お問い合わせ

岡畑興産ブログ

BLOG

2024.05.29

フルフラールの誘導体とは?製造方法や用途についても詳しく解説!

こんにちは、岡畑興産の山口です。

 

以前ブログにて「フルフラールとは何か」をご紹介しましたが、今回はフルフラールの誘導体についてご紹介させていただきます。

 

フルフラールから何が誘導体として合成されるのか、誘導体の種類や、種類ごとの製造方法・用途、近年の市場について詳しく解説していきます!

 

 

フルフラールの誘導体とは?種類や製造方法・用途をご紹介

フルフラールとは芳香族アルデヒドの一種で、農産物の副産物やおがくずなどを原料にして製造される化学品です。

 

詳しくは過去のブログ「フルフラールとは?製法や産地、用途について詳しく解説!」もチェックしてみてくださいね。

このフルフラールへ、酸化・還元やビニル化などの反応を起こさせることで、さまざまな誘導体を合成することができます。

 

その例を下の図に示します。

フルフラール

今回は弊社とお取り引きのあるベルギーメーカーで、取り扱いのあるフルフラールの誘導体について詳しくご紹介していきます(図の緑文字の誘導体)。

 

①フルフリルアルコール(FA/CAS番号98-00-0)

フルフリルアルコールはフルフラールを還元することで製造され、古くから鋳型用のバインダーやフラン樹脂の合成に使用されてきました。

 

これらのかつてからの用途に加え、近年の環境意識の高まりからフルフリルアルコールの新たな用途開発も進んでいます。

木材へフルフリルアルコールを含侵させることで、硬度や耐久性を上げることができるのです。

 

熱帯産の広葉樹(ハードウッド)は硬く腐朽にも強いため、建材としての需要が高いのですが、成長が遅く、気候変動の観点からも保護が必要となってきています。

そこで、人工林として植林も盛んな針葉樹(ソフトウッド)へフルフリルアルコールを含侵させ、硬化させる研究が進んでいます。

 

さらには、こうして加工した木材は鉄やコンクリートの代替として使用可能なほど耐久性が高いと、注目が集まりつつあります。

 

②テトラヒドロフルフリルアルコール(THFA/CAS番号22415-59-4)

テトラヒドロフルフリルアルコールは、先に述べたフルフリルアルコールを水素化することによって合成されます。

 

主にバイオベースの溶剤として農薬の配合や洗浄剤、金属加工液、インキの溶剤などに使用されています。

 

また、テトラヒドロフルフリルアルコールは生分解性があり、溶解性にも優れるので化学物質製造時の中間体としても用いられています。

 

③2-メチルフラン(2-MF/CAS番号534-22-5)

2-メチルフランはフルフラールを高温条件下で水素化することで製造されており、開環、置換、転移反応により多くの医薬品の化学中間体として使用されてきました。

 

近年ではバイオ燃料としての利用の開発も行われています。

 

④2-メチルテトラヒドロフラン(2-MTHF/CAS番号96-47-9)

2-メチルテトラヒドロフランはテトラヒドロフランをさらに水素化することで製造されます。

 

2-メチルテトラヒドロフランはテトラヒドロフランよりも毒性が低く、また爆発性のある過酸化物を生成しにくいという特徴があります。

 

そのため、テトラヒドロフランの代替として期待されており、特にAPI(医薬品原薬)製造におけるGrignard(グリニャール)反応においては、より高い収率を得ることができ、需要が高まっています。

 

 

フルフラールの誘導体は環境に優しい!市場の需要も高まっている

風力発電

バイオマス由来の化学品であるフルフラール。

持続可能なバイオベースの化学物質の需要が高まっている中、このフルフラールの誘導体も市場規模が広がっています。

 

バイオ燃料の主要成分として使用できたり、保護が必要な熱帯産の広葉樹(ハードウッド)の代わりに針葉樹(ソフトウッド)を硬くさせる成分として使用できたりと、環境破壊を抑止するための用途でも使うことができるため、世界中で研究が進んでいます。

 

弊社とお取り引きのあるフルフラール誘導体を取り扱うベルギーメーカーも、工場に風力発電を設置し、消費エネルギーの60〜70%をまかなうなど、バイオマス由来原料を製造するだけでなくエネルギー源としても環境に優しいものを使用しています。

 

フルフラールと、その誘導体は今後もますます需要が高まっていくことでしょう。

 

 

フルフラールの誘導体には今後も期待!

フルフラールへ、酸化・還元やビニル化などの反応を起こさせることで、さまざまな誘導体を合成することが可能です。

 

フルフラールの誘導体は、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、2-メチルフラン、2-メチルテトラヒドロフランなど、ほかにもさまざまな種類があります。

 

いずれもバイオマス由来の化学品であるフルフラールを出発原料としているため、環境に優しい誘導体です。

 

現在、市場でも需要が高まっており、今後も採用の広がりが期待できます。

 

岡畑興産では、フルフラールとその誘導体以外にも、これからの時代にあわせたさまざまな製品を取り扱っています!

 

岡畑興産ブログ」では、さまざまな機能性原料・化粧品原料を展示しています。

常設オンライン展示会「どこ展 2.0」でも、多くの原料をご紹介していますので、ぜひお越しくださいね!

 

【参考文献】

科学技術振興機構「林業活性化と熱帯林の保護を目指したフラン樹脂加工木材の開発」

日本接着学会誌「フルフラールを原料としたバイオベース材料開発」

日本燃焼学会誌「先進火花点火機関に適用されるバイオ燃料の着火特性」

 

岡畑興産 山口 オカハタコウサン ヤマグチ

岡畑興産株式会社
機能化学品事業部

facebook

twitter

line

CONTACT

ご相談・お問い合わせはこちらから

ご相談・お問い合わせ