こんにちは。靴のOEM商社「岡畑興産」の伊集院です。
ランニングシューズのミッドソールなどによく使われる「EVA」という素材をご存知でしょうか。
靴だけでなく日用品にも幅広く使われており、メリットの多い素材でもあります。
今回はそんなEVA素材について詳しくご紹介していきます。
EVA素材とはどんなもの?特徴をご紹介!
EVAとは、Ethylen-Vinyl Acetate (エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂)という樹脂の名前の頭文字を取った略称のこと。
柔軟性と弾力性を持った、用途の広い熱可塑性合成樹脂の一つです。
−20〜60℃での連続使用が可能で、燃やすと熱分解が起こります。
その際には、酢酸が発生してしまうため注意が必要です。
ゴムと類似した性質で、寒くなっても硬くなりにくいという特徴もあります。
似たような素材にシリコンがありますが、EVAの優れている点はシリコンよりも安く、早く成型できます。そのため、幅広い用途で使用されています。
また、EVAは毒性を含んでおらず、万が一口にしても比較的安全であること、地球環境に優しいところも特徴といえます。
EVAを使うメリット
①弾力性と柔軟性
ポリエチレン樹脂と比べて、弾力があり、柔軟。
低温下でも硬くなりにくいです。
②軽量
発泡体のため空気を多く含んでおり、単純にゴムのみを使ったアウトソールと比較すると、かなり軽量であると言えます。
③耐久性
水分に強く、水回りの使用にも耐えられます。
耐光性、耐オゾン性にも優れているので、紫外線にも強いという特徴があります。
④環境にやさしく、安全
塩素を含まない材料なので、焼却してもダイオキシンが発生しませんし、リサイクルも容易にできます。
環境面でのメリットについては、さらに詳しく後ほどお伝えします。
また、有害物質を含まないため、万が一、小さな子どもが口に入れてしまっても安全であることもメリットです。
⑤加工性
靴での主な用途となる発泡や射出に加え、他用途では中空、押出、カレンダー成型、フィルム化できるなど、様々な方法での加工が可能です。
メリットの多いEVA素材ですが、「熱で変形しやすい」「経年や圧力によって縮む」という特徴もあるため、その点には注意が必要です。
EVA素材を使用するデメリットや注意点
メリットの多いEVA素材ですが、成型加工時の管理が非常に重要になってきます。
例えば、温度が低すぎても高すぎても成型が上手くいきません。
熱に弱いというデメリットがあるため、一般的に適温といわれる150~180℃での成型が望ましいとされています。
成型方法やEVAの組成によって異なるため、仕様に応じた温度管理を心がけましょう。
また、EVA素材は衝撃に対して強く、耐久性もありますが、唯一切れ目に弱い傾向があります。
切れ目が入ると広がりやすいため、注意が必要です。
この他にも、均一な圧力をかけるための管理や金型のメンテナンス、発泡剤・添加剤の配合管理や冷却時間等々これらのポイントを適切に管理することが、高品質な製品を製造する上で必要不可欠なポイントになってきます。
EVA素材は環境にやさしい樹脂素材
これだけメリットのあるEVAですが、さらに環境問題へのやさしさも併せ持っています。
環境面についてのメリットもご紹介していきましょう。
一般的に無毒
そのため、製造・使用・廃棄のいずれの段階でも有害物質の放出が少ないです。
特に燃焼時にもダイオキシンなどの発生が少なく、大気汚染のリスクが低いといわれています。
現在、広く使用されているポリ塩化ビニル(一般的呼称:ビニール)は製造・燃焼時に有害物質を放出するため、それに代わる材料としても期待されています。
リサイクル性
比較的容易にリサイクルできるため、再加工→再利用が可能です。
このリサイクルプロセスによって、廃棄物量の削減と原材料の使用抑制ができます。
つまり、資源の効率的な利用につながります。
そんなリサイクルに古くから取り組んでいる台湾の会社を訪問したときのブログがこちらです!
生ビールに欠かせないあの素材、こんなのに化かしちゃいました。~リサイクル廃材EVA~前編
その後に、
EVAホースの廃棄をリサイクルできないか、という取り組みで、履き物としてリボーンさせることに成功したのですが、ブログにて詳細をお伝えしています。
スーパードライに欠かせないあの素材、履き物に化かしちゃいました
輸送コストの削減
非常に軽量であるため、輸送時に必要な燃料やエネルギーが少なくて済みます。
結果として、二酸化炭素の排出量を削減できます。
生分解性の向上
特定の条件下において、分解が進むことが確認されています。
それらの研究が進むことで、将来的には環境負荷がさらに少ない材料として利用されることが期待されています。
このように、たくさんの環境にやさしいメリットがあります。
そのため、EVA素材を用いた商品やノベルティを扱うことで、環境配慮企業としてのアピールにもなります。
EVA素材が使われている製品とは?靴用途での使い方もチェック!
EVA素材は、生活に身近なものとしては以下のような製品に使われています。
- バスマット
- ジョイントマット
- 包装材・下地材・断熱材
- 土木建築用目地
- アウトドア用品・スポーツ用品
- 家具
- パソコンケース
- 玩具
など
靴では、スニーカーやランニングシューズはもちろん、クロッグサンダルなどでよく見かけますね。
このEVAという材料を靴に落とし込んでみたときに、どのような使い方をされるのか、ソールに使われる主な3つの方法もご紹介します。
プレス成型でのEVAソール
現在のスポーツシューズでは、この使い方が一番多いと言っても過言ではないほど基本的な使いです。
一次成型と呼ばれるペレット状のEVAを、実際の形よりも少し大きく、細かい意匠のない外形だけ模られたソール型にします。
※一次成型
その次に、このパーツを実際に意匠やシボが彫られたモールドにはめ込み、熱プレスで形づけると、EVAミッドソールが完成します。
この方法は初期投資として金型代がかかりますが、後述のインジェクションEVAの金型よりも安価で、製品としてのコストもそこまで高くないので、一般的な靴では十分と言えます。
カットEVAソール
この方法では金型の必要はありません。
大きいシート状のEVAをカットし、アウトソールと貼り合わせるだけというシンプルな製法です。
高度な技術の無かった時代からの製法なので、クラシックスニーカーやカジュアルシューズでは今でも見かけますが、機能面や付加価値がつけづらいという面はあります。
ハイパフォーマンスを求めるのであれば、他の方法が良いでしょう(クラシックタイプの根強いファンもいるので、一概には言えませんが…)。
EVA自体が単層から複数層ある場合もあり、人の手で貼り合わせるのでコストが多少掛かりますが、材料費用を総合的にみると一番安価です。
インジェクションEVAソール
射出成型でEVAを発泡させる、インジェクション製法。
「プレス成型では出せない角の立たない丸みを帯びた膨らみが出せる」といった、より独創性のあるデザインも実現可能です。
材料から空気を抜くための穴が不要なため、プレス成型では必ず出てしまう小さいイボのようなものがなく、表面もキレイに仕上がります。
デメリットとしては、金型からの脱型後も膨らみ続けるので、しっかり抑える必要があり、バラツキが出やすいため高い管理レベルが求められる点があります。
金型費用はプレス金型の約2倍でソール自体の単価も高いので、ハイエンドなモデルへの使用では、検討の価値ありです。
EVA素材の特徴を理解して製品選びを
EVAとは、Ethylen-Vinyl Acetate (エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂)という樹脂の名前の頭文字を取った略称のことで、用途の広い熱可塑性合成樹脂の一つです。
柔軟性と弾力性を持ち、ゴムと類似した性質で、寒くなっても硬くなりにくいという特徴もあります。
軽量で耐久性が高く、多様な加工性、環境にやさしく安全、というようにメリットが多い素材です。
生活に身近なものから、スニーカーやランニングシューズまで幅広く活用されており、靴のソールではさまざまな使い方がされています。
EVA素材の特徴を知って、製品の選び方にもぜひ活かしてみてくださいね!
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