2025.08.07
ラノリンとは?基本情報や用途をご紹介!ラノリン由来成分の種類も確認
こんにちは、香粧品の営業を担当しています、岡畑興産の吉江です。
「ラノリン」は古くから人類が利用してきた羊毛由来の天然の油脂です。
人間の皮膚脂質とも似た成分のため、スキンケア製品やベビー用品に使われています。
ラノリンはさまざまな成分から構成されており、その中でも「ラノリンコレステロール」は、皮膚との親和性やバリア機能を支える成分として、基礎化粧品などで重宝されています。
今回はラノリンの特徴や用途、安全性、そしてラノリンコレステロールのような構成成分の役割についても詳しく解説していきます。
目次
ラノリンとは?
ラノリンは、羊毛から得られる天然の脂質(ウールグリース)から得られる成分で、羊の皮膚を保護する役割を果たします。
羊の毛を刈り取った際に得られる羊毛を洗浄・精製すると、羊毛脂(ウールグリース)が回収できます。
これを脱臭・脱色・残留物除去などを経て精製することで、化粧品や医薬品に使用できるラノリンが得られます。
ラノリンは、高級脂肪酸と高級アルコールが結合した複合エステルで構成されており、高い保湿性と柔軟性から化粧品や医薬品に広く利用されています。
化粧品では主に、乾燥肌の保湿やバリア機能をサポートするために使用されます。
また、冒頭でも触れたように、ラノリンの特徴的な性質として、人間の皮膚脂質とも似た成分のを持っています。
そのため、皮膚親和性が高く肌への馴染みが良く、スキンケア製品にも多く使用されています。
ラノリンの成分構成は?由来成分「ラノリンコレステロール」も解説
ラノリンは複雑な脂質の混合物で、コレステロール、イソコレステロール、高級脂肪酸、高級アルコール、脂質エステルなどから構成されています。
これらは主に、脂肪酸とステロール類・アルコール類が結合したエステル化合物として存在し、構造は動物由来でありながらも人間の皮脂に近い性質を持っています。
ラノリン由来成分の1つである「ラノリンコレステロール」は、肌をやわらかく保つエモリエント性や、保湿性に優れています。
※エモリエント性について、詳しくは「エモリエントとは?代表的な成分や効果を引き出す使い方について紹介」をご参考ください。
なぜこの成分に注目してご紹介するかというと、皮膚バリアに欠かせない“コレステロール”を、人の皮膚に近い構造のまま含む天然成分として活用できるからです。
角質層となじみやすく、肌のバリア機能を補う役割が期待されます。
スキンケアにおいては、潤いを与えるだけでなく、「肌本来の構造を支える」という視点が重視されるようになってきています。
そうした中で、ラノリンコレステロールは単なる保湿成分ではなく、皮膚のバリア機能を補い、水分の蒸発を防ぐことで、肌のうるおいを守る役割を担う成分です。
また、ラノリンコレステロールには油分と水分を安定して混ぜ合わせる作用があります。
そのため乳化剤としても活用され、クリームやメイクアップ、ヘアケア製品などの安定性を高める役割を果たします。
医薬品では軟膏の基剤としても活用されます。
ラノリンの用途は?主な製品もご紹介
ラノリンは主にスキンケアや医薬品、ベビー用品に使用されます。
その高い親水性と保湿性によって、肌の乾燥を防ぎ、柔らかさと潤いを与えまするエモリエント成分として重宝されています。
代表的な製品には保湿クリーム、リップバーム、軟膏などがあり、乾燥肌やひび割れた唇の保護、潤いの補充に役立ちます。
スキンケア製品に加えて、日焼け止め、アイメイク、ファンデーション、ヘアクリーム、W/O型の乳化クリームなどにも幅広く応用されており、皮膚の保護効果や使用感の向上に貢献しています。
また、ラノリンコレステロールは乳化剤として使用されることが多く、化粧品や医薬品の中で製品の安定性や質感を高める乳化安定剤として活躍しています。
特に軟膏などの医薬品では油性基剤として、水分保持と有効成分の浸透性を高める働きがあり、ヘアケア製品では滑らかな感触や乳化安定性の向上にも寄与しています。
ラノリンの安全性は?注意点もご紹介
ラノリン自体は比較的安全性が高い成分ですが、羊毛から抽出される天然由来成分であるため、アレルギー反応が起きる可能性があります。
特に羊毛アレルギーを持つ人や敏感肌の方は注意が必要です。
敏感肌の方はパッチテストを行うことが推奨されます。
アレルギー反応としては、かゆみ・赤み・発疹などの症状が見られる場合があるため、目の周囲の皮膚は特に敏感なため、目の周りへの使用には注意が必要です。
ラノリンは高品質な製品であれば安全に使用できますが、製品によっては不純物が含まれている場合があります。
また、ラノリンは日本薬局方(JP)にも収載されている医薬品原料であり、化粧品や医薬品に使用されるラノリンは、残留農薬・重金属・不純物の含有量などに関して公的な品質基準に適合していることが求められます。
そのため、安全性の高いラノリンを選ぶ際は、こうした基準に準拠した高精製品かどうかを確認することが重要です。
ラノリンとラノリンコレステロールの特性を確認し、上手に活用を!
ラノリンは羊毛由来の天然油脂で、スキンケアや医薬品など幅広く利用されています。
複雑な脂質の混合物であるラノリンは、その優れた保湿性と皮膚親和性から皮膚の乾燥を防ぎ、肌に柔軟性を与えることができます。
ラノリンの成分中に含まれるラノリンコレステロールは、特に皮膚バリアをサポートし、乳化剤としても活用されるなど、医薬品・化粧品分野などで重要な役割を担っています。
安全性については、使用方法などを守れば効果的な成分ですが、アレルギーの可能性がある点には注意が必要です。
ラノリンは正しく選べば肌を守る心強い味方になります。
肌との相性を見極めながら、目的に合った使い方でラノリンの特性を賢く取り入れていきましょう。
岡畑興産のWEBコンテンツ「岡畑興産ブログ」や「どこ展2.0」では、化粧品原料や機能材原料について詳しく紹介しております。
こちらもぜひご覧くださいね!