2024.09.19
ビスフェノールAとは?安全に関する問題点や健康への影響も確認
こんにちは、岡畑興産の吉江です。
皆さんは「ビスフェノールA」という言葉を聞いたことがありますでしょうか。
ビスフェノールAは、実は私たちの身近なプラスチックの原料としても使われています。
今回はそんなビスフェノールAの特徴や安全性について詳しくご紹介いたします。
取り扱いの注意点もお伝えしますので、ぜひ参考にしてみてくださいね!
目次
「ビスフェノールA」とは?主な用途や懸念点も解説!
ビスフェノールA(CAS番号:80-05-7)は、アセトンとフェノールを脱水縮合させて得られる白色の粉末(またはフレーク、粒状品)の化合物です。
熱可塑性プラスチックのポリカーボネートや熱硬化性樹脂のエポキシ樹脂の原料として、広く使用されています。
少し古いデータですが、2004年の日本国内需要としては以下の結果が出ており、ポリカーボネート樹脂とエポキシ樹脂向けが大半となっています。
- ポリカーボネート樹脂向け:76%
- エポキシ樹脂向け:20%
- その他:4%
ビスフェノールAを原料とした製品にはどんなものがある?
ビスフェノールAを原料としたポリカーボネート樹脂やエポキシ樹脂などの用途についても、参考にご紹介しましょう。
ポリカーボネート樹脂は、透明性・耐衝撃性・耐熱性・難燃性・寸法安定性などに優れており、幅広い用途で使われています。
具体的には、OA機器、各種家電機器、自動車部品、DVDの基板、カーポートやアーケードの屋根材、一部の食品用の容器・食器などです。
エポキシ樹脂は、寸法安定性や耐水性・耐薬品性および電気絶縁性が高いことから、塗料や積層板、半導体封止材などに広く使用されています。
その他の用途としては、難燃剤、樹脂添加剤、トナーバインダー樹脂などが挙げられます。
ビスフェノールAを原料にする場合の懸念点
ビスフェノールAは、洗剤で洗浄した場合や酸・高温の液体に接触させた場合に溶け出すことが知られています。
そのため、健康への悪影響を防止するために、各種の毒性試験において人に毒性が現れないと考えられた量を基に、ポリカーボネート製の容器等について溶出試験規格を設定しています。
この詳しい規格や安全性については、次でさらに詳しくご説明します。
ビスフェノールAの安全に関する問題点は?健康への影響も確認
ビスフェノールAは洗剤で洗浄した場合や酸・熱によって溶け出す可能性があることをお伝えしましたが、一番心配されているのが食べ物や飲料を入れる容器です。
ビスフェノールAが原料となるポリカーボネート製の容器は、食品を入れるために使われることも多く、学校給食用の食器としても使われています。
そのため、熱などにより「水分や油分と一緒に溶け出して食べ物に付着するのでは」と懸念されており、食品衛生法で規制が設けられています。
人間が取り入れて問題のないビスフェノールAの量は0.05mg/kg(体重)/日となっており、現在定められているビスフェノールAの規格値は、ポリカーボネート製器具及び容器・包装での材質試験基準が500ppm以下、溶出試験基準が2.5ppm以下です。
エポキシ樹脂に使われるビスフェノールAは規定がまだありませんが、製缶業界や企業において独自のガイドラインを設けて取り組みが行われています。
このような規格を守って製品が作られているので、使用することには問題ないといえるでしょう。
ただし、製品を製造する際には注意が必要なので、次でご説明いたします。
ビスフェノールAの取り扱いの注意点
ビスフェノールAを製造する際には、いくつか注意点があります。
ビスフェノールAの粉塵は、繰り返し触れたり、長時間に渡って触れたりした場合、皮膚が刺激される恐れがある他、眼に対しても刺激作用を起こす可能性があります。
さらに、粉塵や蒸気を吸ってしまうことにより、のどや気管支に刺激を感じることもあるため注意が必要です。
そのため、保護手袋・保護衣・保護眼鏡・保護面などの着用が必須です。
廃棄の際には、廃棄物処理業者に依頼するか、焼却を行う必要があります。
ビスフェノールAとはどんな物質か確認し、安全性や注意点についても知ろう
身近なプラスチック製品の原料でもあるビスフェノールA。
OA機器、各種家電機器、自動車部品、DVDの基板、一部の食品用の容器・食器、塗料など、その他にもさまざまな用途に幅広く使われています。
ただし、洗剤で洗浄した場合や酸・熱によって溶け出す可能性があることから、食品の容器等には法律で規格が定められています。
このような規格を守って製品が製造されているため、使用することには問題ありませんが、製造の際には粉塵に触れたり吸い込んだりしないよう注意が必要です。
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