

それぞれどのような違いがあるかもあわせてご紹介します。

天然鉱物繊維

天然鉱物繊維は、名前の通り自然界で繊維状の形状を持っている鉱物をそのまま使用したものです。

耐熱性が高く断熱性にも優れているアスベスト(石綿)や、吸湿性や脱臭性の高いゼピオライト(含水珪酸マグネシウム繊維)などが代表例です。

人造鉱物繊維

人造鉱物繊維は、天然鉱物繊維とは違って鉱物としては繊維状の形状を持っていません。

高温で溶かした鉱物を繊維状に加工する工程が必要で、生成に人の手が入ります。

代表的な素材はグラスファイバーで、耐熱性や剛性が高く、断熱材や補強材としても使われます。

天然鉱物繊維と同じような用途で使われることがありますが、天然鉱物繊維と違って形状などかなり自由に設計ができることから、使用用途や素材の特徴によって一番良い形に生成できるというのも特徴です。

その他、グラスウールやロックウールなども人造鉱物繊維としてカテゴライズされます。

それぞれ天然鉱物繊維と人造鉱物繊維の違いや特徴をご紹介してきましたが、これらはあくまで鉱物が主体となった繊維のことを指す言葉です。

例えば、合成繊維にパウダー状の鉱物を練り込んで消臭性を出した繊維など、添加剤として鉱物が使われている場合は鉱物繊維とはカテゴライズされませんので、併せて覚えておいてください。

合成繊維については「合成繊維の種類や特徴をチェック!天然繊維との違いとは」でも紹介していますので、ぜひご参考ください。

鉱物繊維は天然繊維!化学繊維との違いとは?

先に書いたように、鉱物繊維は自然にある鉱石から作られているため、天然繊維の1つとしてカテゴライズされます。

天然繊維 はその名前の通り自然界にあるものをそのまま原料として作られる繊維、それぞれの原料によって動物繊維・植物繊維・鉱物繊維と大きく3つに分けられます。

天然繊維は、原料の素材の効果や特徴がそのまま活かされているため、肌触りが良いシルクや、吸湿性が高いコットンやウールなど原料の特性を活かした繊維が多いというのが特徴です。

その反面、化学繊維と比較して摩耗や引裂きなど耐久性が低い傾向にあります。

またメンテナンス面でも、色落ちや色移りが起こりやすい素材も多くあり、注意が必要です。

一方、化学繊維 は石油などを原料として科学的なプロセス(重合)を経て人工的に作られた繊維となる為、耐久性や剛性が非常に高かったり、速乾性に優れるなど素材の機能性の面で非常に優位性が高い繊維というのが特徴です。

なお、天然繊維に属する鉱物繊維ですが、一般的なコットンやウールなどと比較しても剛性や耐火性などは化学繊維に近い機能性を持っているのも大きな特徴です。

ただ、通気性が低い素材も多くあり、服などの肌に近い部分で使用した場合に蒸れや不快感を感じる素材もあります

鉱物繊維の用途は?鉱物系機能素材にも注目!

鉱物繊維はその耐熱性や耐久性、剛性の高さなどからさまざまな用途で利用されています。

  • 建築資材:耐火性や耐久性を活かし、断熱材や耐火材として使用
  • 自動車部材:断熱性能を活かして、エンジンルームなどの壁材として利用
  • 衣類:高い耐熱性・耐火性を活かして、消防隊の防火服などに使用
  • 靴の補強:剛性を活かして、曲げたくない中足部に設置(シャンクと呼ばれるパーツ)

鉱物繊維とは鉱物や岩石から抽出された天然繊維!

鉱物繊維は、鉱物や岩石から抽出された天然繊維で、耐熱性や耐久性に優れています。

その中でも天然鉱物繊維と人造鉱物繊維の2種類があり、それぞれ異なる特性を持っています。

あまり馴染みのない素材ではありますが、最近では鉱物繊維を使用して作られた服を着ることで身体を温めたり、鉱物の磁気で筋肉を解すなどの効果をうたった製品も出てきており、天然繊維では出せないような効果を製品に付加することもできるようになっており、非常に注目される繊維でもあります。

そんな鉱物繊維ですがこのブログを読んで理解を深めてもらうとともに、その機能性や効果についても知識を身に付けてもらえたらと思います。

他にも岡畑興産が運営する「くつナビ」では、色々な材料についてご紹介していますので、こちらもぜひご参考くださいね。

※岡畑興産株式会社は、化学品事業靴受託事業が連携し、機能性素材の材料開発・用途開発を進めています。

 

この記事を書いた人

岡畑興産株式会社・靴受託事業部伊集院

シューズOEMと機能材料営業
ランニングサンダル、バイクシューズを担当しています。新しい技術、材料をお客様に提案し、喜んで頂くことが何よりも嬉しい。
お客様のご要望があれば、デザイン提案も行います。

海外勤務経験を活かし、現場の雰囲気をブログでお伝えしていきます。

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