2023.03.02
界面活性剤の構造や性質を詳しく解説!種類もある?
こんにちは、岡畑興産の山口です。
界面の性質を変え、様々な分野で応用されている界面活性剤。
様々な分野で界面活性剤のどんな効果が役に立っているのか、どのようにして汚れを落としているのか気になる点はたくさんありますよね。
今回はそんな界面活性剤の構造や性質、種類について解説していきます。
界面活性剤とは?まずは構造を解説
界面活性剤とは、簡単に言うと物質の境である界面に働きかけ、性質を変化させる物質です。
洗浄剤、化粧品、食品といった日常品の分野から塗料や土木、建築などの工業分野まで幅広く応用されています。
まずは界面活性剤の構造について、みていきましょう。
界面活性剤は水になじみやすい親水基、油になじみやすい疎水基(親油基)から構成されます。
基本的な構造は図の通りですが、水に溶けた際の親水基の構造により、さらに細かく種類が分類されます。
より詳細な分類については後ほど解説することとして、ここでは基本的な構造にとどめておきます。
一つの分子の中に水になじみやすい部分、油になじみやすいといった相反する部分を持つことで、様々な性質を示しているのです。
界面活性剤の主な性質についても解説!
界面活性剤の基本的な性質としては洗浄、乳化、分散などが挙げられます。
①洗浄作用
服を洗う、食器を洗う、髪を洗うといった衣食住に密接しており、一番イメージのしやすい界面活性剤の性質は“洗浄”だと思います。
どのようにして界面活性剤が“汚れ”を落としていくかというと、上の図を元に考えるとわかりやすいです。
界面活性剤の疎水基が汚れ(皮脂など)にくっつき、浮かびあがらせ、親水基を外にして汚れを取り囲むことで服などに付着した汚れを落としていきます。
製品例:シャンプー、洗剤
②乳化作用
乳化作用とは、水と油のように通常混ざり合わない液体の中に界面活性剤を加えることで、界面活性剤の疎水基が油の粒子を取り囲み、親水基が外側を向くため水と混ざり合うようになる作用です。
例えば、牛乳も含まれるタンパク質による乳化作用でできています。
本来混ざり合わないもの同士が、乳化作用によって水と脂肪が混ざり合った状態を保っているのです。
製品例:マーガリン、バター、乳液
③分散作用
乳化と同じように通常混ざり合わないものを混ざり合うようにする作用ですが、乳化が液体同士を混ざり合わせるのに対して、分散は固体を液中に混ざり合った状態にすることを指します。
製品例:塗料、インキ
界面活性剤には種類もある
界面活性剤は疎水基による種類分け(炭化水素系、フッ素系など)や、水中に溶解した際の極性によって種類分けされています。
今回は極性による種類分けについてご紹介していきたいと思います。
水中に溶解した際に極性を持つものをイオン性界面活性剤といい、負電荷を持つものをアニオン界面活性剤、正電荷を持つものをカチオン性界面活性剤、どちらの電荷も持ちうるものを両性界面活性剤といいます。
アニオン性界面活性剤とカチオン性界面活性剤を併用すると、不溶性の塩を形成し、界面活性剤としての機能を発揮しなくなるので注意が必要です。
種類ごとの界面活性剤の特徴は以下の通りです。
①アニオン性界面活性剤
- 洗浄力が高い
- 耐硬水性が低い
- カチオン性界面活性剤と併用できない
②カチオン性界面活性剤
- 殺菌性が高い
- 物質表面の多くは負電荷を有するため、様々な表面に吸着しやすい
- アニオン性界面活性剤と併用できない
③両性界面活性剤
- 溶液のpHによってイオン性が変化(カチオン性、アニオン性、中性)
- 皮膚刺激性や眼刺激性が一般に低い
- 耐硬水性が高い
④非イオン性界面活性剤
- 有機合成的に界面活性剤の親水性-疎水性バランス(HLB)を制御しやすい
- 皮膚刺激性の低いものが多い
- 耐硬水性が高く、電解水溶液中でも使用可能
界面活性剤の種類については過去のコラムでも解説しておりますので、こちらも併せてチェックしてみてくださいね!
界面活性剤の種類や性質を知って活用を
界面活性剤は水になじみやすい親水基、油になじみやすい疎水基(親油基)から構成され、洗浄、乳化、分散という性質を持ちます。
また、水に溶けた際の親水基の構造により、さらに細かく分けられます。
例えば、極性による種類にはアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤があります。
界面活性剤は種類によって性質が異なり、併用すると効果が落ちてしまうものも。
界面活性剤のどのような特徴が製品となったときに影響するかを理解して活用しましょう。
岡畑興産は、東アジアを中心とした化学品専門商社です。
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