2024.11.01
イセチオン酸とは?その特徴や用途についてご紹介
こんにちは、岡畑興産の菅です。
皆さん、「イセチオン酸」という原料をご存じでしょうか?
イセチオン酸は、金属表面処理薬やスケール除去剤として使用される化学品です。
今回は、イセチオン酸の特徴について、用途や使用されている製品まで詳しく解説します。
ご興味のある方は、ぜひ参考にしてみてくださいね!
イセチオン酸とは?特徴からご紹介
イセチオン酸は「2-ヒドロキシエタンスルホン酸」の慣用名です。
まずはイセチオン酸の基本情報からご紹介します。
- 一般名:2-ヒドロキシエタンスルホン酸
- 慣用名:イセチオン酸
- 英語名:Isethionic Acid
- CAS番号:107-36-8
- 構造式:HO-CH2-CH2-SO3H
構造式を見ていただくとわかるように、イセチオン酸は「-CH2-CH2-」を挟んでヒドロキシル基(-OH)とスルホン基(-SO3H)を有する二官能性の化合物です。
エタノール基を持った溶剤の特性と、有機酸としての特性の両方を併せ持っています。
基本的に無臭、または微香性です。
強酸性の有機酸で、クエン酸・酢酸などの他の有機酸に比べても強酸性という特徴もあります。
また、他の酸と比較して、イセチオン酸には下記のような特徴があります。
- ステンレスへの腐蝕性が低い
- リン系ではない原料である(HEDPはリン系)
- メタンスルホン酸に比べてスラッジ(沈殿物)が少ない
- 消防法上の非危険物、毒劇物非該当である
強酸ではありますが、同濃度の塩酸や酢酸と比較すると、イセチオン酸の方が皮膚刺激性が少ないです。
なお、イセチオン酸とヤシ脂肪酸のエステルを作り、それから水酸化ナトリウムで中和すると、「ココイルイセチオン酸Na」になります。
ココイルイセチオン酸Naは、「固形シャンプーとは?使うメリット・デメリット、選ぶポイントを紹介」でもご紹介しているとおり、刺激の少ない界面活性剤です。
低刺激な界面活性剤の原料になるほど、イセチオン酸の刺激性は低いといえます。
イセチオン酸の用途は?
イセチオン酸の用途についてもご紹介します。
主な用途は以下の通りです。
- メッキ液
- 洗浄剤
- 金属表面処理剤
- そのほか、電子材料向け化学物質や医薬中間体の合成原料
また、スライムコントロール剤用途でも使用できる可能性があります。
上記の用途には、イセチオン酸だけでなく、金属表面処理やスケール除去剤ではスルファミン酸・メタンスルホン酸・HEDPなど、洗浄剤への配合原料ではクエン酸など、他の酸も使われています。
金属表面処理やスケール除去剤については、以下のブログでも解説していますので、ぜひチェックしてみてくださいね!
金属表面処理には種類がある!種類ごとの目的や特徴を詳しくご紹介
また、先ほどお話ししたように、イセチオン酸とヤシ脂肪酸のエステルを作り、それから水酸化ナトリウムで中和すると、「ココイルイセチオン酸Na」になりますが、ココイルイセチオン酸Naは洗浄作用を持つため、洗顔料、シャンプー製品、ボディ・ハンドソープ製品などにも使用されています。
イセチオン酸にはどのような製品がある?
イセチオン酸を使用している実際の製品についても気になりますよね。
今回は国内で唯一のイセチオン酸メーカーである『(株)ADEKA』の製品をご紹介します。
(株)ADEKAでは、イセチオン酸を使用した「アデカテックHESシリーズ」を販売しており、あらゆる化学品分野に利用されています。
具体的には、メッキ浴添加剤、金属表面処理剤、界面活性剤基剤、有機合成剤料などです。
アデカテックHESシリーズについては、ADEKAのホームページもチェックしてみてくださいね。
イセチオン酸の特徴や用途を知って、上手に活用しよう
イセチオン酸の正式名称は「2-ヒドロキシエタンスルホン酸」です。
強酸性の有機酸ですが、同濃度の塩酸や酢酸と比較すると、イセチオン酸のほうが皮膚刺激性が少ないのが特徴です。
また、ほぼ無臭であること、非リン酸系原料であること、SUSへの腐食性が低いこと、塩素を含まないなどの特徴もあります。
イセチオン酸の用途にはメッキ液、洗浄剤、金属表面処理剤などがあります。
通常、上記のような用途ではスルファミン酸、メタンスルホン酸、HEDPが使用されていますが、イセチオン酸の特徴を活かした代替も可能です。
イセチオン酸に興味のある方は、ぜひお問い合わせください!
また、「岡畑興産ブログ」では、さまざまな機能性原料・化粧品原料を展示しています。
常設オンライン展示会「どこ展 2.0」でも、多くの原料をご紹介していますので、ご興味のある方はこちらもチェックしてみてくださいね!