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岡畑興産ブログ

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2024.06.11

動物油脂と植物油脂の違いは?含まれる食品や注意点も確認

こんにちは、岡畑興産の山田です。

 

みなさんは、動物油脂と植物油脂の違いについて、ご存じでしょうか。

 

なんとなく、言葉から動物油脂は動物の脂から、植物油脂は植物から採取されるものなのかな、とざっくり考えている方が多いかと思います。

 

簡単に言うとそうなのですが、それぞれどんな特徴の違いがあるのか、どういう用途で使われているのか、現在はどちらが主流なのかなど、細かい部分まで知っている方は少ないかもしれません。

 

今回は、動物油脂と植物油脂がどう違うのか、詳しくお伝えしていきます!

オイル

 

 

動物油脂と植物油脂の違いをご紹介

冒頭でもお伝えしたように、天然油脂は動物性油脂と植物性油脂に二分され、動物性油脂は動物の脂から、植物性油脂は植物の種からそれぞれ採取されます。

 

まず油脂とは、常温で液体である油、固体である脂の総称です。

 

具体的には、動物油脂は「陸上生物の油脂」と「海洋生物の油脂」に分かれ、陸上生物の油脂であれば牛脂・鶏油・豚脂・馬脂・バターなどの種類があり、「海洋生物の油脂」であれば魚油・肝油・鯨などの種類があります。

 

植物油脂であれば、なたね油・こめ油・オリーブオイル・ココナッツオイル・パーム油・ヤシ油などの種類があります。

 

種類を聞くと、違いがより具体的に見えてきますね。

 

では、違いについてさらに詳しく確認していきましょう。

 

動物油脂と植物油脂の脂肪酸の違い

動物油脂と植物油脂

油脂は、脂肪酸とグリセリンが結合した化合物です。

 

この脂肪酸は、動物油脂と植物油脂で違いがあり、具体的には「炭素数の分布」と「飽和か不飽和か?」の2つが異なる点です。

 

また、油脂の構成成分である脂肪酸には、C16(パルミチン酸)とC18(ステアリン酸)があります。

では、脂肪酸炭素数の分布と飽和と不飽和の割合についてご紹介します。

 

動物油脂の場合

 

【陸上生物】

主な陸上生物は牛と豚となり、炭素数の分布には大きく違いはありません。

  • 炭素数の分布 / C16=約30%、C18=約60%
  • 飽和および不飽和 / C16=(飽和:不飽和)=25%:5%、C18=(飽和/不飽和)=18%:42%

 

【海洋生物】

  • 炭素数の分布 / C16=約28%、C18=約24%
  • 飽和および不飽和 / C16=(飽和:不飽和)=20%:8%、C18=(飽和/不飽和)= 7%:17%

 

植物油脂の場合

先ほどは食用も含めた種類をお伝えしましたが、実は植物油脂は工業用にも使われています(そのほかの用途は後ほどお伝えします)。

 

参考に、工業的に使用されている植物油脂は、主にパーム油、ヤシ油、なたね油となり、最も多いのはパーム油です。

各油で含まれる脂肪酸には差がありますが、パーム油とヤシ油では以下となります。

 

【パーム油】

  • 炭素数の分布 / C16=約43%、C18=約52%
  • 飽和および不飽和 / C16=(飽和:不飽和)=42% :1%、C18=(飽和:不飽和)= 5% : 47%

 

【ヤシ油】

  • 炭素数の分布 / C8=約6%、C10=約7%、C12=約49%、C14=約18%、C16=約10%、C18=約10%
  • 飽和および不飽和 / C8〜C14=全て飽和、C16=(飽和:不飽和)=10%:0%、C18=(飽和:不飽和)=2%:8%

 

動物油脂と植物油脂の用途の違い

動物油脂は先ほどの結果を見るとわかりますが、炭素数が非常に狭い範囲で分布しているため、主に食用で利用されています。

 

一方で植物油脂(植物油脂およびそこから得られる長鎖脂肪酸)は、食用だけでなく、工業薬品や化粧品用原料など用途が幅広いです。

 

いずれも食用であれば得られた油脂を精製してそのまま使用しますが、工業用途であれば、この油脂を分解してグリセリンと脂肪酸にします。

 

先ほどもお伝えしましたが、工業用としてはパーム油・ヤシ油・なたね油が使われることが多く、例えば身近なものでいうとパーム油は洗剤にも使われています。

 

ちなみに、こめ油に含まれるガンマオリザノールは、医薬品の有効成分にもなっているんです!

植物油脂がここまでさまざまな用途で使われているとは、驚きですよね。

 

 

食用の動物油脂と植物油脂を摂取する際の注意点も確認

食用の場合、動物油脂は飽和脂肪酸を多く含み、植物油脂は、先ほどご紹介したヤシ系の油脂(パーム油・ヤシ油)以外は、基本的に不飽和油脂を多く含むとされています。

 

牛や豚の油は飽和脂肪酸が豊富で、中性脂肪の合成を促進しやすいため、多く取るのは注意が必要です。

 

魚に含まれる油は、不飽和脂肪酸であるオメガ3脂肪酸が豊富なので、血液中の中性脂肪を下げるといわれており、血液をサラサラにしたり、体脂肪を減少させたりする効果が期待できます。

 

植物油脂は不飽和油脂を多く含むため体に良いとされていますが、マーガリンなど「トランス脂肪酸」が含まれているものに関しては、多く取らないよう気をつける必要があります。

 

いずれも多く取ることに気をつければ、少量であれば大丈夫です。

 

 

動物性油脂よりも植物性油脂の需要が高まりつつある?

動物油脂と植物油脂を比べた場合、比較的供給が安定している植物油脂が好まれることが多く、現在流通している油脂は植物性油脂が多くなっているようです。

 

ただ動物油脂から得られる長鎖脂肪酸も特徴的なため、植物由来のものへの切替が難しい用途もあります。

さらに、最近では廃油を用いたSAF(Sustainable Aviation Fuel=航空機用燃料)にも関心が高まっており、石油系燃料への依存を減らして環境へ配慮する動きも出てきています。

 

今後はゴミの回収品に”廃油”ができるかもしれませんね。

 

 

動物油脂と植物油脂の違いを知って使い分けを!

お伝えしたように、天然油脂は動物および植物から得られ、我々の生活に深く関わっています。

 

油脂は脂肪酸とグリセリンの化合物で、脂肪酸は動物油脂と植物油脂で「炭素数の分布」と「飽和か不飽和か?」という点に違いがあります。

 

また、その結果により、炭素数が非常に狭い範囲で分布している動物油脂は主に食用で利用されており、一方で植物油脂は食用だけでなく、工業薬品や化粧品用原料など幅広い用途に使われています。

 

天然油脂は環境循環型のものとなりますので、ますますその重要性が増していきそうですね。

 

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岡畑興産 山田 オカハタコウサン ヤマダ

岡畑興産株式会社
機能化学品事業部

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