2025.04.30
香りマーケティングとは?注目されている理由や導入の流れ・事例も解説
こんにちは。岡畑コリアの朴です。
道を歩いていて、ふと馴染みのある香りを嗅ぎ、忘れていた記憶が鮮明によみがえったことはありませんか?
ある香りは幼少期の思い出を呼び起こし、またある香りは旅先での特別な瞬間を再び感じさせてくれます。
香りが人に与える影響は大きく、これをビジネスに用いる「香りマーケティング」が、近年注目を集めています。
今回は、香りマーケティングについてのお話です。
具体的にどんな効果があり、どの部分が注目されているのか、導入方法や事例についてもお伝えしますので、ぜひ一つのビジネス手法として検討してみてください!
目次
香りマーケティングとは?その効果も解説!
香りマーケティングとは、香りによって消費者の感情と行動に好影響を与える新しいマーケティング手法です。
消費者の肯定的な感情を引き出し、ブランド認知度を高めるために特定の香りを使用する戦略で進めます。
消費者の嗅覚にアピールすることで、製品やサービスに対する記憶を強化し、購買意欲を高めることが可能です。
香りマーケティングがブランドに与える2つの効果をご紹介します。
1)個性表現によるブランドの差別化
香りは、ブランドの個性を表現する強力なツールです。
特定の香りを使用することで、ブランドは消費者に独特のイメージを刻むことができます。
例えば、高級な香水を使用するブランドは優雅さと品格を、さわやかなフルーツの香りを使用するブランドは若々しく活気のあるイメージを伝えることができます。
このように、各ブランドが独自の香りで差別化することで、消費者の記憶に残り、ブランドロイヤルティを高めることにつながります。
2)マインドセラピー効果
香りは感情と記憶を強く結びつける特性があり、気分にも大きな影響を与える要素です。
特定の香りはストレスを軽減し、安らぎを与え、肯定的な感情を引き出すことができます。
例えば、ラベンダーの香りは安定感を与え、シトラスの香りは活力を与える効果がありますよね。
心理的な安定感を提供できる香りを用いることで、肯定的なイメージにつながり、これがブランドへの好感度を高めることに役立ちます。
香りマーケティングが注目されている理由も確認!
冒頭でも触れたように、特定の香りや匂いが過去の記憶を呼び起こす現象を「プルースト効果」と呼びます。
この効果は、フランスの作家マルセル・プルーストの小説「失われた時を求めて」のマドレーヌのエピソードが由来です。
主人公の「マルセル」は、紅茶に浸したマドレーヌを一口かじった瞬間、幼少期の記憶が鮮明によみがえります。
これは、私たちの記憶と感情に深い影響を与えることを示しています。
この香りの重要性に着目する企業やブランドが、近年増えています。
具体的には、次のような理由です。
競合との差別化
独特の香りを通じて、消費者に記憶に残る体験を提供することができるため、多くのブランドや企業が似たような製品を提供している状況で、差別化することが叶います。
消費者行動の誘導
研究によると、特定の香りは消費者の購買意欲にプラスの影響を与える可能性があります。
店舗で香りが良いと、消費者はより長く滞在し、より多くの製品を購入する傾向がある点も、注目されています。
快適な環境の創出
香りは店舗や空間の雰囲気を改善するのに役立ちます。
消費者が快適で心地良い環境で買い物ができるようサポートでき、ブランドに対する肯定的な認識を形成できることから、活用の幅が広がっています。
トレンドのウェルビーイングとの合致
現代の消費者はウェルビーイングに対する関心が高まっています。
ウェルビーイングとは身体的・精神的・社会的に良好な状態にあることを指す言葉です。
香りは癒しやリフレッシュ効果など消費者に肯定的な影響を与えることができるため、このようなトレンドとよく合致します。
特にMZ世代(ミレニアル世代とZ世代)は、消費トレンドとブランドに対する認識に大きな変化をもたらしており、個性とアイデンティティを重視し、経験中心の消費を好む傾向があることから、香水および香り関連市場の拡大が期待されています。
次でさらに詳しくお話しします。
香りマーケティングが注目されている理由も確認!
香水はMZ世代の個性を表現する重要な要素として位置づけられており、独特の香りを通じて自分のスタイルを強調したいと考える若者が多くいます。
これにより、さまざまな香水ブランドが注目を集めており、香りを通じてストレスを軽減し、肯定的な感情を引き出す製品も人気です。
そんな中、韓国の香水ブランドが日本をはじめとする海外市場でも注目を集めていて、韓国文化がトレンドとなっているMZ世代にも影響を与えています。
K-ビューティーの人気が高まる中、韓国の香水ブランドもその独創的な香りとデザインで海外の消費者に魅力をアピールしており、日本市場での成功は、韓国香水ブランドのグローバル展開の良い事例となっています。
MZ世代はソーシャルメディアを通じて情報を得て、製品を購入する傾向が強いです。
そのため、香水ブランドはSNSを活用して、インフルエンサーマーケティングとソーシャルメディアキャンペーンを通じ、この世代とのコミュニケーションを強化しています。
こういった要素もあり、香りマーケティングに関連する市場は今後も拡大し続けると期待されています!
MZ世代の消費パターンと嗜好を反映したさまざまな製品とマーケティング戦略は、さらに発展していくことでしょう。
香りマーケティングを活用した事例もご紹介
実際に香りマーケティングを通じて、ブランド価値を高めている事例についても見てみましょう。
ジョー マローン(Jo Malone)
ジョー マローンは高級香水ブランドで、独特の香りの組み合わせと洗練されたパッケージで有名です。
このブランドは店舗で顧客が香水を直接体験できるよう様々な香りを提供し、顧客が自分の個性を表現できるようサポートしています。
ジョー マローンの店舗では、香りと共に提供される高級感のある雰囲気が顧客に特別な体験を提供し、ブランドの価値を高めています。
顧客はジョー マローンの香水を単なる製品ではなく、自分を表現するアイテムとして認識するようになっています。
ロクシタン(L’Occitane)
ロクシタンは南フランス・プロヴァンス地方のライフスタイルに着想を得た、自然派のコスメティックブランドです。
店舗でさまざまな香りを活用し、顧客が製品を体験できる環境を整えており、各製品の香りは自然とのつながりを強調し、顧客に感情的な体験を提供します。
香りを通じてブランドの哲学と価値を伝え、消費者との感情的なつながりを強化することに成功しています。
ラッシュ (Lush)
ラッシュは、新鮮な野菜や果物、エッセンシャルオイルなどを原材料に使った、イギリス発祥のナチュラルコスメブランドです
ラッシュの近くを通りかかると、強烈な香りを嗅ぎ、「あ!ラッシュだ」と思うでしょう。
ラッシュの店舗の入口には、バスボムや石鹸などさまざまな香りのする製品が包装材なしで陳列されています。
強烈な香りに引き寄せられて入店し、いつの間にか支払いをしている自分に気づきませんか?
この強い香りは、思わず入店してしまう効果があります。
カフェ:ブルーボトルコーヒー(Blue Bottle Coffee)
ブルーボトルコーヒーはアメリカ発祥の高品質なコーヒーを提供するカフェで、日本に約20数店舗展開しており、サードウェーブコーヒーの代表として、厳選された豆とハンドドリップにこだわっています。
店舗では新鮮なコーヒーの香りを強調し、顧客の感覚を刺激しています。
コーヒーの香りは顧客に快適さと親しみやすさを与え、これが顧客の滞在時間を延ばし、追加購入を促す効果をもたらします。
ブルーボトルコーヒーも、香りを通じてブランド体験を強化し、顧客のロイヤルティを高めることに貢献しています。
韓国での香りマーケティングの活用事例
MZ世代の話で韓国が注目されていることはお話ししましたが、韓国の企業「LG生活健康」が行っている活用事例も参考にご紹介します。
パフューム洗剤
この製品は洗濯時に香りが長続きするよう設計されており、消費者に洗濯後も心地よい香りを提供します。
この香りは消費者に清潔さとともに気分の良い体験を提供し、ブランドへのロイヤルティを高めることに貢献しています。
「ビヨンド(Beyond)」のボディケア製品
ビヨンドは自然に優しい成分を使用したボディケア製品を提供し、各製品に独特の香りを付与して消費者に感情的な体験を提供しています。
「ドクターグルート(Dr.Groot)」のシャンプー
ドクターグルートは頭皮の健康のためのシャンプー製品で、自然由来成分とともに香りを強調しています。
この製品は使用時に爽やかな香りを提供し、消費者に気分の良い体験をもたらします。
このように、LG生活健康は多種多様な生活用品で香りマーケティングを活用し、消費者に肯定的な体験を提供し、ブランド価値を高めることに成功しています。
岡畑興産の岡畑コリアではLG生活健康に関し、香料ビジネスを拡大しています。
ご興味のある方は、お気軽にお問い合わせくださいね!
香りマーケティングを導入する際の考慮点も確認
香りマーケティングを導入する際は、次のような点を考慮する必要があります。
ブランドイメージとの一致
選択した香りがブランドのイメージとよく合っているか確認する必要があります。
消費者反応調査:消費者がどのような香りに肯定的な反応を示すか調査し、適切な香りを選択することが重要です。
環境の整備
香りを効果的に伝えられる店舗環境を整える必要があります。
香りがよく広がる空間配置とインテリアを考慮する必要があります。
一貫性の維持
ブランドのすべての接点で一貫した香りを維持し、消費者に統一された体験を提供する必要があります。
考慮事項も参考に、香りマーケティングを導入すれば、ブランド価値を高め、消費者との関係を強化するのに大きな助けとなるでしょう。
香りマーケティングの効果を知り、導入をぜひ検討!
香りマーケティングは、特定の香りを用いて消費者の感情や記憶に働きかけ、ブランド認知度や購買意欲を高める戦略です。
香りはブランドの個性を表現し、感情を安定させる効果もあります。
近年、MZ世代を中心に香水や香り関連市場が拡大し、韓国の香水ブランドやLG生活健康の香りを活用した製品が注目されています。
企業は香りを通じて消費者との関係を強化し、快適な環境を提供することでブランド価値を向上させています。
香りは消費者の感情と行動に大きな影響を与えるため、このような戦略は今後も引き続き重要な役割を果たすでしょう。
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