2024.12.09
鉄バクテリアとは?人体や環境への影響や見分け方もご紹介
こんにちは、岡畑興産の中野です。
皆さん、「鉄バクテリア」とは何かわかりますか?
実は、身近に生息している細菌で、水路で見られる赤褐色の沈殿物やギラギラした膜などは鉄バクテリアが原因であることが多いです。
今回は、そんな鉄バクテリアが人体や環境へ与える影響はあるのかをご紹介いたします。
区別がつかない鉄バクテリアと油膜の見分け方や、鉄バクテリアの活用方法もお伝えしますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
鉄バクテリアとは?その特徴や種類も確認
鉄バクテリアとは、2価の鉄イオン(Fe2+)を酸化することで、エネルギーを得て活動をしている細菌のことです。
鉄バクテリアは、主に土壌中に生息しており、他に地下水や河川水、井戸水等にも生息しています。
なかでも地下水が湧出している場所は、鉄イオン(Fe2+)を多く含んでいるため、繁殖しやすいです。
鉄バクテリアは主に以下の2種類があります。
- レプトスリックス属:最も分布の広く、長い糸状体を形成しています
- ガリオネラ属:らせん状の形態を持っています
鉄バクテリアの見分け方は?油膜との違いもご紹介
冒頭でも記載した通り、水路などで見られる赤褐色の沈殿物やギラギラした膜は、鉄バクテリアが生成した沈殿物や皮膜であることがほとんどです。
しかし、すべてが鉄バクテリア由来のものではなく、油が水路に流出した油膜と目視では区別できないほど似ていているため、油流出事故と間違われやすいです。
今回は、簡単に判別できる方法を2つご紹介します。
まず1つ目は、においを嗅ぐことです。
油が流出していた場合、油臭がします。
逆に、油臭がなければ、鉄バクテリアが原因であると判別できます。
2つ目は、触ってみることです。
油膜だった場合、油は変化がなく、割れずに膜状のままです。
一方で、鉄バクテリアの皮膜は、割れて元には戻りません。
以上の2つの簡単に判別できる方法で確認してみてください!
万が一、油類の流出であった場合、被害が拡大する前に関係各所に通報をお願いします!
鉄バクテリアの人体や環境への影響は?問題点もご紹介
続いて、鉄バクテリアは、人体や環境に対して影響があるのか、問題点についてご紹介していきます。
まず、人体に対しては、自然環境中に存在する程度では無害です。
次に、環境への影響として、以下の例をご紹介します。
<田んぼの水や水路が赤褐色に染まってしまう赤水現象>
これは、鉄バクテリアの存在下で、水の中に含まれている二価の鉄イオン(Fe2+)が三価の鉄イオン(Fe3+)へ酸化され、水中の塩基と反応して、水酸化鉄(Fe(OH3) )となることで起こります。
これにより、田んぼの水や水路が赤褐色に染まってしまうのです。
この現象を、赤水現象と呼びます。
<鉄筋の腐食を引き起こす鉄バクテリア汚泥>
鉄筋の傷から出る二価の鉄イオン(Fe2+)が赤水現象と同様の反応を起こし、鉄バクテリア汚泥が堆積していくことで、鉄筋の腐食を引き起こしてしまうことがあります。
この鉄バクテリア汚泥は、堆積しないように定期的に除去する必要があります。
鉄バクテリアにも活用方法がある?
実は、鉄バクテリアの特徴を活かした活用方法もあります!
先述したとおり、鉄バクテリアは水中に存在している鉄イオンを酸化し、水酸化鉄となり、沈殿物を生成します。
この特徴を利用し、地下水などの鉄分を取り除き、水をきれいにすることができるのです。
また、近年では重金属や放射性セシウムで汚染された土壌を、鉄バクテリアに吸着させ、除染を行う技術も開発されています。
鉄バクテリアとは主に土壌中にある細菌!今後の活用にも期待
二価の鉄イオンを酸化することでエネルギーを得ている鉄バクテリア。
身近でも見かけることがある鉄バクテリアですが、油流出事故があった場合の油膜と似ているため、注意が必要です。
また、油膜であった場合、被害の拡大を防ぐためにも早期に関係各所への連絡が求められます。
自然環境中に存在する程度では無害ですが、鉄筋を腐食させる問題もあり、定期的に除去が必要になります。
ただし、鉄バクテリアは逆に活かすことも可能です。
地下水にある鉄分や土壌の汚染を吸着させて、除鉄することもできるので、現在も活用が進められていますが、今後の活用にも注目が集まります。
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