2025.10.06
PFAS規制に対策!フリーコーティングの特徴とメリットを紹介
こんにちは。岡畑興産の山田です。
昨今、グローバルで環境への安全性見直しや化学物質の規制強化が進められています。
そんな中、PFAS(ピーファス)の一部は研究機関による毒性評価が進められており、製造、使用、排出などを制限するPFAS規制が世界各国で強化されつつあります。
日本でも、主に化審法に準ずる形でPFAS規制が設けられています。
こうした背景から、フッ素コーティングに代わる新たな選択肢として注目されているのが「PFASフリーコーティング」です。
今回は、PFASフリーコーティングの詳細と注目を集める理由、メリットなどをご紹介します。
さらに、PFAS代替素材の導入事例や今後の開発についてもお伝えしますので、ぜひチェックしてみてくださいね!
目次
PFASフリーコーティングとは?メリットや重要性も確認
有機フッ素化合物の総称であるPFASは、耐熱性・撥水性・耐薬品性などに優れ、フライパンのコーティング材や撥水スプレー、半導体製造など幅広い分野で利用されてきた化学物質です。
非常に安定した構造を持つため「永遠の化学物質」とも呼ばれていますが、その分、環境中に残留しやすく分解されにくいという課題があります。
そのため、健康に影響を及ぼす可能性がある一部のPFASは、世界的に規制が進んでいます。
例えば、防汚スプレーや撥水加工に使われてきた「PFOS」、フライパンの焦げ付き防止加工などに使われてきた「PFOA」は、国際条約によって使用が厳しく制限され、各国で法律により使用や輸出入が禁止されつつあります。
このように世界各国でPFAS規制が強化される中、安全かつ環境に優しい「PFASフリーコーティング剤」への関心が高まっているのです。
代替技術・代替候補化学物質としては、シリコーン系、フッ素代替ポリマー、生分解性素材などが注目されています。
これらは撥水性や耐久性を維持しながら、環境負荷を低減できる点が大きな特徴です。
また、PFASフリー技術は持続可能(SDGs)な製品設計に必要不可欠な技術です。
PFASフリーを採用することで国際的な規制リスクを回避できるだけでなく、環境配慮型の取り組みとして企業のESG評価やブランド価値向上にもつながり、取引先や消費者からの信頼を得やすくなるというメリットも期待できるでしょう。
一方で、性能・コストの面で従来から使用されている製品に劣る部分もあり、今後は機能性と量産性を兼ね備えた素材・技術開発が期待されています。
PFASフリーコーティングの種類をご紹介
PFASフリーコーティングは、現行品の特徴と同じく、非粘着・高潤滑・高硬度・耐食・撥水撥油など多くの機能が求められています。
セラミックコーティング、シリコーンコーティング、ウレタンコーティング、ポリウレアコーティング、PEEKコーティング、PEKKコーティングなど、さまざまな種類が登場しています。
例えば、シリコーンコーティングやセラミックコーティングなどの非粘着タイプの製品は、調理器具や包装材に適しているといわれています。
また、PEEKやPEKKコーティングのような高硬度タイプは工具や電子機器の保護に、ポリウレアコーティングは防水性や耐薬品性を活かして建築・工業分野での利用が期待されています。
ただし、それぞれの素材には適性があり、現時点でPFASをすべての用途で完全に代替できるわけではないため、目的に応じた最適な素材を選ぶことが重要です。
近年は環境対応も重視され、水系や植物由来素材を使った安全性の高い処方も注目を浴びています。
こうした環境対応型の処方は、食品包装や医療器具といった「人の口や体に直接触れる製品」にも安心して利用できる点が大きな強みです。
機能性と持続可能性を両立する技術として、PFASフリーは今後もますます幅広い業界で注目されていくでしょう。
PFASフリーコーティングの導入事例と今後の展望
家電量販店にいくと炊飯器はセラミックコーティングを使用したものが見られるようになってきました。
今後は、食品包装や半導体、自動車など幅広い業界でPFASフリー技術の普及が加速されていくでしょう。
特に、環境規制と企業のサステナビリティ戦略がマッチすることで、代替素材開発がさらに活発になり、性能・耐久性・コスト面のバランス向上が期待されます。
さらに複合機能コーティングやスケール生産の実現により、完全な代替製品の開発が本格化していくでしょう。
弊社でも、PFASを用いたコーティング剤に代わる素材として、PEEKやPEKKも取り扱っております。
PEKK製品の詳細や、過去のブログ「PEEKとは?特徴やグレード種類もご紹介!用途についても確認」「PEKKやPEEKとは?その特徴や用途、違いを詳しく解説します!」も、ぜひ参考にしてみてくださいね
また、完全規制まではまだ猶予もあり、フッ素コーティング剤「Xylan(ザイラン)」も引き続き取り扱いしております。
Xylanはフッ素樹脂系コーティングの代表ブランドで、優れた非粘着性や耐薬品性を持ち、調理器具や自動車部品、産業機械など幅広い分野で利用されています。
PFASコーティングを取り巻く最新の技術や動向に注目!
世界的にPFAS規制が進む中、安全かつ環境に配慮したPFASフリーコーティングへの注目がますます高まっています。
シリコーン系や生分解性素材などが代替技術として台頭し、非粘着・高潤滑・高硬度・耐食・撥水といった多機能を備えた製品が開発されてきています。
調理器具や電子機器、食品包装、自動車分野などでの採用が進んでおり、今後はサステナビリティ戦略と連動した技術革新と量産化が期待されるでしょう。
性能・コストの両立も今後のキーポイントになってくると思われます。
今後の動きにも着目してみてくださいね!
岡畑興産が運営している「岡畑興産ブログ」では、このほかにもさまざまな化学に関する知識を発信しており、常設オンライン展示会「どこ展2.0」でも機能性原料について詳しくご紹介していますので、こちらもぜひご覧ください。