2024.08.28
EUDRとは?求められることや対象品目、罰則などについて確認を!
こんにちは。岡畑興産の菅です。
近年、地球環境保護の取り組みがますます重要視される中、EUが新たに導入した「欧州森林破壊防止規則(EUDR)」が注目を集めています。
今回は、EUDRについて解説していきます。
EUDRとは?発効の背景や対象も確認
EUDRとは、EU(欧州連合)で2023年6月29日に発効された「欧州森林破壊防止規則」のことです。
EUDRの目的は森林の劣化や破壊を止めることです。
森林破壊・劣化の抑止には、商品の生産のために起こる森林破壊も含まれており、該当商品の消費・生産によって生じる温室効果ガス量を削減すること(最低年間3,200万t)や、該当製品が森林破壊・劣化の一助にならないようにすることも目的としています。
2013年にも森林破壊を抑止するために「EU木材規則」が施行されましたが、木材の違法伐採が対象であり、森林の劣化や減少に貢献する規則ではありませんでした。
その点が問題視されていたことから、COP26(気候変動枠組条約締約国会議 第26回目)で「2030年までに森林減少を食い止める」というグラスゴー宣言が発表され、EUDRが発効されるに至ったのです。
EUDRでは、森林リスクのある原料をEU域内に輸入、またはEUから輸出する際、それらの原料が森林を破壊して生産されたものではないことを証明する法的義務が事業者に課せられます。
EU域内の大企業は2024年12月30日以降、中小企業は2025年6月30日以降、EUDRの規則に違反すると罰金を課せられることになります。
さらに2028年6月30日までに税関システムとの連携が取れるよう進めているようです。
欧州議会は11月14日、EUDRの適用開始を1年間延期する改正案を賛成多数で可決しました。
参考URL:欧州議会、森林破壊防止デューディリジェンス規則改正案を可決、適用1年延期へ|JETRO
EUDRの対象となる品目・商材は?
牛、カカオ、コーヒー、天然ゴム、大豆、木材、パーム油、またその派生品など、森林の減少に影響を与える品目がEUDRの規制対象となります。
派生品とは、例えば牛なら牛肉や牛革、天然ゴムならタイヤや衣類などが挙げられますが、かなりの商材が対象になるといえます。
この影響は今後日本にも大きな影響を与えるでしょう。
岡畑興産の取扱原料では、界面活性剤やグリセリンの原料となるパーム油が、EUDRの影響を受ける可能性があります。
パーム油については、以下ブログでも詳しく解説していますので、参考に一読してみてくださいね。
パーム油の問題とは?環境・社会への影響や取り組める対策をご紹介
EUDRで求められる要求事項もチェック
EUDR(EU Deforestation Regulation)の規則では、「2020年12月31日以降に森林伐採されたプランテーションで生産されていないこと」、「生産国の法律に従って生産されていること」を証明する必要があります。
EUDRでは、森林の定義を「農地または土地を除き、高さ5m以上の樹木および樹冠被覆率10%以上の、0.5ha以上の土地(今後の成長も見込む)」と定めています。
これは、かなり厳しい基準です。
生産国では「合法」な森林開発であっても、EUDRの森林破壊の定義にあてはまる場合、EUでは輸入できません。
また、具体的には、2020年12月31日以降に森林伐採されたプランテーションで生産されていないこと、生産国の法律に従って生産されていること、コンプライアンス違反のリスクが最小限であることを示す、デューデリジェンス※声明を示すことも求められます。
※メリットやリスクを調査すること
デューデリジェンス声明には、以下のような情報を記載する必要があります。
- 商品名・種類・数量・生産国などの基本的な情報
- 生産された日付・期間
- 生産地の位置情報
- 森林破壊を行わず生産国の法令に従って生産されたものである根拠の情報
- リスクの評価結果
- リスクの低減策
EUDRに違反した際に課せられる罰則や日本への影響とは
EUDRに違反した場合、罰則が課せられるとお伝えしましたが、具体的にはEU域内の年間総売上額の4%以上の罰金が課せられます。
また、重大な違反があった場合には、EU域内での販売やEUからの輸出が一時的に禁止されるなどの重い罰則があります。
EUDRによる日本企業への影響としては、以下のようなことが予想されます。
- 市場が二極化するリスク(EU向けとそれ以外向けになる)
- EU企業がEUDRの基準を世界に展開する可能性
- EUに売れない(EUDRの基準を満たしていない、トレーサビリティの取れていない)製品が日本を含めた他国に回ってくる可能性
我々日本企業も、今後のEU企業の動向を注視していく必要があるでしょう。
EUDRとは森林の劣化や減少を防ぐための規制!
EUDRとは、「森林の減少を食い止めること」を目的に、EUで2023年6月29日に発効された欧州森林破壊防止規則のことです。
EUDRの規則では、「2020年12月31日以降に森林伐採されたプランテーションで生産されていないこと」、「生産国の法律に従って生産されていること」を証明する必要があります。
また、違反すると罰金や供給停止などの罰則が課せられます。
EUDRは、牛、カカオ、コーヒー、天然ゴム、大豆、木材、パーム油、またその派生品など、森林の減少に影響を与える品目が規制の対象となり、EU大企業には2024年12月30日以降、中小企業には2025年6月25日以降に適用されます。
今後、日本企業の原料調達に影響を与える可能性もあるため、EUDRの動向をチェックしていくことが必要です。
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