2021.08.02
アミノ酸系界面活性剤とは?洗浄成分の効果や安全性について解説!
こんにちは。岡畑興産で化粧品原料を担当している吉江です。
化学品商社である岡畑興産の常設オンライン展示会「どこ展」では“原料調達難の時代、アジア・ソーシングも選択肢に“というテーマで、アジアでも揃う天然系ほか優良な化粧品原料を数多くご紹介しています。
そんな中から今回は「アミノ酸系界面活性剤」について詳しく解説させていただきます。
刺激性が少なく、肌に優しい洗浄成分である「アミノ酸系界面活性剤」。
種類もたくさんあり、それぞれに特徴があります。
効果や安全性についてもお話ししていきますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
目次
アミノ酸系界面活性剤とは?特徴や種類をチェック!
アミノ酸系界面活性剤は、アシル基(脂肪酸残基)とアミノ酸(グルタミン酸、アスパラギン酸、グリシン、アラニンなど)からなるアニオン性界面活性剤。
洗浄剤としてシャンプーやボディーソープ、洗顔剤など幅広い製品に配合されています。
使われる原料の組み合わせにより、さまざまなアミノ酸系界面活性剤が存在しますが、今回はその中でもメジャーなココイルグリシンKを例に出して、名称や構造をご紹介いたします。
アミノ酸系界面活性剤の種類「ココイルグリシンK」の特徴
化粧品表示名称:ココイルグリシンK
医薬部外品表示名称:N-ヤシ油脂肪酸アシルグリシンカリウム
INCI名:Potassium Cocoyl Glycinate
【構造式】
合成の界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウム等)と比べると洗浄力は弱いですが、肌への刺激が小さいことが特徴です。
アミノ酸系界面活性剤は以下の組み合わせでできており、それぞれの中の種類の組み合わせにより性質が変わります。
脂肪酸+アミノ酸+アルカリ
脂肪酸の種類
脂肪酸は天然油脂から得られる成分(ラウリン酸、ステアリン酸など)で、使用される脂肪酸によってアミノ酸系界面活性剤の名称が決まります。
- ラウリン酸 = ラウロイル
- ステアリン酸 = ステアロイル
- ヤシ油由来 = ココイル
ココイルグリシンKはヤシ油由来なので、この名称となっています。
洗浄力や刺激性も、成分によって異なります。
洗浄力:(高)ラウロイル ≧ ココイル > ミリストイル > ステアロイル(低)
刺激性:(強)ラウロイル ≧ ココイル > ミリストイル > ステアロイル(弱)
アミノ酸の種類
角層の中にある天然の保湿因子として重要なのがアミノ酸で、美容に使われるアミノ酸は保湿効果が高く肌に低刺激という特徴があります。
- グリシン:さっぱりとした感触、泡立ちや洗浄力は高い
- グルタミン酸:しっとりとした感触、泡立ちや洗浄力は控えめ
- アラニン:安定した泡立ちと適度な洗浄力で、保湿力が高い
アルカリの種類
化粧品では水溶液中の水素イオン濃度が低いものがアルカリ性となり、アルカリの成分には以下の特徴のものがあります。
- K(カリウム):さっぱり感が強い
- Na(ナトリウム):さっぱり感としっとり感の中間
- TEA(トリエタノールアミン):しっとり感が強い
アミノ酸系界面活性剤とはどのような成分?その効果とは?
アミノ酸系界面活性剤の多くは、肌のpH5~6と同じ弱酸性で刺激が少なく、アミノ酸・脂肪酸・アルカリ剤 を合成することで作られています。
弱酸性で低刺激な洗浄成分であり、肌や髪、頭皮に対して刺激が少なく、保湿性が高いという効果があります。
石鹸やクレンジングによく使われており、皮脂やバリア機能を担っている天然保湿因子やセラミドを洗い流しにくいため、乾燥肌でも使いやすく、お肌のつっぱり感が出にくいという特徴があります。
シャンプーにも使われることが多く、アミノ酸系シャンプーと呼ばれるものはアミノ酸系界面活性剤を使用したシャンプーです。
人の髪や皮膚を構成するタンパク質はアミノ酸で構成されているため、合成界面活性剤よりも肌のうるおい成分を残して汚れを落としてくれます。
アミノ酸系界面活性剤は系統によっても、効果が異なります。
- グリシン系:泡立ちは良く洗浄力は高め。仕上がりはキシキシ感がある。絡まりやすい髪質には不向き
- グルタミン系:保湿効果が高くしっとりした仕上がり。泡立ちや洗浄力は弱いため脂性肌やスタイリング剤を付ける人には不向き
- アラニン系:適度な泡立ちと洗浄力があり、すっきりした仕上がり
岡畑興産でも、中国と韓国のアミノ酸系界面活性剤を取り扱っています。
まだまだ国内メーカーのものと比較すると性能は及ばないかもしれませんが、今後の更なる品質改善やコスト競争力には注目です。
アミノ酸系界面活性剤の安全性は?
アミノ酸系界面活性剤は先にもお話した通り、低刺激で、皮膚に必要な角質層の保湿や、バリア成分を外に溶かさないといった効能があり、安全性は高いとされています。
例に挙げたアミノ酸系界面活性剤である「ココイルグリシンK」は、外原規2021規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2021に収載されています。
外原規とは医薬部外品原料規格の略で、医薬部外品に使用される原料の規格や試験方法を定めたものです。
また、1990年代からの使用実績もある安心な原料です。
アミノ酸系界面活性剤の効果や安全性を知って正しく活用を
洗浄剤として多くの製品に使われているアミノ酸系界面活性剤。
肌のpH5~6と同じ弱酸性で刺激が少なく、アミノ酸・脂肪酸・アルカリ剤 を合成することで作られており、身近なシャンプーやボディーソープ等によく使われています。
20年以上の使用実績もある安全性の高い原料です。
岡畑興産は中国と韓国のアミノ酸系界面活性剤を取り扱っており、千葉科学大学とも協力をして、アミノ酸系界面活性剤の泡質や安定性を科学的に調査しています。
今後もさらなる検証を進めていきますので、ご注目下さい。
岡畑興産が運営している常設オンライン展示会「どこ展-どこでも、ひとり展示会」でも
詳しく紹介していますので、ぜひお越しください。