2023.12.27
PEEKとは?特徴やグレード種類もご紹介!用途についても確認
こんにちは、岡畑興産の竹内です。
みなさん、スーパーエンジニアプラスチック(スーパーエンプラ)の1つである「PEEK」をご存じでしょうか?
一般的には「ピーク」と呼ばれており、樹脂素材の中でも性能が高く使われることの多い素材です。
今回は、このPEEKについて特徴や種類、用途をご紹介します。
興味のある方は、ぜひ参考にしてくださいね!
目次
PEEKとは?その特徴からご紹介
「PEEK(ピーク)」は、正式にはポリエーテルエーテルケトン( Poly Ether Ether Ketone)という名称で、芳香族ポリエーテルケトン類(ベンゼン環をエーテル基とケトン基で繋いだ構造)の1種です。
冒頭でもお伝えしたように、熱可塑性のスーパーエンプラ(スーパーエンジニアプラスチック)の1つでもあります。
PEEKはベンゼン環を2つのエーテル基、1つのケトン基で繋いだ構造です。
構造式は、以下のようになっています。
芳香族ポリエーテルケトン類の中でも耐熱性、機械的強度、耐薬品に優れた代表的なスーパーエンプラです。
CAS番号は31694-16-3です。
スーパーエンプラについては「スーパーエンプラとは?その特徴や用途について詳しく解説!」でもご紹介しています。
PEEKは樹脂素材の中でも特に性能が高いことで有名で、用途については後ほど詳しくご紹介しますが、金属の代替素材として使用されることもあります。
では、PEEKの特徴におけるメリット・デメリットも次で触れていきましょう。
PEEKのメリット・デメリット
PEEKの大きなメリットは、特徴でも触れましたが「耐熱性」です。
連続使用温度約240〜260℃で融点は334℃、成形温度は400℃となっています。
熱可塑性樹脂の中ではトップクラスといえるでしょう。
難燃性も高く、燃えにくく燃えても煙があまり出ないという特性もあります。
熱水やスチームに強い点もメリットです。
機械的強度にも優れており、引張強度:100Mpa、引張弾性率3000MPa、伸び率25%程度で、大変高い機械的強度を示します。
高温環境下でも同じく優れた引張強度・耐衝撃性を保つことができ、炭素繊維・ガラス繊維などを添加することで強度をさらに増すことも可能です。
また、高い耐薬品性もメリットで、PEEKを溶解できる汎用薬品は濃硫酸だけです。
耐摩耗性(摩耗することに耐え、性能を維持する性質)も高いため、滑らかな動きを必要とする摩耗の多いボールベアリングなどの部品にも使用されます。
そのほか、軽い(鉄の1/6・アルミニウムの1/2の重量)・加工しやすい・錆びにくい・放射線で劣化しにくいというメリットもあります。
一方PEEKのデメリットは、メリットが多い分、価格が高いことです。
価格が高いことで使用を見送られることも多くあり、価格を下げることができれば使用量がさらに拡大するといわれております。
PEEKのグレードには種類がある!それぞれの特徴も確認
PEEKは、ニートレジンとして使われることが多いですが(標準グレード)、炭素繊維やガラス繊維を配合したコンパウンド樹脂として、強度・剛性をさらに高めたグレードもあります(強化グレード)。
また、PTEFを配合し摺動性を高めたグレード(摺動グレード)もあり、他にも導電グレード、帯電防止グレード、医療グレードを持ったメーカーがございます。
提供の形状としては、ペレットやパウダーが一般的です。
PTEFについては「PTFEとは?特徴や用途を詳しくチェック」も読んでみてくださいね!
PEEKの主な用途について知ろう
PEEKはさまざまな特徴を生かし、以下のような幅広い分野で使用されております。
- 高温部での使用を含む自動車関連部品(エンジンなど)
- 航空宇宙関連の材料部品
- 電線被覆や電気・電子関連部品
- 電子回路基板
- 医療機器
- 薬品・溶剤・腐食性ガス製造ラインの部品
- 3Dプリンター用フィラメント
岡畑興産では山東凱盛新材料有限公司社が製造するPEKK「KSTONE®」をご提案しており、PEKKとの比較をしているコラム「PEKKやPEEKとは?その特徴や用途、違いを詳しく解説します!」で詳しくご紹介しています。
また、海外ネットワークを生かし、比較的安価なPEEKやPEEKとほぼ同等な性能を有するPEKKも提供可能ですので、興味のある方はお問い合わせくださいね!
PEEKの特徴や用途を知って、上手く活用を
PEEKは高耐熱性、高機械的強度、高耐薬品性をはじめ多くの特徴を持ったスーパーエンプラ(スーパーエンジニアリングプラスチック)です。
用途に合わせフィラーをコンパウンドしたグレードもあり、ペレットやパウダーで提供されます。
課題としては、やはり価格が高価なことです。
また、岡畑興産ではコラムの中に登場したエンプラの添加剤なども扱っております。
ご興味がありましたら詳細をご説明させて頂きますので、お気軽にお問い合わせください。
エンプラ添加剤の1つである流動性向上剤についてのコラムもぜひ読んでみてくださいね!