2022.02.15
シャンプーの成分「界面活性剤」の種類ごとの特徴とは?
岡畑興産の吉江です。
普段皆さんが使用している「シャンプー」はどのように選んでいるでしょうか。
好きなメーカーや前から使っているなど、人によって様々な理由があるかと思いますが、成分まで確認して選んでいる方は少ないのではないでしょうか。
シャンプーの洗浄成分である「界面活性剤」は、選ぶ上で一つの判断基準になります。
「界面活性剤」には様々な種類があるため、特徴を知っておくとさらに選びやすくなります。
今回はそんな「界面活性剤」について詳しく解説!
これからのシャンプーを選ぶ際の基準になれば嬉しいです。
目次
シャンプーの洗浄成分には何が求められる? 界面活性剤の構造から確認
シャンプーの洗浄成分には、主に以下の4つの機能が重視されます。
- なめらかさ
- すすぎやすさ
- 洗浄力
- 泡立ち
シャンプーには、髪同士がこすれ合うのを防ぐための「なめらかさ」、皮脂や汚れが残るのを防ぐための「すすぎやすさ」、皮脂や汚れを落とすための「洗浄力」、頭皮の汚れを弾き出すための「泡立ち」が重要です。
「界面活性剤」はこれらの役割をすべて備えています。
なかでも洗浄力が高く、水ではほとんど流れない皮脂・汗・微細な角質・スタイリング剤などを落とす効果があるため、シャンプーの代表的な成分として使われています。
「界面活性剤」は、水になじみやすい「親水基」、皮脂となじみやすい「親油基・疎水基」から構成されており、図で表すと以下のマッチ棒のような構造です。
このような構造により、本来は混ざり合わない水と皮脂を界面活性剤が結びつけることで、汚れを落とすことが可能になります。
シャンプーの洗浄成分「界面活性剤」の種類も解説!
界面活性剤は大きく4種類に分類されますが、その中でもシャンプーに多く使用される界面活性剤は「アニオン界面活性剤」と「両性界面活性剤」の2種類です。
それぞれの特徴を解説していきます。
アニオン界面活性剤
水中で親水基の部分がマイナスイオンに電離する界面活性剤で、泡立ちや洗浄力に優れているのが特徴です。
シャンプー以外には衣類用洗剤やボディーソープ等にも使われています。
また、種類もたくさんあるため、その一部をご紹介いたします。
■アミノ酸系界面活性剤
マイルドな洗浄力を持ち、泡立ちは控えめですが低刺激な点が特徴です。
アミノ酸を原料にしているため、界面活性剤の名称にアミノ酸の名称(グルタミン酸、グリシン等)が入っています。
【成分例】
- ココイルグルタミン酸Na:低刺激、洗浄力は弱い、しっとりとした洗い上がり
- ココイルグリシンK:低刺激、強めの洗浄力、きしみが出やすい
岡畑興産ブログにてアミノ酸系界面活性剤を詳しくご紹介していますので是非ご覧ください。
■硫酸エステル塩
高級アルコール系とも呼ばれる硫酸エステル塩。
シャンプーで最も汎用な界面活性剤で、泡立ちが良く、強めな洗浄力が特徴です。
多くのシャンプーに使われていますが、洗浄力が高い分、敏感肌の方には刺激が強い可能性もあります。
【成分例】
- ラウリル硫酸Na:洗浄力がとても高い、刺激性も高め
- ラウレス硫酸Na:ラウリル硫酸Naと比較するとマイルドな界面活性剤
- オレフィン(C14-16)スルホン酸Na:洗浄力は強めで泡立ちも良い
「オレフィン(C14-16)スルホン酸Na」は下記コラムでも詳しくご紹介しております。
■カルボン酸塩
カルボン酸塩とは弱酸性の界面活性剤で、「せっけん」の成分です。
洗浄力・泡立ちが良い上に低コストですが、髪がきしみやすい、低温では洗浄力が低下しやすいなどのデメリットもあります。
【成分例】
- 石けん素地:油脂と水酸化ナトリウムから作られ、主に固形石けんの原料
- カリ石けん素地:油脂と水酸化カリウムから作られ、主に液体石けんの原料(ボディーソープ等)
両性界面活性剤
水中でアルカリ性側ではアニオン界面活性剤、酸性側ではカチオン界面活性剤の性質を示す界面活性剤です。
他の活性剤と組み合わせて使用されることが多く、洗浄力や泡立ちを向上させる補助剤として使用されます。
両性界面活性剤の代表的な種類は以下の通りです。
■ベタイン系
洗浄力や泡立ちが弱いため単独で使われることはなく、主に他の界面活性剤と組み合わせて使います。
【成分例】
- コカミドプロピルベタイン:マイルドな洗浄力で刺激性が低い
- ラウラミドプロピルベタイン:泡立ちや粘度、コンディショニングを調整する
■イミダゾリン系
皮膚や眼に対する刺激が少ないため、シャンプーだけでなく皮膚洗浄剤の原料として幅広く使用されます。
【成分例】
- ココアンホ酢酸Na:硬水でも洗浄性や起泡性を発揮し、シャンプーの刺激を緩和する働きがある
シャンプーの成分表を見るときは界面活性剤の順番を確認
ほとんどのシャンプーは「化粧品」に該当するため、薬事法という法律で全成分表示が義務付けられています。
また、配合量の多い順番に成分が記載されています。
わかりやすく市販シャンプーを例に、界面活性剤に該当する成分に下線を引きましたので、参考にしてください。
水、ココイルグルタミン酸TEA、オレフィン(C14-16)スルホン酸Na、コカミドプロピルベタイン、PPG-2コカミド、ココアンホ酢酸Na、グリセリン、PCA-Na、アスパラギン酸、アセチルグルタミン、アセチルグルタミン酸、アセチルヒドロキシプロリン、アラニン、アルギニン、イソステアロイル加水分解コラーゲンAMPD、イソロイシン、グリシン、システイン、シトルリン、セリン、トレオニン、バリン、ヒスチジン、ヒバマタエキス、フェニルアラニン、プロリン、マコンブエキス、リシンHCl、腐植土抽出物、BG、EDTA-2Na、PCA、イソステアリン酸PEG-50水添ヒマシ油、エタノール、クエン酸、ジラウロイルグルタミン酸リシンNa、ポリクオタニウム-10、ポリクオタニウム-7、乳酸Na、フェノキシエタノール、メチルパラベン、安息香酸Na、香料
シャンプーは1種類の界面活性剤だけではなく、様々な種類の界面活性剤を組み合わせることで洗浄力や質感を向上させています。
シャンプーを選ぶ際は成分表示の1〜2つ目までの界面活性剤を基準に選択をいただければ、自分に合ったシャンプーが見つかるかもしれません。
シャンプーに含まれる界面活性剤の種類を知って選ぶときの参考に!
洗浄や泡立ちなどを目的として、シャンプーに使われている界面活性剤。
シャンプーに多く使用される界面活性剤は「アニオン界面活性剤」と「両性界面活性剤」の2種類で、それぞれさらに細かく分類があります。
アニオン界面活性剤は泡立ちや洗浄力に優れているのが特徴で、アミノ酸系界面活性剤・硫酸エステル塩・カルボン酸塩などが代表的。
両性界面活性剤は他の活性剤と組み合わせて使用されることが多く、洗浄力や泡立ちを向上させる補助剤として使用されています。
代表的な種類としてベタイン系・イミダゾリン系があります。
多くの種類があるため、自分にあったシャンプーを選ぶ参考になれば嬉しいです。
岡畑興産が運営している常設オンライン展示会「どこ展-どこでも、ひとり展示会」でも、
アミノ酸系界面活性剤、オレフィン(C14-16)スルホン酸Naを詳しく説明しています。
その他にも様々な化粧品原料を詳しく展示していますので是非お越しくださいね。