2021.12.06
中国電力制限と中国品供給のリアル
【Okahata News Letter18号(2021年11月)抜粋記事】
ONLは弊社のお役立ちニュースレター。社長責任編集で、毎月ポジティミズムをお届け中。こちらでログイン/ダウンロード可能です!
中国電力制限と中国品供給のリアル
例の如く、省別市別で対応が異なり、メーカーの対策もさまざまで、我々も安定調達対策に苦慮しておりますが、まずは、各省の現状を
現時点での各省での主な電力制限は
- 四川省:不要な生産は一時停止。しかし、”不要“の明確な定義はなく。。。
- 河南省:加工企業は月21日以上停電
- 広東省:週4日停電
- 江蘇省:年内営業日の半数で停電
- 浙江省:各四半期20~30日停電
- 山東省:毎日9時間停電
CASE1
先週訪問した山東省蒲澤市では、市の方針で、週4日停電。それも工場に直接命じず、管轄発電所に電力シャットダウンを命じる手法(直接工場に生産停止を命じると、国の経済発展方針と矛盾が生じるため)を採っていますが、その地区の優良企業(納税などの面で)は、政府と交渉し、通常通り稼働していたり。(発電所を止めても電気が届くカラクリは全くの謎ですが、これが中国の‘‘上有政策下有対策“ )。安全装置の電源も落ちて爆発事故が起こってしまい、一部電力制限をゆるめている地域も。
CASE2
ピカイチの安定供給だと目されていた中国メーカーA社も、川上原料(中国品)が止まり、供給ストップ。調達難原料が増え、‘‘特定原料のアジア在庫探し“など、ピンポイントな依頼=我々のお役立ちどころが増えております。
CASE3
供給できるケースでも、販売価格は天井知らず。不便を覚悟で、他国品(インド品、欧米品ほか)への切り替えご検討の仕事も急増。
CASE4
中国との付き合いの長いお客様ですと、調達安定性のみならず、品質やコストヘの相互理解も深くふ毎運の混乱も想定して、かなり早めに手当を進めて対応いただいております。中国メーカーとの信頼関係も十分で、在庫も積み増し中。嵐が去った時に、きちっと買取を行うなど、結局は長期的な“信頼関係“が効いてきます。
CASE5
Okahataコリアには(中国産の)尿素水調達の引き合い殺到。これは、弊社には手に負えません。。。
そもそも、なぜ電力制限が起き、いつまで続くのか?
弊社上海の張魏がご説明します。
9月11日の国家発展改革委員会(以下、発改委)による「エネルギー消費強度と総量の双方を改善し制御する制度に関する法案(以下、双控制度)」を皮切りに、各省では、矢継ぎ早に電力制限合戦が始まりました。
中国の電力供給(不足)にまつわる基礎知識
中国の電力供給の約60%は火力発電。
本年3月石炭「闇採掘」を罰する刑法改正し、闇採掘を減らしながらも、本年1-8月期の全国石炭生産量は昨年同期よりも若干増。
9月10日、中国石炭協会が発表した、全国石炭市場報告書によると
- 年生産量5000万トン増加の可能性を示唆。
- 8月の石炭輸入量は昨年同期より約39%増加。
- 一方で、8月の石炭消費量の増加速度は低下。
同じく、9月10日の中国工業協会による9月発電用石炭使用予測では
- 9月、10月の電力消費は減少(気温が下がるとともに電力の使用量も減少)
- 9月に降雨量が増え、水力発電出力が増加すると予測。
9月10日時点では、火力発電への依存度を落としながら、石炭供給は切らさないという姿勢が読み取れたのですが、いち早くコロナから抜け出した中国には、世界需要が殺到。本年1-8月期の全国発電量は、昨年同期の約14%増で、石炭供給量が発電必要量に追いつかず、「石炭供給不足」に直面。
すでに崩れ始めていた実需と電力供給のアンバランスに輪をかけるように、9月11日(上記発表の翌日)、発改委による「双控制度」が発表され、その1週間後には全国的な電力制限へ。
「双控制度」では2021年のエネルギー消費量の厳しい目標を設定。1-8月に電力を制限なく使用してしまっているので年間の目標達成のために、(今更ながら)かなり厳しい電力制限をおこなっているのです。目標がリセットされる2022年1月には制限が緩和されると予測していますが、2022年2月には北京オリンピソク、秋には共産党大会と、政治的干渉が入る可能性は高く、予断は許しません。
最後に少しPR。既存のサプライヤーからの安定的な調達はもとより、他の地域からの代替ソーシング支援も行っております。”困ったのすぐそばに“ 、グローバル&デジタル三河屋の機動力をぜひご活用いただければと思っています。
(この特集記事は、弊社上海の張魏の現地レポと、slackで集めた営業エピソードから構築しました)
続報記事追加しました。こちらも合わせてご笑覧ください。
構成・文/
岡畑興産株式会社
化学品事業統括
坂出 裕
難題の先にこそチャンスあり。攻めの姿勢で臨みます。