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2025.04.23

生分解性プラスチック「PHA」とは?用途や注目されている理由も確認

こんにちは、岡畑興産の富阪です。

 

皆さん、生分解性プラスチック、特にその1種であるPHAについて詳しくご存じでしょうか。

 

環境に優しいPHAは、近年注目を集めており、身近なものにどんどん使用されてきています。

 

今回は、生分解性プラスチックのPHAについて、詳しくお話ししていきます。

土から目が生える

 

 

PHAとは?生分解性プラスチックについても解説

PHAとは、ポリヒドロキシアルカノエート(Poly Hydroxy Alkanoates) の略称であり、ヒドロキシ酪酸(Hydroxy Buthylate, HB)を主モノマーとして構成されたポリマーのことです。

 

また、PHAは、HB(ヒドロキシ酪酸)を主モノマーとして作られる樹脂の総称であり、代表的なものは以下になります。

  • PHB = [Poly (3-Hydorxy Butylate)]
  • PHBH = [Poly(3-Hydroxy Butylate)-(3-HydroxyHexanoate)]
  • PHBV = [Poly (3-Hydroxy Butylate)-(3-Hydroxy Valerate)

 

いずれも植物などの再生可能な有機資源を原料として作られる、”バイオマスプラスチック”です。

PHAの最も特筆すべき特徴は、製造方法にあります。
 
PHAは、微生物が原料となる糖から、自身の栄養素を生成、体内に蓄えるというプロセスで生成されます。その原料となるのは天然物質です。
そのため、環境負荷の低い製造が可能になります。

 

生分解性プラスチックとは?生分解性のメカニズム

生分解性プラスチックとは、自然界の光や、熱のエネルギー、あるいは微生物の働きによって分解され、最終的に水と二酸化炭素に変化するプラスチックの総称です。

 

環境中に存在する微生物はPHAを栄養源として認識し、消費します。
この過程が「生分解」です。
PHAは陸上・海洋を問わず分解が可能という特徴も持っています。
 
このような特徴により、PHAは循環型社会の実現に貢献する生分解性プラスチックの代表例として期待されています。
 
生分解性プラスチックについては、弊社・靴事業部のブログ「くつナビ」の記事も参考にしてみてくださいね。

生分解性プラスチックとは?種類や用途、活用のメリットを解説|くつなび

 

 

生分解性プラスチック「PHA」の主な用途も知ろう!

お弁当

現在、各社が生分解性樹脂の展開を進めており、PHAは以下の分野での活用が進んでいます。
 
 
【パッケージング分野】

  • 食品容器包装
  • ポリ袋
  • ペットボトルのラベル

 

【食品サービス分野】

  • カトラリー(フォーク、ナイフなど)
  • ストロー

 

【衣料分野】

  • 衣料繊維

最近では有名コーヒーチェーン店のストローにも採用されたというニュースがありました。

 

物性の観点から、現行の石油樹脂から全てが生分解性樹脂に取って代わることは難しいかもしれませんが、少しずつ代替が進んでいます。
 
 

生分解性プラスチック「PHA」が今注目されている理由は?

現在流通しているプラスチック製品の多くは石油由来です。

石油由来の製品には、以下の課題があります。

 

①環境汚染問題

・プラスチックは分解されにくく、例えば使用後に廃棄されたプラスチック製品が海洋に流れ出すと分解されずにずっと海洋に残り続け、海洋汚染の問題となる

 

②温室効果ガス問題

・使用後のプラスチック製品はほとんどが焼却処分されており、焼却の際に二酸化炭素(温室効果ガス)が排出される

 

③資源問題

・石油資源が枯渇する懸念

・日本は石油を輸入に頼っているため、国際紛争などで石油が輸入できなくなった場合、石油由来製品を製造できなくなる

 

 

PHAのような生分解性のあるバイオマスプラスチックは、これらの課題を解決する可能性があるとして、現在注目されています。

 

環境に優しい製品について、以下のブログも参考にしてみてください。

 

サステナブルな化粧品の容器とは?日本・世界での取り組みを紹介!

マイクロプラスチックの化粧品の問題点は?現在の規制や取り組みを紹介

 

 

岡畑興産おすすめの「PHA」もご紹介!

弊社でも韓国/CJ Cheil Jedang社のPHAを取り扱っていますので、少しご紹介いたします。

 

CJ Cheil Jedang社は、[Poly (3-HydroxyButylate)-(4-HydroxyButylate)] (=P3HB4HB)タイプのPHAを取り扱っており、世界各国で検討を進めています。

 

特徴的なのは、4-HydroxyButylate(以下、4HB)の含有比率を高めたPHAを取り扱っていることです。

 

この高4HB含有タイプは、非晶質のため単独での成型は難しいのですが、同じく生分解性樹脂であるPLA(Poly Lactic Acid)に混ぜることで、PLAの欠点である硬さ(脆さ)を改善する可塑剤的な役割を果たします。

 

高4HB含有タイプの添加量を調整することで、PLAの透明性を維持することが可能です。

現在、CJ社ではPLA以外の樹脂との相性も検討を進めています。

 

もちろん高4HB含有タイプのPHAも生分解性は有しており、更には海洋でも良分解を示すことが確認されています。

 

欧州の主要な生分解性プラスチック評価機関の認定も受けておりますので、ご安心を!

 

このPLAとPHAを混ぜたPLA/PHA配合タイプについては、弊社が日本国内で各種工業品向けの展開を進めていますが、中でも各種容器への検討を進めており、日本では近いうちに食品容器にも使用できるよう、国の認定を取得する作業も進めています。

 

米国ではFCN(Food Contact Notification)申請を実施し、登録されています。

 

ただ、PLA/PHA配合タイプは物性面では他の石油樹脂に劣る部分があり、現状では価格面でも課題が残っています。
 

これらの課題をCJ社と協力しながら、一つずつ解決し、循環型社会の構築に寄与していきたいと考えています。

 

 

生分解性プラスチックである「PHA」の今後に注目を!

PHA(ポリヒドロキシアルカノエート)は微生物の発酵により製造されるバイオマスプラスチックであり、優れた生分解性をもっています。

 

バイオマスプラスチックは、石油由来プラスチックの課題である資源問題、温室効果ガス、環境汚染問題を解決する可能性があり、現在注目されています。

 

現在、各社が生分解性樹脂の展開を進めており、各種容器、ポリ袋、フォークやナイフなどのカトラリーなど、さまざまな用途で検討が進んでいます。

 

今後のPHAの展開にご期待ください!

 

岡畑興産は韓国/CJ Cheil Jedang社のPHAを取り扱っておりますので、お気軽にお問い合わせくださいね。

 

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