皆さん、こんにちは!岡畑興産のこじろうです。
靴のライニングとは簡単に言うと靴の内側、足と接触する素材のことです。
直接触れる部分なので、選ぶ素材の種類によっては着心地も変わります。
また、ライニングは部位ごとに役割も異なります。
今回はそんなライニングについて、部位ごとに求められる役割や素材の種類、長持ちさせるためのケア方法などを詳しくご紹介していきますね!
目次
靴のライニングとは?まずはその特徴や役割をチェック
「ライニング」とは、靴の内側、足と接触する素材のこと。
直接足が当たるため、動きにより擦れるなど材料に負荷が掛かるパーツです。
引き裂き強度(裂け)/耐摩擦強度(こすれ)/染色摩擦堅牢度(色落ち)/破裂(やぶけ)/耐光堅牢度(色あせ)などの基準を決めて、検証した上で使用されています。
アッパー材料よりも厳しい物性基準が設定されていることが多く、耐摩耗性や吸放湿性、摩擦係数などの機能が要求される素材です。
主に以下のように4つの部位ごとに名称があり、それぞれ求められる役割が異なります。
- 指先:トゥライニング/TOE LINING (爪先裏)
- 指先から後ろ:クォーターライニング/QUARTER LINING (腰裏)
- 踵:ヒールライニング/HEEL LINING (スベリ)
- 足裏:インソールライニング/INSOLE LINING (中敷)
それでは、部位別に詳しく説明していきましょう。
トゥライニング/TOE LINING (爪先裏)
指先は足指の擦れや動きがある部位なので、摩擦による耐摩耗性が必要です。
そして指は汗をかきやすいので、通気や透湿性が求められます。
汗で色が落ちないような素材であることも重要です。
靴の中をのぞき込まないと見えない部分なので、見た目よりも機能性優先で選ばれることが多いでしょう。
クォーターライニング/QUARTER LINING (腰裏)
クォーターライニングは履き口から少し見える部位です。
履いたときにチラッと見え、ショップで陳列してあるときにはとても目立つ部位のため、デザインや色などの外観も重要です。
素材で高級感を出したり、色で個性を出すことで、靴全体の見た目が変わってきます。
また、クォーターライニングの表面感は靴の履き心地を左右します。
つるつるしたものは軽い感じ、起毛のものはねっとりはりつくような感じの履き心地になります。
ヒールライニング/HEEL LINING (スベリ)
踵部分のため、ライニングの中で一番摩擦耐久度が求められるのがヒールライニングです。
靴を履いたり脱いだりするときに擦れ、履いた後に脱げにくいように摩擦係数の高い素材を選ぶことが重要です。
脱ぎ履きのときに擦れるので破れにくく、摩耗に強くなくてはいけません。
インソールライニング/INSOLE LINING (中敷)
耐久性は他ライニングと同様に求められます。
足裏に当たる部位なので、とくに表面の素材が履き心地に影響します。
ライニングを含めた他のスニーカーの構造については、下記のコラムでも詳しく説明していますので、ぜひご参考ください!
ライニングに使われる主な素材を詳しく解説!
ライニングは足に触れる部分なため、素材の特徴を知っておくことも重要です。
主に以下の「天然皮革」「天然繊維系」「合成皮革」「合成繊維系」の4つが挙げられます。
天然皮革ライニング
昔から紳士靴のライニングに良く使われているのが天然皮革です。
牛、豚、馬、山羊などの革が多く使われます。
天然皮革ライニング材は見た目が綺麗で高級感があり、吸湿性や摩耗性にも優れています。
ただし、色を染めて使うので色落ちしやすいというデメリットも。
馬革は丈夫で豚裏革は通気性抜群ですが、どちらも毛穴が大きく薄いと言う特徴があり、山羊革は耐摩耗性に優れています。
また、羊皮やムートン(羊皮を鞣したもの)は保温性があり、防寒用にも多く使われます。
肌触りは合成素材よりもなめらかです。
天然繊維系ライニング
通気や透湿性に優れカビが生えにくく、足触りも良い素材です。
耐久性は天然皮革に劣るため、長く履いているうちに傷んだり破けたりしやすいところはデメリット。
革に比べて見栄えは劣るので、見えにくい爪先に使われることが多い素材です。
合成皮革ライニング
合成皮革は天然皮革の代替えとして誕生した素材です。
見栄えを良くしながら、コストダウンのため使われています。
雨や水に強いですが、伸縮性や柔軟性が天然皮革よりも劣り、経年劣化をするというデメリットがあります。
最近では通気性、消臭、抗菌、防カビ機能を持った高機能人工皮革のライニング素材も開発され、紳士靴や高級なスニーカ一に使われています。
ヒールライニングにはマイクロファイバー(起毛合成皮革)などの合成皮革も使われることが多いです。
合成繊維系ライニング
スニーカーのライニング素材として最も多く使われているのが合成繊維系の「合成繊維メッシュ」です。
素材を網目状(メッシュ)に編むことで隙間ができ、通気性や放熱性に発揮できます。
化繊系は加工により機能を増やすことがができるため、最近では消臭、抗菌、抗ウイルス、防カビ、調温機能、接触冷感など多様な機能提案がされています。
こちらでご紹介した素材については、下記のコラムでもご紹介しておりますので、あわせて参考にしてみてくださいね!
靴のライニング素材を長く保つ方法もチェック
靴の部位の中でも、ライニングは正直なところ破けたりしてしまうと、個人では修理が難しいです。
そのため、普段のケアがとても大切。
以下の方法を心がけて、長くきれいに保ちましょう!
同じ靴を続けて履かない
1足の靴を頻繁に履けば、ライニングだけではなく靴自体の消耗も早まってしまいます。
履くサイクルを意識して、靴を休めましょう。
靴ベラを使う
踵部分のライニングへのダメージを減らすため、履くときは靴ベラを使うのがおすすめです。
踵を踏みつけて脱ぎ履きすると縫い目から破けてしまうこともあり、ライニングが破れるだけではなく、中からカウンターが飛び出して足を傷つけることもあるため、絶対に止めましょう。
湿気や直射日光に注意する
靴の中はとても湿気が溜まりやすいので、風通しの良いところで保管しましょう。
ただし、直射日光も靴を傷めるので注意してください。
靴内が濡れているなら、丸めた新聞紙を靴の中に入れて湿気を取るなどの対策をするとより良いでしょう。
天然皮革のライニングは保湿をする
天然皮革用のケアクリームで定期的に保湿のメンテナンスをしましょう。
消毒用エタノールを水で薄めたものを布に湿らせて軽く拭くことで、清潔に保つことができます。
ただし、エタノール液が濃いと色落ちすることもありますのでご注意ください。
ライニングの素材を知って履き方やお手入れ・保管方法を意識していただけば、消耗品である靴も良い状態で長く愛用することができます。
靴のライニングは素材が大事!特徴やケア方法を知って長く履こう
「ライニング」とは靴の内側の素材のことで、直接足が当たるため、動きにより擦れるなど材料に負荷が掛かるパーツです。
厳しい物性基準が設定されていることが多く、耐摩耗性や吸放湿性、摩擦係数などの機能が要求されます。
素材は主に「天然皮革」「天然繊維系」「合成皮革」「合成繊維系」の4つがあり、それぞれの特徴を知ったうえで選ぶと、快適なは着心地にも影響します。
同じ靴を続けて履かない、靴ベラを使う、湿気や直射日光に注意する、天然皮革のライニングは保湿をするなどのケアも普段から心がけ、長くきれいに保てると良いですね!
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