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2025.08.08

【訪問レポート】世界中の足元を支えるソールの力とは?ヴィブラムジャパンさんにお邪魔してきました!

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こんにちは。岡畑興産の伊集院です。
くつナビ的会社訪問企画第2弾、Vibram Japan(ヴィブラムジャパン)様!!

黄色いロゴでお馴染みのあのソールブランドです。アウトドア好きの方やワークブーツ愛好家には、きっと馴染みがあるはず!

今回は東京都内にあるヴィブラムジャパンさんの社内にお邪魔し、インタビューをさせていただきました。

ソールへのこだわりや開発の裏側、日本ならではのアイデアが詰まった商品、そして弊社との取り組みまで、たっぷりご紹介します。

ぜひ最後までご覧ください!

取材にご協力いただいた方:ヴィブラムジャパン株式会社 眞田様、平野様
Vibram Japan HP:https://www.vibram.com/jp
Vibram Japan Instagram:https://www.instagram.com/vibram_japan/

ヴィブラムとは?

1937年、イタリアの登山家ヴィターレ・ブラマーニさんが創業したソール専門メーカーです。社名「Vibram(ヴィブラム)」は、彼の名前 “Vitale Bramani” に由来しています。

「人々の経験を後押しする」ことをビジョンに掲げ、「世界で最も品質の高いソールメーカーであり続ける」というミッションを追い求めてきたブランド。

ちなみに黄色いロゴの形は、ミラノのシンボル、ガッレリアのアーチがモチーフなんだとか。ロマンがありますね!

ヴィブラムの歴史:登山靴からライフスタイルシューズまで

ヴィブラムの始まりは、登山家だった創業者ヴィターレ・ブラマーニさんのある体験からでした。

1935年、登山中の悪天候による遭難で仲間6人を失うという悲劇に直面。当時の登山靴は革底に釘が打たれただけの構造で、氷上では滑りやすく、金属の釘は熱伝導率が高く足を冷やしてしまうなど、厳しい環境には不向きでした。

「命を守れる靴底を作りたい」という強い想いから開発が始まり、1937年に誕生したのが、登山靴として初のゴムソール「カラルマート」。縦方向・水平・放射状といったラグ(突起)形状を組み合わせたこのソールは、すべてのデザインが機能に基づいており、現在のヴィブラム哲学の原点でもあります。

その名が世界に広がるきっかけとなったのが、1954年のK2登頂。イタリア登山隊が全ての靴にヴィブラムを採用し、世界初の登頂に成功。当時は戦後の“未踏の山競争”の真っ只中。世界中が注目した偉業でした。

以降も、クラシックシューズの軽量化を支えたヴィブラム「GUMLITE」、リサイクル材を使ったヴィブラム「エコステップ」、そして素足感覚のヴィブラム「Five Fingers」など、時代ごとに新しい発想でシューズ業界に革新をもたらし続けています。

ヴィブラムの強さのヒミツは?

ヴィブラムの強みは、ズバリ「デザイン × コンパウンド」。一口にゴム底といっても、実に約100種類ものコンパウンド(配合)があり、それぞれの用途・環境に応じて細かく使い分けられています。

例えば、岩場・濡れた道・氷の上といったシビアな環境でも、最大限のパフォーマンスを発揮するように設計されています。そしてこの性能を支えているのが、膨大な生産と徹底したテスト体制です。

– 年間4,000万足以上、一日あたり約10万足のソールを世界に供給!
– ラボでの物性テスト(耐久・摩耗など)
– テクノロジカルセンターでの着用テスト(使い心地や適合性)
– さらに100万km以上に及ぶフィールドテストを実際の人が履いて実施
– 契約しているアウトドアアスリートのフィードバックも反映!

さらに、工場が山のすぐ近くにあるため、すぐに“本物の環境”で実地テストができるというのも大きな強みです。

そして何より驚いたのは、そのバリエーションの豊富さ。ヴィブラムは「カタログ(=コンパウンド)の数」が本当に多くて、社内の方いわく「ゆりかごから棺桶まで」履いていられるくらい、さまざまなシーンに対応できるそうです。“歩ける限りずっと”頼れるソールブランドです。

こうした圧倒的な選択肢と信頼性があるからこそ、私たち岡畑興産も、お客様のこだわりを形にするOEM提案の中でヴィブラムのソールを使わせていただいています。「こういう場所で使いたい」「こういう性能が欲しい」といったご要望に、的確に応えられるソールが揃っているのも、魅力です。

社内にある「コンパウンド体験コーナー」がスゴかった!

今回、筆者が密かに楽しみにしていたのが…「コンパウンド体験コーナー」!
ヴィブラムジャパンさんのオフィスには、実際のソールの性能を体験できるテストゾーンがあります。体験したのは、「濡れた路面」と「濡れた氷上」の2つのパターン。

まずは濡れた路面(なんと傾斜約45度!)を、右足と左足で異なるコンパウンドの体験用シューズを履いて登るという体験。傾斜でつま先に体重をかけた瞬間、片方はツルッと滑ってしまいましたが、もう片方はグッと止まる。グッと止まった方は、どれだけ体重をかけてもグリップの力でソールがピタッと路面に密着していました。コンパウンドでこんなに違うの!?と衝撃でした。

さらに凍った水辺のテストでは、さっき滑らなかったコンパウンドが今度は逆にツルツルに。濡れた氷上用のソールを装着した方の足は、全く滑りませんでした。「Vibramだから万能・安心」ではなく、「使う場所や用途に応じてソールを選び分けるべき」というメッセージが、この体験を通してものすごく伝わってきました。

サステナビリティへの挑戦

近年、ヴィブラムが力を入れているのが、サステナブルなモノづくり。

たとえば、廃材を30%使ったヴィブラム「エコステップリサイクル」や、最大90%の天然由来原料を使ったヴィブラム「エコステップナチュラル」など、環境に配慮したソールが増えています。

また、「Repair If You Care」という取り組みも印象的でした。
靴を長く使ってもらうために、リソール文化を広める活動を展開。すり減ってしまったソールを新しいソールに張り替えたり、さらには靴をより機能性のあるものにアップデートできるというメリットもあります。初めて古着屋さんでイベントを開いたときは、なんと即日満席だったとか!靴は“使い捨て”ではなく、“修理できるもの”。そんなサステナブルな考え方を広める姿勢に、とても共感しました。

また、今後は生産工程における改善、光熱費の使い方や水のリユースなどに注力していきたいと考えているそうです。

日本の伝統から生まれた2つのアイテム

日本ならではの文化をヒントにした、ユニークな商品もあります。

1つ目は「FUROSHIKI」。その名のとおり、風呂敷のように足を包む構造のシューズ。ヴィブラムの社員でもある日本人デザイナーが「金型を減らせるデザインはできないか?」というお題から生み出したものだそうです。足の形にフィットする柔らかさと、包まれる安心感が魅力。また、ゴムと別の素材を同時に成型する技術があるヴィブラムだからこそできた商品です。

2つ目は「ワンクォーター」。人工衛星にも採用されている、折り紙の“ミウラ折り”からヒントを得て開発された靴で、たたむとなんと1/4のサイズに!持ち運びにも便利で、旅行や出張時にとっても助かるアイテムです。

岡畑興産×ヴィブラムジャパンの関係

弊社、岡畑興産の靴受託事業部では、お客様のニーズに合わせてヴィブラムのソールをご紹介しています。
岡畑興産のOEM紹介ページ:https://okahata.co.jp/shoe-oem.php

OEMの際には、「Vibramを使いたい!」というお声を直接いただくこともあり、その際は連携して商品づくりを進めさせていただいています。長年のお付き合いもあり、社員一同、ヴィブラムジャパンさんにはいつも温かく接していただいています(感謝…!)。

最後に

いかがでしたか?ソールって、普段はあまり意識しないかもしれませんが、実は靴の性能を決める“縁の下の力持ち”なんです。

そしてヴィブラムは、そのソールで世界中の足元を支え続けているブランド。歴史ある確かな技術と、未来を見据えたサステナブルな取り組み。さらに、靴の開発者と共にユーザーの声を聞き、分析して開発に活かしていく姿勢――。それこそがヴィブラムの「イノベーション」であり、変わらぬスタンダードだと感じました。

これからも、靴業界の一員として、一緒に“履く人のためのモノづくり”を続けていけたらと願っています。

最後までご覧いただき、ありがとうございました!
こちらのブログもぜひご覧ください!


岡畑興産では、真面目に靴を作っている会社のブログ「くつナビ」を運営しています。
靴や靴の素材、豆知識などさまざまな知識を発信していますので、こちらもぜひご参考ください!

※岡畑興産株式会社は、化学品事業靴受託事業が連携し、機能性素材の材料開発・用途開発を進めています。

この記事を書いた人

岡畑興産株式会社・靴受託事業部伊集院

シューズOEMと機能材料営業
ランニングサンダル、バイクシューズを担当しています。新しい技術、材料をお客様に提案し、喜んで頂くことが何よりも嬉しい。
お客様のご要望があれば、デザイン提案も行います。

海外勤務経験を活かし、現場の雰囲気をブログでお伝えしていきます。

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