こんにちは、くせが強めなノブさんからバトンを引き継いだ岡畑興産のヘラクレスこと鈴木です。
「くつナビ的 シューズ開発」 シリーズの第2回目はいよいよ靴の開発をスタートです。
開発の始めには何を決めなくてはならないのか?どんな作業が必要なのか?についてご説明します。
アッパーデザインを決める
靴の上の部分アッパーのデザインを決めましょう。
デザイナーが作ったデザイン画がなくても、具体的なイメージや作りたい靴のサンプルがあれば岡畑興産でデザイン案を作ることも可能です。
頭の中のイメージをデザイン画にする事で、靴の完成イメージを共有でき、靴の色や材料、構造などを明確にすることができます。
ここで大事な事は、靴のアッパー部分は基本的に縫製かno sew(材料同士を熱圧着で貼り付ける方法)でできているということです。靴のデザインは縫製かno sewが実現できるデザインでなければなりません。
ソールデザインを決める
ソールのデザインは靴作りの大事ポイントです。
デザイン性はもちろん、機能や履き心地に大きく影響するパーツです。
オリジナルソールを作りたいのか、人気のVIBRAMソールを使いたいのかなど考えを明確にして進めましょう。
次に4つのソール加工方法それぞれをメリットとデメリットでご紹介します。
①金型を製作してオリジナルソールを作る方法
メリット: 他にないオリジナリティを出すことができる
デメリット: サイズの分だけ金型費用が掛かる
②Vibramなどの汎用ソールを使う方法
メリット: 金型費用が掛からない / 品質や物性面で安心感がある
デメリット: オリジナルソールと比較してコストが高い / サイズ、購買MOQ、リードタイムなどに制約がある
③シート状のゴムを使ってソールに加工して使う方法
メリット: 金型費用が掛からない / 比較的コストが安い
デメリット: デザイン上の制限がある
④シート状の金型を製作してオリジナル意匠のソールにして使う方法
メリット: BRAND LOGOを入れるなどのオリジナリティを出すことができる。
デメリット: 1面分の金型費用が掛かる / デザインの制限がある
③と④は紳士靴、ドレスシューズのような靴に適しています。
オリジナルソールを作る場合は、靴の開発と並行してソールデザインの設計も進行します。
ソール金型作製については改めて詳しくご紹介しますが、 設計図や模型の確認、サンプルソールの確認などの手順が多く、時間が掛かるのでタイムラインに注意して進める事が重要です。
木型を決める
実際にシューズサンプルを作るために一番最初に必要な道具は、足の形をベースに設計された木型/ラストです。
靴のデザイン画を製作することで、木型もイメージされていきます。
細身のシルエット、ダットスニーカーのようなどっしりした幅広のシルエットなど 木型の形で靴が全く違ってきます。
実際の木型作製の進め方は…
①デザイン画からイメージしてオリジナル木型を作る。
②汎用型ソールの形状に合わせて木型を作る。
木型は靴の形の源であり、履いた時のフィッテイングにも直結します。
木型を決めることは靴作りの要と言えるでしょう。サンプル製作を通して、フィッテイングを確認し、足当たりなどを考慮しながら木型を修正します。
靴のサンプルは一般なサイズで作ることが多く、日本の場合はメンズでは26.0―27.0cm、レディスでは23.0-24.0cmになりますが、フィッテイング確認をする企画担当者のサイズで作る時は木型もそのサイズで作製することになります。
仕様書を作る
仕様書は靴のサンプルを作るための設計説明書で、デザイン画に加えて使用材料、縫製方法、ソール内容などの開発に必要な情報をまとめたものです。
企画者と開発者、製作者の認識が食い違わないように仕様書を作ることは必須なのです。 ブランド/委託者が作ることが多いのですが、準備できない場合は私たちが作成のお手伝いをすることも可能です。
始めてでも心配は要りません、なんでもご相談ください。
次回の「くつナビ的 シューズ開発」では、材料選び・パターン(紙型)の確認・開発のための道具やその費用などの実際の1stプロトサンプル作製作業についてご紹介します。
お楽しみに~。
岡畑興産では、真面目に靴をつくっている会社のブログ「くつナビ」を運営しています。
靴や靴の素材、豆知識などさまざまな知識を発信していますので、こちらもぜひご参考ください!
※岡畑興産株式会社は化学品事業と靴受託事業が連携し、SDGsに貢献できる材料開発・用途開発を進めています。