2026.05.27
土壌汚染対策の進め方は?工法の選定方法や費用削減に繋がる工法も解説
こんにちは、岡畑興産の高倉です。
工場跡地や給油所跡地、事業用地の売却や再開発、あるいは操業継続を検討する際、「土壌汚染対策として、具体的に何をすればよいのか」「どの工法や土壌洗浄の方法を取るのが最適か」という疑問をお持ちではないでしょうか。
今回は、工場跡地や事業用地の活用を検討されている事業者・土地所有者の方に向けて、土壌汚染対策における調査、分析と工法選定の考え方を、実務的な視点で整理します。
費用削減に繋がる土壌洗浄技術もお伝えしますので、ぜひチェックしてみてくださいね!

土壌汚染対策で押さえておきたいポイント
2017年5月に土壌汚染対策法の一部が改正され、2018年・2019年の2段階にわたって施行されました。
この改正により、土地の売却・開発・建て替えの際に土壌汚染調査が必要となるケースが広がりました。
また、汚染が見つかった場合には、対策内容を事前に行政へ計画書として提出することも義務付けられています。
つまり、土地を動かす予定のある事業者にとって、土壌汚染はもはや他人事ではありません。
土壌汚染は目に見えないため、調査の進み方や汚染の範囲・程度によって費用が大きく変動しやすく、事前に全体像を把握することが難しい分野です。
費用が読みにくい背景には、調査の入口となる「地歴調査」の精度があります。
過去の土地利用をもとに汚染物質の仮説を立てるこの工程の質が、その後の調査範囲やコスト全体を左右するためです。
そのほか法令上の「特定有害物質」に分類されない油分も、工場跡地などで見落とされやすいリスクの一つです。
目に見えないだけに、後から発覚して対策範囲が広がるケースもあります。
その結果、想定外のコスト増加や、売却・開発スケジュールへの影響が生じるケースも少なくありません。
また、対策方法についても、掘削除去・原位置浄化(土壌を掘削せずに現場で処理)・オンサイト浄化(掘削後に同一敷地内で処理)など複数の選択肢があり、どの工法を選定するかによって、費用だけでなく工期や事業計画全体に与える影響も大きく変わります。
さらに、売却・再開発・操業継続など、最終的に土地をどう使うかによって必要な対策レベルも変わるため、初期段階からゴールを見据えて検討することが、手戻りや想定外のコストを防ぐことにつながります。
土壌汚染対策の進め方と最適な工法の選び方

土壌汚染対策を適切に進め、想定外のコストや工期の遅れを防ぐためには、各ステップで何を判断すべきかを把握しておくことが重要です。
調査・分析・工法選定の流れに沿って、それぞれのポイントを解説します。
1.調査
土壌汚染対策の最初のステップは「調査」です。
費用の見通しを左右する最初の分かれ道となるのが、この段階です。
まず重要になるのは、「何を調査対象とするか」を適切に見極めること。
そのために実施されるのが地歴調査です。
地歴調査とは、登記簿謄本、公図、航空写真などの資料をもとに、対象地および周辺の地形や過去の土地利用履歴を確認し、調査対象となる有害物質を特定するプロセスを指します。
例えば、鉱山跡地、工場跡地、農地、埋立地などでは、想定される汚染物質がそれぞれ異なります。
この段階で対象物質を適切に設定することが、その後の調査精度やコストにも大きく影響します。
対象物質の仮説が立てられた後、実際の現地調査へと進みます。
調査では、土壌・ガス・地下水などのサンプリングを行い、必要に応じてボーリング調査によって地中深部の試料採取も実施します。
これらは地歴調査の結果を踏まえ、合理的な位置・深度で計画されます。
2.分析
次のステップは「分析」です。
環境省の分類では、土壌汚染対策法における特定有害物質は、以下の3つに大別されます。
- 第一種(揮発性有機化合物:VOC)
- 第二種(重金属等)
- 第三種(農薬等)
参照:土壌汚染対策法について(法律、政令、省令、告示、通知) | 環境省
調査で採取した土壌・ガス・水試料を分析装置で測定し、法令基準との適合状況や汚染の程度を定量的に評価します。
これにより、どの程度の対策が必要かの判断材料が得られます。
ここで実務上、特に注意が必要なのが「油分」の存在です。
油分は特定有害物質には含まれていないため見落とされがちですが、工場跡地などでは比較的高い頻度で確認されます。
油汚染は、地下水への影響や周辺環境への拡散リスクを伴うほか、状況によっては水質汚濁防止法に関連する規制や土地利用上の制約につながる可能性もあります。
そのため、特定有害物質とあわせて、油分の有無や影響についても適切に評価し、必要に応じた対策を検討することが重要です。
3.対策工事(浄化工法の選定)
調査・分析の結果を踏まえ、最終的に検討するのが「対策工事(浄化工法の選定)」です。
ここでの判断が、最終的なコスト・工期・事業計画全体を大きく左右します。
汚染の種類や範囲だけでなく、現場条件(土質・地下水状況・敷地制約)や事業スケジュール、コストなどを総合的に考慮し、最適な工法を選定する必要があります。
代表的な工法と特徴は以下の通りです。
| 技術名 | 適用汚染物質 | 概算費用レンジ | 所要期間 |
|---|---|---|---|
| 掘削除去 | 重金属等、VOC、油汚染土壌 | 3万〜10万円/m³程度 | 短〜中期 |
| 原位置浄化 | VOC中心、条件次第で重金属・油も | 2万〜4万円/m³程度 | 中〜長期 |
| オンサイト浄化 | 重金属等、油汚染土壌 | 2万〜5万円/m³程度 | 中期 |
| 不溶化・封じ込め | 重金属等 | 1万〜3万円/m³程度 | 短〜中期+管理 |
| バイオレメディエーション | 油、VOCの一部 | 未公開 | 長期 |
| 油汚染土壌向け洗浄 | 油汚染土壌 | 未公開 | 短期〜中期 |
※費用レンジはあくまで目安であり、実際には汚染の種類・範囲・深さ、施工条件などによって大きく変動します。条件によっては国や自治体の補助金制度が活用できるケースもあるため確認が必要です。
掘削除去のメリット・デメリット
メリット:確実性が高く、浄化完了が分かりやすい
デメリット:搬出・処分・埋戻し費が重い。周辺影響管理も必要
原位置浄化のメリット・デメリット
メリット:掘削量を減らしやすく、操業継続と両立しやすい
デメリット:土質・透水性・濃度条件に左右される
オンサイト浄化のメリット・デメリット
メリット:場外搬出量を減らし、再利用余地がある
デメリット:敷地内スペース・設備設置が必要
不溶化・封じ込めのメリット・デメリット
メリット:掘削除去より低コストになりやすい
デメリット:継続モニタリングや利用制約が残る場合がある
バイオレメディエーションのメリット・デメリット
メリット:環境負荷が相対的に低い
デメリット:工期が長く、条件に左右されやすい
油汚染土壌向け洗浄のメリット・デメリット
メリット:再利用・搬出削減・短工期を狙いやすい
デメリット:土質や油種で適用性判断が必要
この通り、工法ごとにコスト・工期・確実性・敷地条件への適合性が大きく異なります。
例えば、短期間で確実に浄化を完了させたい場合は「掘削除去」が有力となる一方、操業を継続しながら対策を進めたい場合は「原位置浄化」などが選択肢となります。
また、近年「油汚染土壌への対策」として注目されているのが、土壌洗浄技術の高度化です。
次で詳しくご紹介しますね!
土壌汚染対策の費用削減にも繋がる「ソイルランドリー工法」

土壌洗浄技術が高度化しているとお伝えしましたが、油汚染土壌向け洗浄の一例として「ソイルランドリー工法」が注目を集めています。
この「ソイルランドリー工法」は、花王株式会社と株式会社タツノが共同開発した、油汚染土壌に特化した浄化技術です。
洗濯機で衣類を洗う原理を土壌浄化に応用した技術で、汚染部分に新開発の洗浄剤と水を注入して重機で攪拌し、土壌粒子から剥離・浮上した油分を回収するプロセスで浄化を行います。
使用した水は活性炭で処理されます。
従来のバイオレメディエーションでは数カ月単位の処理期間を要するケースが多いのに対し、本工法では数週間程度での処理が可能とされており、工期短縮に寄与します。
さらに、土壌の入れ替えを伴わないため、コスト抑制やCO₂排出削減といった観点でもメリットがあります。
実際にガソリンスタンド跡地などでの適用実績もあり、油汚染対策の新たな選択肢として注目されています。
ご興味のある方は、こちらもぜひチェックしてみてください!
【タツノ】花王と共同開発した油汚染土壌の洗浄工法「ソイルランドリー工法」を実用化 | 株式会社タツノのプレスリリース
土壌汚染対策は正しい進め方で費用を抑えられる
土壌汚染対策は、調査・分析・対策工事という3つのステップで進みます。
費用や工期が読みにくい分野だからこそ、地歴調査の精度や油分といった見落としやすいリスクへの対応、そして工法選定における多角的な判断が、結果を大きく左右します。
また、売却・再開発・操業継続など、最終的に土地をどう使うかによって必要な対策レベルも異なります。
初期段階からゴールを見据えて進めることが、手戻りや想定外のコストを防ぐことに繋がります。
特に油汚染土壌については、ソイルランドリー工法のような新しい選択肢も登場しており、従来工法と比較した上で最適な方法を検討することが費用削減にもつながります。
土壌汚染対策でお困りの際は、ぜひ岡畑興産へご相談ください!
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