2024.02.08
PTT(ポリトリメチレンテレフタレート)繊維とは?その特徴や使用用途についてご紹介
こんにちは、岡畑興産の仁科です。
皆さまPTT繊維ってご存じでしょうか?
PTTは繊維にも糸にも紡ぐことができるため人気が高く、そのPTTを使用した繊維はさまざまな用途に使用されています。
今回はこのPTT繊維について、どんな特徴があり、どんな用途で活躍しているのかを詳しくご紹介いたします。
PTT繊維とは?その特徴から確認
まずは基本情報からご紹介します。
- CAS番号:36619-23-5、26590-75-0
冒頭でも少しお話ししましたが、PTT(ポリトリメチレンテレフタレート)は、繊維にも糸にも紡ぐことができる熱可塑性プラスチックです。
1,3-プロパンジオール(PDO)と高純度テレフタル酸(PTA)を重縮合して得られる直鎖状の芳香族ポリエステルで、PTT繊維はテレフタル酸とトリメチレングリコールからポリマーを合成した溶融紡糸によって生産されています。
弾力性・伸縮性、耐薬品性、形態安定性、耐光性、防汚性、ガスバリア性(酸素や水蒸気などの気体の通しにくさ)、耐クラック性(壊れにくさ)に優れているのが魅力です。
熱セット性(熱を加えることで寸法を安定させる性質)があり、生産の際にプリーツや折り目が作りやすいことシワの発生・型崩れ・洗濯による寸法変化が少ないこと、耐光性があるので紫外線に強いことは大きなメリットでしょう。
シワを作っても手で慣らすとシワが消えるという優れたシワ除去性もあるため、擦音も軽減します(ノイズレス)。
そのほか、染色する際の温度は通常110~120℃ほど必要なところ、98℃と低温でもきれいに染まることも、活用しやすい理由の一つです。
1990 年代に入ってから1,3-プロパンジオールの安価な製造技術が開発され、PTT 繊維が現実的なコストで生産できるようになり、工業化が本格化しました。
似た素材にポリウレタン繊維がありますが、特徴は似ているものの劣化しやすいデメリットがあるため、代替えの素材として注目されています。
また、PTT繊維の他のポリエステル繊維にはPET(ポリエチレンテレフタレート)とPBT(ポリブチレンテレフタレート)があります。
PBT繊維はストレッチ性・弾性回復力が高いですが、PTT繊維はさらにその効果が高く、柔らかさ・強さに優れているので幅広い用途で使用可能です。
原料の1,3-プロパンジオールは植物(とうもろこし)由来なので、環境配慮型の繊維であることも特徴です。
PTT繊維の用途は?どんな商品で使われている?
PTTのほとんどはPTT繊維の生産に使用されており(約83%)、PTT繊維の約半分はカーペットに使用されています。
世界最大のカーペットメーカーであるShaw IndustriesとMohawk Flooringは、デュポンのPTT繊維の重要な消費者でもあります。
PTT繊維で作られたカーペットは、その柔らかさ、弾力性、耐摩耗性で有名です。
そのほか、PTT繊維は優れた防汚性と色持ちの良さから椅子張りにも使用されており、これらの特質により、PTT繊維は住宅用および商業用の床材用途での採用も増加しています。
卓越した伸縮性と回復性にも定評があり、アクティブウェア、スポーツウェア、水着、インナーウェアに適しています。
快適性、柔軟性、耐久性を提供するこの繊維の能力により、スポーツウェアやパフォーマンスウェアの生産に好まれる素材となっているのです。
また、優れたガスバリア性は製品の保存性と鮮度を保証する食品包装に適しており、透明性と耐クラック性の高さは、包装フィルムの透明性と完全性にも貢献しています。
PTT繊維の他のポリエステル繊維には、PETとPBTがあるとお伝えしましたが、PET繊維は広く普及しており、ペットボトルや食品容器などの用途が多く、リサイクルに適しています。
PBTは伸縮性があることが最大の特徴ですが、PTT繊維はそれを上回るため、高密度で織り上げているのに,ソフトな表面感としなやかな特性を持つ商品を作ることが可能です。
PTT繊維は「環境配慮型素材」としても優れている
植物由来や生分解性の素材、また有機溶剤を使用しない素材は「環境配慮型素材」と呼ばれます。
石油由来のPETやPBTに比べ、PTTはバイオマス(とうもろこし)由来なので、環境配慮型素材になります。
昨今の環境への意識の高まりから、スポーツやアウトドアからファッション分野まで環境配慮型素材に対する要望は高まっており、今後も需要は高まっていくことでしょう。
今後のPTT繊維の使い道や市場拡大の行方、新たな環境配慮型のプラスチック素材の登場も、気になるところです。
PTT繊維の特徴や用途を知って上手く活用を
PTTは熱可塑性プラスチックで、PTT繊維は溶融紡糸によって生産されています。
PTT繊維は、弾力性・伸縮性、耐薬品性、形態安定性、耐光性、防汚性、ガスバリア性(酸素や水蒸気などの気体の通しにくさ)、耐クラック性(壊れにくさ)に優れているのが特徴で、幅広い製品に活用されている素材です。
PTT市場では、環境の持続可能性が重要視されており、PTT繊維がバイオマス由来による環境配慮型であることが大きな注目を浴びています。
こういった素材が多く使われるようになり、プラスチック材料が環境に与える影響を低減することで、廃棄量が問題となる食品包装や繊維業界に大きく貢献することが見込まれます。
ぜひ今後の動きにも、注目してみてください。
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