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2025.04.07

カプリン酸グリセリルとは?特徴や用途をご紹介

こんにちは、岡畑興産の川野です。

 

防腐効果があり、化粧品や食品、トイレタリーの分野で広く使用されている「カプリン酸グリセリル」。

世の中には、他にも「カプリン酸」と名前がついた原料は多く存在しています。

 

どんな成分でどういった効果があるのか、安全性は高いのかなど気になる点はたくさんあります。

 

今回は、「カプリン酸グリセリル」とは、どんなものか、特徴、期待できる効果、主な用途、安全性について解説していきます。

化粧品

 

 

カプリン酸グリセリルとは?期待できる効果は?

カプリン酸グリセリルは、スキンケア製品やコスメなどの化粧品に配合される成分の一つで、グリセリンと脂肪酸が結びついたモノエステルに分類されます。

基本情報は以下の通りです。

  • 化粧品表示名:カプリン酸グリセリル
  • 医薬部外品表示名:グリセリン脂肪酸エステル
  • INCI名:Glyceryl Caprate
  • 化学式:C13H26O4

 

トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルのように類似した成分と合わせて、脂肪酸グリセリンエステルに分類されています。

 

常温では白色の結晶状の固体で、水に溶けにくく、油性成分と馴染みやすい性質です。

 

工業的には、ヤシ油に含まれる炭素数10の飽和脂肪酸のカプリン酸と多価アルコールのグリセリンと反応させることによって得られます。

 

この物質は複数の役割が期待でき、肌を柔らかくし、水分の蒸発を防ぐことで保湿効果を高める作用(エモリエント効果)を持つほか、乳化の補助を行う働きや防腐効果があります。

 

弊社取り扱いのエモリエント剤については、下記のブログでもご紹介していますので、こちらもチェックしてみてくださいね。

エモリエントとは?代表的な成分や効果を引き出す使い方について紹介

 

続いて、カプリン酸グリセリルと類似する成分についても参考にご説明します。

 

カプリン酸グリセリルとカプリル酸グリセリルの違い

「カプリン酸グリセリル」と「カプリル酸グリセリル」は一文字しか違わないので、一瞬見間違えてしまいそうですが、炭素鎖の長さが異なり、前者は炭素数10、後者は炭素数8で、抗菌活性や親油性に違いがあります。

 

カプリル酸グリセリルは、化学式「C11H22O4」で表されるグリセリン脂肪酸モノエステルの一種で、ヤシ油に含まれる炭素数8の飽和脂肪酸「カプリル酸」と、多価アルコールのグリセリンと反応させることによって得られる成分です

炭素鎖がカプリン酸グリセリルと比べて短いため、親水性が高いのも特徴です。

 

カプリン酸グリセリルとトリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルの違い

「カプリン酸グリセリル」はグリセリンとカプリン酸のモノエステルですが、「トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル」は、多価アルコールのグリセリンに中級脂肪酸のカプリル酸とカプリン酸を結合したトリエステルです。
 
さらに詳しく説明すると、グリセリンの3個のヒドロキシ基とそれぞれにカプリル酸もしくは、カプリン酸のカルボン酸が脱水縮合をし、3個のエステル結合を形成した成分です。

 

低粘度で酸化安定性が高く、べたつきを抑える作用があります。

そのため、主に製品のテクスチャーを改善する用途や香料や有効成分の溶媒として使用されています。

 

 

カプリン酸グリセリルの役割や用途をご紹介

カプリン酸グリセリル

先ほど保湿効果、乳化の補助効果、防腐効果を挙げましたが、特に「防腐効果」が主な役割といえます。

 

カプリン酸グリセリルは細菌および真菌に中程度の抗菌活性を持つことから、製品の保存性を向上させることができ、防腐剤(ポジティブリストに収載されている成分)の配合量を低減する目的で、主に油性製品や乳化系製品に使われることが多いです。

 

化粧品向けでは防腐剤、エモリエント剤、乳化剤として使用されることがほとんどですが、そのほかトイレタリー製品や殺虫殺菌剤にも使用されています。

 

ヤシ油やパームを由来とする成分であるため、オーガニックコンセプトの化粧品分野にも使用されています。

 

しかし、親油性のため、成分自体が水と馴染みにくい特徴が有り、化粧品の種類によっては利用しにくいことがあります。

 

また、カプリン酸グリセリルはまた、日持ち向上を目的とした食品添加物としてもお馴染みの成分で、肌への刺激性や毒性も確認されていないため、安全に利用できる成分です。

日本国内では、食品添加物「グリセリン脂肪酸エステル」に該当する物質として、乳化剤・殺菌剤用途で使用されています。

 

 

カプリン酸グリセリルの安全性・刺激性は?

カプリン酸グリセリルは、先ほどもお伝えしたように抗菌活性を持つため、殺虫殺菌剤にも使用されています。

そのため、刺激性や毒性が気になる方もいるでしょう。

 

食品安全委員会農薬専門調査会が、2017年10月に「カプリン酸グリセリル」についての物質の評価の内容を発表しております。

 

生殖発生毒性試験、動物体内運命試験、急性毒性試験、眼・皮膚に対する刺激性及び皮膚感作性試験、亜急性毒性試験などが行われており、「各種毒性試験の結果から、カプリン酸グリセリルの食品を経由した暴露による問題となる毒性所見は認められなかった」と伝えています。

 

また、カプリン酸グリセリルが農薬として使用された場合、通常の食生活で食品から摂取 しているカプリン酸グリセリルの量を増加させる可能性も低いとの見解も。

このことから、カプリン酸グリセリルは、農薬として想定しうる通常使用であれば、人の健康を損なうおそれはないといえるでしょう。

 

さらに、カプリン酸グリセリルはヤシ油やパームを由来とする成分であるため、ベビーオイルなど赤ちゃんが使用する製品にも使われています。

肌に刺激を与えにくい成分なので、安心してご使用ください。

 

 

カプリン酸グリセリルの機能を知って、正しく活用を

化粧品やトイレタリー製品・殺虫殺菌剤以外に、食品添加物としても広く使われている「カプリン酸グリセリル」。

 

常温では白色の結晶状の固体で、水に溶けにくく、油性成分と馴染みやすい性質を持っています。

 

細菌および真菌に中程度の抗菌活性をもつことから、防腐剤の配合量を低減する目的で、主に油性製品や乳化系製品に使用されています。

 

使用前に加温して、溶解させる必要はありますが、防腐効果や日持ち向上効果を期待して製品に配合することが可能です。

 

岡畑興産は、日中韓印を中心に化粧品原料を豊富に取り扱う化学品専門商社です。

化粧品原料のことなら、岡畑興産にお気軽にご相談くださいね!

 

岡畑興産 川野

岡畑興産株式会社
機能化学品事業部

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