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2024.08.22

没食子酸とは?期待できる効果や安全性も確認

こんにちは、岡畑興産の張です。

 

みなさん、没食子酸(ぼっしょくしさん/もっしょくしさん)という名前を聞いたことはあるでしょうか。

 

没食子酸は有機化合物の一種なのですが、聞いたことはあっても、具体的な効果や用途については知らない方もいるかもしれません。

 

今回は没食子酸について、その特徴や効果、製法、用途、安全性まで詳しく解説していきます。

 

ぜひ、参考にしてみてくださいね!

 

 

没食子酸とは?期待できる効果や主な用途もご紹介

没食子酸(ぼっしょくしさん/もっしょくしさん)は、冒頭でもお伝えしたように有機化合物の一種であり、植物由来のフェノール系有機酸です。

化学名は「3,4,5-トリヒドロキシ安息香酸」、INCI名は「Gallic Acid」、CAS番号149-91-7となっています。

 

没食子酸は五倍子(ヌルデの虫こぶ※)、没食子(中近東のブナ・カシワの虫こぶ)、マンサク科の植物ハマメリス(Witch-hazel)、茶の葉、オークの樹枝などに多く含まれています。

 

※虫こぶ=虫が植物に寄生したり産卵したりすることによって、植物の細胞が異常な発達を起こしてできる、こぶ状の突起

 

一般的に、没食子酸は五倍子から抽出して作ることが多いです。

 

五倍子の産地は中国、韓国、北朝鮮等アジア諸国ですが、なかでも多量に量産しているのは中国です。

しかし、五倍子の収量は天候に左右されやすいため、生産地が限られる課題もあります。

 

では、没食子酸の効果や用途もお伝えしていきましょう。

 

没食子酸に期待できる効果

 

酸化防止作用

没食子酸は、優れた抗酸化作用を有しており、そのほか抗炎症作用や抗菌作用の効果も報告されています。

 

そのため、さまざまな製品の酸化防止剤に使われることが多いです。

 

化粧品に使われることの多い油脂・ロウ類およびその誘導体、界面活性剤、香料、ビタミンなどは、「酸敗」につながりやすいです。

 

色・味・においなどが変化して酸味を呈してしまう酸敗は、人体に悪影響を及ぼす可能性もあるため、没食子酸はその酸敗を防ぐ重要な役割を担います。

 

収れん作用

収れん作用とは、タンパク質を変性させることにより組織や血管を縮める作用のこと。

 

この収れん作用によって髪の痛みを補修したり、ハリ・コシが出やすい状態に導くことができます。

 

没食子酸の主な用途

特徴や効果についてお伝えする際に、没食子酸は酸化防止剤や化粧品・ヘアケアに使えることをお話ししましたが、酸化防止剤の役目としては、化粧品のほか食品や飼料にも活用されています。

 

化粧品では、毛穴を引き締めたり肌を滑らかにする効果も期待できるため、脂性肌用化粧品やエイジングケア化粧品に配合されることも多いです。

 

また、没食子酸はタンニン成分を加水分解してできる柱状結晶であることから、インクの原料や培養工学の試薬、還元剤などにも使われており、そのほかボイラー⽤の防サビ剤の原料や電⼦機器の半導体関連材料にも使用されています。

 

 

没食子酸の安全性は?

没食子酸は野菜、果物、お茶などに含まれ、その高い還元力から食品添加物(酸化防止剤)としても使用されている身近なポリフェノールです。

また、没食子酸は食品添加物の既存リストにも収載されています。

 

検査において以下の結果も出ており、安全性は高いといえます。

  • 皮膚刺激性:濃度0.1%以下においてほとんどなし
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし
  • 光毒性(光刺激性):ほとんどなし

 

没食子酸の製法もチェック!

没食子酸の製法についても、参考にご紹介します。

 

①酸加水分解法

原料五倍子→20%単寧酸溶液→加水分解(硫酸)→冷却結晶→精製→乾燥→製品

 

酸加水分解法の生産効率は高いですが、硫酸を使用するため、高温状態で設備への腐食が大きいです。

 

②アルカリ加水分解法

原料五倍子→20%単寧酸溶液→加水分解(アルカリ)→酸で中和酸性化→冷却結晶→精製→乾燥→製品

 

アルカリ法は酸法と比べ、設備への腐食性は低いですが、製法は酸法より複雑で、工業生産は多くアルカリ法を利用しております。

 

③発酵法

花王では、グルコースから微生物を用いて没食子酸を製造する「発酵法」を開発し、2024年1月から微生物を用いて製造した没食子酸の販売を開始しました。

 

まず最初に、糖とともに発酵菌(コリネ型細菌)を発酵タンクへ投入することで、発酵菌が糖を取り込んで没食子酸を生成。

 

そして没食子酸を排出した発酵菌は新たな糖を取り込んで、再び没食子酸をつくり出します。

 

この繰り返しによって、没食子酸の量を増やしていく製造方法です。

タンクから取り出した発酵液をろ過・乾燥すると、粉末状の没食子酸が得られます。

 

この製品が、「バイオ没⾷⼦酸 GA-100 BIO」です。

 

没食子酸は供給の安定性に課題点がありましたが、この発酵法を確立したことにより安定供給が可能になり、水処理薬剤、化学物製造、酸化防止剤など幅広い用途で活用されています。

 

水処理事業を手掛けるアクアス社は、この「バイオ没⾷⼦酸 GA-100 BIO」をボイラー用水処理剤として採用しています。

 

 

没食子酸とは植物由来の有機化合物!幅広い分野で活用可能

没食子酸は有機化合物の一種で、植物由来のフェノール系有機酸です。

 

優れた抗酸化作用・収れん作用を持ち、酸化防止剤として使用されることが多いほか、ヘアケア製品に含むことで髪の傷み補修やハリを出す効果があったり、化粧品に含むことで毛穴を引き締める効果もあります。

 

さらに、抗炎症効果があることから医薬品に使われたり、タンニン成分を加水分解してできる柱状結晶であることから、インクの原料・培養工学の試薬・還元剤などにも使われているほか、電⼦機器の半導体関連材料にも使用されているなど幅広いです。

 

また、花王では没食子酸を安定して製造する「発酵法」が開発され、酸化防止剤のほか、ボイラー⽤防サビ剤水処理剤、化学物製造などで活用されています。

 

これから新しいバイオ製法も確立され、さらに多くの人々に知られていくことでしょう。

 

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岡畑コリア 張 オカハタコリア チャン

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